コロナ特別貸付 上限6千万円に引き上げ 据え置き期間延長も|全国商工新聞

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 政府は「新型コロナウイルス感染症特別貸付(特別貸付)」を拡充し、実質無利子となる日本政策金融公庫(政策公庫)国民生活事業や民間金融機関の貸し付け上限額を4千万円から6千万円に引き上げました(対象などは表の通り)。菅義偉内閣総理大臣をはじめ各大臣の連名で政策公庫や銀行協会などに、資金繰り支援に全力を挙げ、丁寧かつ迅速な対応を要請する文書を発出しました(1月19日付)。

 「特別貸付」に関わり、大門実紀史参院議員(共産)は財政金融委員会で、第3波の影響により事業者が最短5月から始まる返済ができない場合の対応を質問(1月28日)。新川浩嗣総括審議官は「官民の金融機関に対し、再度の借り入れを含めて、融資審査では事業者の経営実態や特性を十分に踏まえた対応と、既往債務の据え置き期間延長等を含めた条件変更にも最大限柔軟な対応を促している」と答弁しました。
 「特別貸付」は、政策公庫と民間金融機関を合わせ約29兆円が貸し出されています(2020年12月末時点)。返済の据え置き期間は最大5年ですが、実際には据え置き期間3年以内の事業者が99%、うち1年以内が66%を占めます。新川審議官の答弁は、返済が開始できない場合、据え置き期間を延長できることを明らかにしたものです。
 さらに、大門議員はコロナ収束後の対応も言及し、運転や設備、つなぎ資金が必要になった場合、コロナ禍での借り入れが残っていれば「二重ローン」になると指摘。東日本大震災時の「再生支援機構」や「私的整理ガイドライン」などが事業再生に役立つと提案しました。麻生太郎財務相は「自民党ではなく、共産党の提案だったので、たまげた。いい提案ですよ、率直にそう思います。銀行と政府がどうやっていくか、今後、中期的に検討しなければならない」と提案を歓迎しました。

私的整理ガイドライン

 経営困難な個人事業者などの再建を目的に、破産手続きなど「法的整理」によらず、金融機関などと借り入れの返済方法の変更や借入金の減免などを話し合う「私的整理」。東日本大震災で二重債務問題が課題となり、2011年8月よりガイドラインの運用が開始されました。

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