全国中小業者団体連絡会(全中連)は9日、経済産業省・中小企業庁をはじめ金融庁、国土交通省、厚生労働省、総務省、財務省、国税庁の7省庁と交渉しました(経済産業省・中小企業庁と国土交通省はウェブ交渉)。「自粛と補償は一体に」とコロナ禍にあえぐ中小業者への支援強化や、税金や国民健康保険(国保)料・税の特別減免制度の継続、「Go To トラベル」は新型コロナの収束まで行わず、中・小の観光事業者に直接支援をなどと要望し、人権侵害の違法な税務調査の実態を告発して是正を求めました。省庁交渉で確認した主な内容は表の通りです。
国税庁 違法な調査撤回を 実態示し是正迫る
国税庁では、愛知県の熱田税務署が「事前調査」と称し、人権侵害の違法調査を行った問題を取り上げ、税務署からの謝罪と税務調査を打ち切るよう求めました。長官官房調整室の担当者は「『事前調査』というのはない」「関係部署に伝え、事実を確認した上で指導する」と回答しました。
違法調査は、事前通知もなく、税務署員が突然、名古屋南民主商工会(民商)の会員の店に来店し、店主の都合も聞かず、客がいる前で伝票やレジを調べ、使っていない伝票にナンバリングを打って、赤い紙テープで伝票を縛るなど、抜き打ち調査を強行したもの(2月8日号関連記事)。
交渉では、伝票の現物を担当者に示し、「署員が勝手に、伝票にナンバリングを打つなんて、あってはならない」と抗議し、国税庁の見解を求めました。担当者は言葉に詰まり、回答不能に陥りました。
参加者は「税務署は調査延期を連絡しているが、伝票と帳簿が合っていることを確認している。税務行政の信頼回復のためにも、謝罪し、調査を中止すること」を再度、求めました。
違法調査 愛知県連 名古屋国税局が「確認し対応する」と回答
名古屋国税局では9日、飲食店の店主が名古屋南民商の仲間とともに違法調査に抗議しました。夫妻は、熱田税務署員の来店時の状況を告発。「お客さんのいる店内で、『レジを見せろ』『伝票に触らないで』と大きな声で言われ、お客さんも驚いていた。お客との信頼関係に関わる行為」「署員の言動はとても高圧的で、有無を言わせない態度で怖かった」「こんな調査は初めてだし、他の人に聞いても、こんなひどい話は聞いたことがないと言われた」などと抗議しました。
参加者は「事前通知すら受けず、使っている伝票とレジを調べ出した」「有無を言わせず署員に従うのが当然という言動だった。それに対して納税者が何も言えなかったことは『同意を得た』ことにならない」「仮に同意したとしても、納税者の未使用の伝票にナンバリングすることは、税務署員の権限外の行為で違法。財産権を侵害する犯罪行為」と厳しく追及。税務署からの謝罪と税務調査の中止を求めました。
課長補佐は回答に窮しながら、「具体的内容は、関係部局に伝え、事実確認をするとともに、しかるべき対応をしたい」と回答しました。