緊急事態宣言の解除、そして6月19日からは県をまたぐ移動自粛要請も解かれ経済は動き出しました。しかし、客足は戻らず、事業継続への資金供給は待ったなしです。持続化給付金の振り込みはようやく5割を超えたところで、混乱が続いています。そんな中、自治体独自の支援は、切実な業者の要求に応えるもので歓迎されており、窓口を委任される民主商工会(民商)も出ています。
島根県江津市 20%以上減に20万円
江津民商 市が受付を委任
新型コロナ感染拡大で影響を受けた中小業者を支援するために、島根県江津市が民主商工会(民商)などの要望を踏まえ創設した「中小企業等持続化応援金」の給付事業が6月11日スタートしました。そして民商は受付窓口として市から委任を受け、給付金申請の手続きに着手しています。
民商は任意団体ですが、多くの事業者からの相談に乗ってきた実績や、コロナ禍において行政と懇談を重ねてきたことが評価され、委任されました。
国の「持続化給付金」は前年同月対比で売り上げ50%以上減少が条件。切り捨てられる中小業者が多いことや、毎月の固定費さえ賄えないことから、第1弾(3月16日)、第2弾(5月11日)と緊急要望書を山下修市長に提出。申し入れと懇談を行ってきました。
「日本政策金融公庫の融資申し込みは、実行まで約1カ月かかり、先の見通しが立たない事業者は借金を増やすことに抵抗がある。とにかく真水の資金が必要。20%、30%の売り上げ減少でも死活問題。どんな小さな商売人でも受けられる手当てを早急に考えてほしい」と求めてきました。
民商の要請を皮切りに、商店会、料飲組合など他団体も相次ぎ市に要請するようになり、「応援金」事業の創設が決定。6月4日の江津市議会臨時会で約1億4千万円(申請想定件数700件×20万円)の関連予算が可決しました。
新型コロナウイルス感染症拡大で「売り上げが前年同月対比20%以上減少した全事業者が対象。法人、個人問わず上限20万円の給付」となります。また、民商が繰り返し求めてきた「申請書類の簡素化」も実現し、2週間以内に応援金が支給されます。受付開始から10日間で160件超の申請がありました。
市から委任を受けたことに対し、「すごいことだと思う。ずっと交渉を続けてきたからだ」(会員・農業)など反響が寄せられています。井上義信会長は、「民商の役割を認めていただけた。今後もより一層、業者の要求を自治体に訴え、地方自治体と住民が一体となる活動に発展できれば」と話します。
兵庫県相生市30%以上減に10万円
相生民商 協力要請を快諾
兵庫県相生市は5月18日、「経営継続事業者支援金」を創設し、給付をスタートさせています。「緊急事態措置による外出自粛等によって売り上げが30%以上減少し、兵庫県の休業要請等の対象外となっている事業者」に1事業者10万円を支給するもの。市内に事業所を置く事業主で、相生商工会議所または相生民主商工会(民商)の会員であることが要件です。
民商は新型コロナウイルス感染拡大の影響が広がる中、対市要請を重ねてきました。5月8日、地域振興課の担当が事務所を訪れ、市が講じようとしている措置の概要を説明。支援金の支給について協力要請を受けました。
民商では、要請を快諾するとともに、相生商工会議所または相生民主商工会の会員に限定せず全業者を対象とすべき、20%以上の減を対象にすること、さらに申請手続きの簡素化を要望しました。
市は飲食店を応援するため、「あいおい飲食店応援チケット」(販売金額5千円で500円券×12枚つづり)の販売も進めており、民商はその窓口にもなりました。
窓口になったことを受け、民商では会員の受給等をサポート。スナック「小磯」を経営する横畠節子さんは、民商の学習会に参加し、持続化給付金と県の支援金を申請しました。
「6月から営業を再開したが、客足は増えていない。補償がなければ、生きがいである商売も続けていくことも難しい状況。市の支援では民商が窓口になったので、分からないことは何でも気軽に聞けるので心強い。制度の拡充にも期待したい」と話します。
緊急小口の活用進めて
大分・県南民商 臼杵市の要請に応え
大分・県南民主商工会(民商)は緊急小口資金の活用を進め、20件超の借り入れを実現しています。
新型コロナウイルスの影響を受け、緊急小口資金に「休業等により収入の減少があり、緊急かつ一時的な生活維持のための貸付」が特例で設けられました。貸付限度額は、個人事業者の収入減少により生活費が不足する場合は20万円、その他の場合は10万円。据置1年以内、償還2年以内、無利子・保証人不要です。
民商では臼杵市から申請書類やマニュアルを預かり、持続化給付金の対象にならない業者や、申請したものの給付を待てない業者からの切実な相談に乗り、申請をサポートしています。
臼杵市のスナック経営者は「家賃も払わないといけんし、お酒も仕入れないといけんけど、売り上げがこれだけじゃやっていけない」と土日はパートに出ています。緊急小口資金を知り、他の会員と一緒に5人で申し込みました。「3日後には振り込まれていたので助かった。周りの業者にも教えてあげたい」と喜びます。
民商の岡本浩会長は「休業の補償も受けられず、税金や社会保険料、国保料や電気・水道など公共料金の支払いにも困っている業者も多い。きめ細かくいろんな要求に応えていきたい」と話しています。