申請書の提出が必要
2020年分の所得税確定申告から青色申告特別控除額と基礎控除額が変更されます(2018年税制改正)。それに伴って65万円の青色申告特別控除の適用要件が変わり、承認申請書の提出が必要になります。提出期限は9月30日でしたが、財務省は「柔軟に対応する」と回答しています。変更点と必要な手続きを解説します。
財務省 「期限後も柔軟に対応」
青色申告特別控除額は現行の65万円から55万円に、基礎控除額が現行38万円から48万円に変更されます。引き続き65万円の青色申告特別控除を受けるためには、55万円の青色特別控除の適用要件に加え、電子帳簿保存またはe-Tax(電子申告)による申告が必要です(図)。20年以降の所得税に適用されます。
電子帳簿保存は、各税法で保存が義務付けられている帳簿書類を一定要件の下で電子データのまま保存できる制度です。概要や帳簿、書類の適用要件は表1、2の通り。適用を受けるためには、帳簿の備え付けや書類保存を開始する3カ月前までに税務署に申請書を提出し、税務署長の承認が必要です(原則、課税期間途中からの適用は不可)。
20年分の所得税確定申告から65万円控除を受ける場合、9月30日までに承認申請書の提出が必要でしたが、財務省は「20年分に限っては9月30日にかかわらず、柔軟に対応する。やむを得ない事情について考慮するもので、税務署に相談の上で申請を」としています(日本共産党の大門実紀史参院議員室に同省主税局税制第1課が回答)。承認申請書の提出後、年内に承認を受けて12月31日までに帳簿の備え付けや書類保存をすることが必要です。
e-Taxによる申告は事業所等のパソコンから確定申告書および青色申告決算書のデータを送信する必要があります(国税庁ホームページの「確定申告等作成コーナー」からの送信も可能)。
55万円の青色申告特別控除を受ける場合は、これまでと同じで、複式簿記による記帳、貸借対照表と損益計算書などの添付、期限内申告が要件。10万円の青色申告特別控除額は、現行のままの簡易な記帳が要件になっています。