河野太郎防衛相は21日、秋田県と山口県に配備するとしていた陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備撤回方針を表明しました。
政府は技術的な問題を理由にしていますが、ミサイルのブースターが住宅地に落下する危険性は以前から繰り返し、指摘されていたことです。それに耳を貸さなかった政府・防衛省の責任は極めて重大です。
しかし何よりも、配備候補地の秋田・山口両県で、幅広い住民が「住宅地のすぐそばにミサイル基地を置くな」「農作業ができなくなる」など、暮らしと生業への危機感から、団結して反対の声を上げ、政府を追い詰めた運動の大きな成果です。国会の中では、野党も一致して「配備計画に反対」の立場で行動してきました。
安倍政権がイージス・アショアの導入を閣議決定したのは2017年12月ですが、1基800億円としていた取得費は、2基で2474億円、維持・運営費4459億円(30年間)、さらに迎撃ミサイルの取得費や建屋の整備費等を加えると1兆円近くにも膨れ上がり、単価でみれば自衛隊史上最も高価な兵器となるものでした。
しかも、17年当初に発表されていた防衛省の「中期防衛力整備計画」にも盛り込まれていなかった配備計画が、同年秋の安倍首相とトランプ米大統領との首脳会談で決まり、アメリカ製兵器の爆買いの柱の一つとして位置付けられてきたものです。
今、国内はもとより、世界中の人が手をつないで、「コロナに立ち向かおう」としています。こんな時に安倍政権は、大軍拡予算(5兆3133億円)となった本予算には全くメスを入れていません。
F35A戦闘機105機で1兆2180億円、F35B戦闘機42機で5922億円、計147機2兆3115億円など、分割払いも含めた兵器購入のオンパレードです。
秋田・山口両県の住民も野党も、完全撤回を確認するまで運動を続けるとしています。
「イージス・アショア」計画と共に、沖縄県民の民意に反し、膨大な追加費用と時間がかかる辺野古新基地建設も断念するべきです。その予算をコロナ対策に回せの声を大きくしていきましょう。