東京五輪・パラリンピック組織委員会の前会長・森喜朗氏の女性蔑視発言は、ジェンダー平等推進の流れから、日本が立ち遅れている実態を浮き彫りにしました。
発言は、さまざまな意思決定の場で、女性が積極的に発言することを拒否するもので、人種・性別・性的指向などの差別を禁じた五輪憲章とも相いれないものです。
差別を許さない女性たちの抗議行動をはじめ、ネット署名は7日間で14万人以上が賛同。アスリートや公式スポンサーなど国内外から批判の声が膨れ上がった背景には、多様性を尊重する世界的潮流があります。
森氏に辞任を求めなかった菅政権の責任は重大です。女性蔑視、差別の是正に消極的な姿勢は、日本社会における女性の参画を妨げ、国際的な信用を失墜させるものです。
日本は政治・経済の分野で指導的地位に女性が占める割合が極端に低く、各国の男女格差を測る「ジェンダーギャップ指数」で121位と世界の中でも大きく遅れています。
個人事業者の家族の働き分を認めない、所得税法第56条は、税法によって働きに対する報酬をないものとする、基本的人権を侵害する大問題です。
家族従業者の多くが業者婦人であり、56条は戦前の「家父長制」を引き継ぐということから、ジェンダー格差を根に持つ問題でもあります。
業者婦人の人権を守るために56条は廃止するべきです。
民商・全商連は、性別によるさまざまな差別をなくし、家族一人一人の労働の社会的評価や人権を確立する取り組みに力を合わせ、誰もが尊厳を持って生きることができる社会をめざしています。
コロナ禍は、これまで社会が抱えていた矛盾を顕在化しています。格差と貧困が広がり、多くの女性が失業し、自殺も増加しています。
医療や介護、保育などの現場で働く女性たちは身を削るような毎日です。
支援が届かない人々を置き去りにしないよう、さらに声を上げ続けることが必要です。あらゆる分野でジェンダー平等が貫かれる社会に向けて、力を合わせていきましょう。