「#税別表示で困りません」-。消費税を含めた「総額表示」の復活(2021年4月1日から)に反対するオンライン署名が広がっています。呼び掛けたのは、「総額表示を考える出版事業者の会」です。大阪市内で「シカク出版」を経営する竹重みゆきさんが中心になって賛同者を募り、現在、4518人の事業者・団体が名を連ねています(1月18日現在)。「『総額表示』の義務化は小規模出版社にとって死活問題」と立ち上がっています。
中心になって賛同を募る
竹重さんは10年前にシカク出版を開業。ミニコミやリトルプレス(少部数発行物)、インディーズ(独立系)な出版物、市場規模の小さいニッチ(隙間)本のセレクトショップです。価格は全て、外税表示にしていました。
昨年9月、「#出版物の総額表示義務化に反対します」のハッシュタグ運動がツイッターで広がっていることをたまたま知った竹重さんは、その内容を見てびっくり。「税抜き表示」が特例で、4月1日から「総額表示」が義務化されることを初めて知り、カバー部分の価格訂正や、スリップの差し替えなどが必要になることが分かりました。
危惧したのは、総額表示が一律に義務化され、価格訂正に応じなければ、外税表示の既刊本が「違法」扱いにされる可能性があることです。「店は法律を守らず営業している、とみなされてしまう。数年から数十年単位で流通する本は、税率が変わるたびに、価格訂正を強いられ、その作業と費用は膨大です。店内には自費出版物も多く、価格訂正の負担を著者に求めることになる」と危機感を覚えました。
そんな時、ネットで目に留まったのは、全国商工団体連合会(全商連)のホームページと「全国商工新聞」(11月23日号8面)で総額表示の問題を取り上げた記事でした。「これは出版業界だけの問題じゃない。多くの事業者が負担を強いられる。何か自分にできないか」と考え、「総額表示を考える出版事業者の会」のウェブの集まりで、オンライン署名を提案。署名サイト「change.org」で署名ページを作成し、12月2日から賛同を呼び掛けました。アイドルグループの元でんぱ組.incの夢眠ねむさん、でんぱ組.incの相沢梨紗さんも賛同。団体では全商連をはじめ全国スーパーマーケット協会や日本即席食品工業協会、日本出版社協議会が賛同しています。
賛同者からコメントが数多く寄せられ、取り組みに、一層力が入ります。
「本の表示は、特例として『スリップ』部分への総額表示が有効とされていますが、私たちが望むのは特定の業界だけでなく、公明正大で誰からも後ろ指を差されず、市場に貢献できる消費社会の実現です。この先、起業する人たちのためにも今、私たちが声を上げなければ後悔する。大勢の人とつながって、価格表示の自由化を実現したい」
「総額表示」の復活に反対する オンライン署名
消費税の「外税表示」(本体+税)を認めていた「特別措置法10条」の期限(21年3月末)を延長することと併せて「消費税法63条」を改正して価格表示を自由化することを求めています。1月末までに集まった署名を国に提出します。