コロナ禍でも着々と進む国民健康保険(国保)制度改悪や、介護現場の変質を迫る介護報酬改定の狙いをいち早く学ぼう―。全国商工団体連合会(全商連)も加盟する中央社会保障推進協議会(社保協)は2月13日、「国保・介護緊急学習集会」を東京都内で開き、全国80カ所をオンラインでつないで、延べ104人が参加しました。
国保の学習では、神奈川自治労連の神田敏文さんが「第2期国保運営方針に見る国保制度改革のねらい」と題し講演。「コロナ禍で国保加入者の所得が下がり、生活が厳しい中で国保料・税は上げられないと市町村は苦慮している。国もコロナ対応として、国保の傷病手当を9月まで実施し、今期と同様に減免を行う方向で検討中と聞いている」と報告。一方で「第2期国保運営方針の改定は、コロナ禍でも立ち止まることなく進められ、『統一保険料率の実現』『一般会計からの繰り入れ解消』が強調された。実際に一般会計から繰り入れしている自治体は2014年から5年間で3分の1に減り、国保料・税の引き上げで加入者の負担が増えている」と警鐘を鳴らしました。
全商連は「相談事例から考える運動の方向」と題して報告。20年1月から12月までに220件を超える相談が寄せられ、「滞納している国保税を完納するまで保険証を出せないと言われ、病院に行けず困っている」「コロナ禍で失業し、国保料が払えない」など、もともと高い国保料・税負担にコロナ禍が追い打ちをかけ、生活苦となっている実態を告発しました。
介護保険制度の学習では、大阪社保協の日下部雅喜・介護保険対策委員長が講演。21年度以降、介護報酬は0・7%引き上げられるものの、制度が始まった00年と比べるとマイナス1・43%で「自立支援」や「生産性向上」などへの変質が誘導されていると指摘。「現状の介護保険制度は、憲法で保障された『健康で文化的な』介護の制度とは大きく乖離している」と批判しました。
最後に、地域から声を上げ、受療権、健康権を自治体に求める運動を広げていくことが呼び掛けられました。