「都構想」の名目で大阪市廃止の是非を問う住民投票が11月1日に実施されます。大阪市民が再びNOの審判を下すことができれば、暮らしと商売、地方自治を守る力になります。
「都構想」で、大阪府が「大阪都」になるわけではありません。大阪市の廃止となれば、元に戻す法律はなく、市は四つの特別区に分割されます。税収の65%を府に吸い上げられ、特別区の財政は交付金頼みとなって弱体化します。
「都構想」に10年間で801億円のコストと試算されています。大阪市が政令市として築いてきた「18歳までの医療費助成」や「バス・地下鉄の敬老優待乗車証」などの住民サービスも維持できなくなります。
「都構想」自体が、大阪維新の会などの詐欺的宣伝に満ちています。例えば、府と市の「二重行政のムダ」と盛んに言われてきました。しかし、真っ先に標的にされたのは信用保証協会などでした。また、コロナ禍が大阪市で深刻ですが、対策が遅れる背景に、この「ムダ」論に沿った悪政があります。
住吉市民病院を廃止し、公衆衛生研究所を統合して、大阪市で一つしかない保健所も増やしません。かつて府知事・市長だった橋下徹・元維新代表がツイッターで「僕が今更いうのもおかしいところですが…徹底的な改革を断行し有事の今、現場を疲弊させている」と言い出す始末です。
維新は「大阪の成長を止めるな」とも吹聴してきました。その狙いは、大阪市を解体して財源・権限を吸い上げ、大阪万博前のカジノ開業やベイエリア開発に巨費を投じることにあります。暮らしや地域に根ざす商売を一顧だにせず、関西財界の意向に沿って、浪費かつ退廃の乱開発を進めようとする態度を断じて許すことはできません。
住民投票で再びNOの審判を下すなら、「都構想」を断念させられます。
住民サービスを守り、大阪市の豊かな財政調整基金を、コロナ禍における感染拡大抑止や独自の休業補償に生かす展望も開かれます。
大局的には改憲や新自由主義の継続を狙う菅自公政権への痛打ともなるでしょう。大阪市内の知人に反対を訴えるなど、支援を強めましょう。