新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、休業を余儀なくされた事業者などに給付される自治体の支援金が各地で創設されています。しかし、業種や売り上げ減少率が対象にならず、補償が受けられない事例も相次いでいます。大阪府内の民主商工会(民商)では、支援金を獲得するとともに、業者が実態を訴え、対象業種を拡大させる運動に取り組んでいます。
大阪府は「大阪府休業要請支援金」を創設。府の要請を受けて指定の対象施設を全面的に休業した事業者で、4月の売り上げが前年同月対比で50%以上減少した場合、中小企業100万円、個人事業主50万円の支援金を府と自治体が半分ずつ負担します。
しかし、小売店などの生活必需物資販売施設や、理美容院などの生活必需サービスを提供する店舗などは対象外となっています。
「納得できない」と行動したのは北区民商会員で、ヘアメーク業を営む上田真知子さん(仮名)。北新地で、料飲店のママさんたちのヘアメークをしていますが、バーや、キャバレーなどが「集団感染の起こりやすい場所」と政府から名指しされた上に、3月下旬に「感染者が出た」とのうわさが立ち、周りの料飲店が次々と休業。仕事にならない上田さんも、4月初めに休業を余儀なくされました。ところが、府の支援金で美容室が対象外とされていることを知り、がく然としました。
民商に相談してアドバイスを受け、早速、府の相談センターに電話したところ、当初、担当者は「美容室は対象外。国の給付金を申請されては?」と冷たい対応に終始。しかし、あきらめずに「うちは北新地でヘアメークを専門としている美容室。周りの料飲店が休業したら、うちも休業するしかありません。対象外なのはおかしくないですか」と迫りました。
翌日、民商から「府の要綱が更新されて、ヘアメーク専門の美容室も対象になりました」と連絡が。「店を閉めて以来、収入が途絶えていたので、ほっとした。料飲街と一体の業種は補償されるべき。もっと国民・府民の声を聴いて対応してほしい」と話しています。
「全業種を対象に」の声を受け、府は5月27日に同支援金の対象外の業種への支援(中小企業50万円・個人事業主25万円)を行うことを発表しました。