緊急小口資金でホッと 収入減で20万円 申し込み2週間で|全国商工新聞

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 新型コロナウイルス感染症拡大で「収入が減って生活ができない」「食費にも事欠く」と切羽詰まった声が広がっています。そんな時に活用できるのが、国の「緊急小口資金の特例貸付」です。神奈川県厚木民商のMさん=建築=は20万円を獲得。失業者向けの「総合支援資金(生活支援費)」も受付窓口の社会福祉協議会(社協)に粘り強く働き掛け、「個人事業主も対象」との言質を引き出し、申請書を受け付けさせました。

総合支援資金60万円も申請

緊急に対策会議

厚木民商が開いた「緊急コロナ対策会議」

 「消費税10%増税後も値段は据え置いているけれど、客数が減少した。少し戻ったと思ったら今度はコロナ。自粛でお客さんに電話もできず、生活費にも事欠く…」(エステ美容)、「学校給食に食材を納入していたけれど、学校の一斉休業でキャンセルになった。その上に、消費税がこんなにも…。とても払えない」(青果店)。「宴会はすべてキャンセル。いよいよ値上げするしかないか」(そば店)―。
 常任理事会(3月7日)では、深刻な実態が出されました。その声を聞いたMさんは、「いち早く部員の声を集め、婦人部ならではの行動を起こそう」と呼び掛け。所属する厚木民主商工会(民商)は3月26日、「緊急コロナ対策会議」を開き、小企業向けの政府の対策について学習しました。
 参加者の関心を集めたのは「緊急小口資金」(下の表)でした。
 「簡単な申請で、1週間ほどの審査で決定し、銀行に振り込まれる」と聞いたMさんは「よし、まず申し込んでみよう」と奮起。3月30日に2人の部員と一緒に厚木市社協に申し込みに行きました。

代理申請可能に

 Mさんの夫は、必要なトイレやバスの入荷が不足気味で、先行きの生活に不安を感じていました。Mさんは社協の担当者に「緊急小口資金20万円を申し込みたい」と希望を伝え、後日、新型コロナの影響で、最近の収入と所得が減っていることを確認するために、昨年分の確定申告書と青色決算書、今年3カ月の収支を持参。担当者から「事業主本人じゃないと申し込みができない」と言われましたが、「夫は仕事が少なくても営業のため、昼間に時間を割くのは難しい」と訴え、認めさせました。その結果、4月1日の2回目の面接で、必要書類を確認して申し込みが完了。4月13日に20万円が振り込まれました。

中小業者も対象

 しかし、1カ月分の生活費は確保できたものの、新型コロナウイルス感染拡大の収束が見通せない中で、「夫の仕事やその先の生活はどうなるのか」と不安を払拭できなかったMさんは、さらに緊急小口資金のもう一つの特例である「総合支援資金(生活支援費)20万円(夫と2人)を3カ月分を申し込むことに。
 ところが、社協の担当者は「この資金は失業者向け。自営業者は廃業届を出し、ハローワークでの求職活動や市の自立支援課の指導を受けないと対象にはならない」と言われました。
 怒りを感じたMさんは「廃業しないために頑張っているのに何ということですか。コロナはすぐに収束しない。20万円の一時的な貸し付けだけでは不安だから、3カ月程度の生活支援費は最低必要。貸付対象になっている『主に失業された方等』の「等」には、コロナによって、失業に近い状態で生活の維持が困難になっている中小業者も入るんじゃないですか?」と強く抗議。「どう考えてもおかしい」。納得できなかったMさんは、民商や婦人部の仲間に相談して全国社会福祉協議会に問い合わせてみました。「個人事業主を排除していない」との回答を得て、3日には市社協からも「先日の説明は誤りでした。廃業しなくても個人事業主も対象です」との連絡が入りました。
 翌日、社協へ出向き、手続きを開始。総合支援資金は「緊急小口資金」よりもそろえる書類が面倒ですが、市の自立支援担当者と相談して「自立支援計画」や「月平均生活費の内訳」などを作成し、申請書は受理されました。

商売つぶさない

 「社協と自立支援の担当者が一緒に考えながら作成に協力してくれて、提出書類も簡素化された。新型コロナ感染がいつ収束するか、先が見えない中で婦人部の仲間は生活への不安を募らせている。あらゆる制度を活用して、この危機を乗り越え、商売をつぶさないために、みんなと力を合わせたい」
 Mさんの呼び掛けに応え、部員たちの「緊急小口資金」の申請が広がっています。

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