今回は消費税申告の基本的なポイントを中心に説明します。
■納税義務の判定
いくつかある納税義務を判定する方法のうち、ここでは三つの例を説明します。①2年前(基準期間)の課税売上高が1千万円を超える場合(図1)②1年前の1月から6月(特定期間)の課税売上高または支払給与の総額が1千万円を超える場合(図2)③課税事業者選択届出書を提出した場合-。注意点は、①の場合における課税売上高の金額の算定です。
仮に、2018年が消費税の課税事業者であった場合は、2018年の課税売上高は消費税抜きの金額で判定しますが、免税事業者であった場合は、課税売上高を消費税込みの金額で判定します。
なお、高額な棚卸資産や固定資産を取得した場合や、相続により事業を承継した場合など他にも判定方法があるので注意してください。
また、昨今は売り上げ1千万円近くの申告者を対象にした税務調査が増えています。確定申告の際は売り上げの金額に誤りがないよう注意してください。
■消費税の各種届出
消費税の届け出で最も注意が必要なのは「課税事業者選択届出書」を提出した場合です。
課税売上高が1千万円を超えた場合に提出する「課税事業者届出書」ではなく「課税事業者選択届出書」を提出した場合は、「課税事業者選択不適用届出書」を提出するまでは、基準期間の売り上げが1千万円以下となっても消費税の納税義務はなくならないので、よく確認してください。
なお、これらの届出書は本来は事前の提出が必要ですが、新型コロナの影響を考慮して、現在では一定の場合に事後の提出が可能となっています。
■消費税の計算方法
消費税の計算方法を簡易課税の方法によることで、「みなし仕入率」を使用して簡便的に計算を行うことができます(2年前の課税売上高が5千万円以下で簡易課税を選択する旨の届出を期限までに提出した場合)。
また、複数税率による混乱を受け、取引を税率ごとに区分することが困難である場合には、本来の届け出の期限が2019年12月31日までのところ、2020年12月31日までとなりました。
なお、簡易課税による計算は業種や実際の仕入金額によって有利不利が異なるので、選択は慎重に検討してください。