新型コロナウイルス感染症の拡大が続き、景気の悪化が深刻さを増しています。
東京商工リサーチは8日、「『新型コロナ』の影響(による経営破綻)は、経営基盤の脆弱な零細・中小企業を中心に、さらに増える勢い」との分析を発表しました。
内閣府も同日、2~3カ月先の見通しを示す「景気の先行き判断指数」が過去最低となった「景気ウオッチャー調査」結果を発表し、基調判断を「極めて厳しい状況」へと引き下げました。日銀の黒田東彦総裁は9日の支店長会議で「経済の先行きは不確実性が極めて高い」と表明しています。
こうした実態を見れば、安倍首相が7日に発表した緊急経済対策の不十分さは明らかです。
対策に盛り込まれたフリーランス・中小業者向けの「持続化給付金」や、収入が減少した世帯に30万円を支給する「生活支援臨時給付金」は1回限りで、損失補償としてはあまりにも少なすぎます。複雑な条件によって、給付される人とされない人が生まれ、「分断」が持ち込まれることも重大です。
税金や社会保険料の納付を1年間猶予することも盛り込まれましたが、免除規定がなく、来年には2年分の納付が迫られます。こんな対策で中小業者を救うことはできません。
全商連は8日、「新型コロナに対応した緊急経済対策への要望」を内閣府に提出し、「持続化給付金の継続」「生活支援臨時給付金は1人10万円として無条件で速やかに支給」「持続化補助金、ものづくり補助金の上限と補助率引き上げ」「売り上げが6カ月で対前年比30%以上減少した場合の税金と延滞税の免除」「店子の家賃を減額した貸店舗所有者への減税や資金繰り支援」「労働保険の確定申告期限延長」「消費税減税」などを要望しました。
自治体独自の休業補償制度を実施し、「自粛と補償は一体で」の要求に応える動きが広がっています。国の「補償なき緊急事態宣言」で感染拡大は止められません。
危機的状況に直面する中小業者の切実な要求に応え、従業員を守り、廃業を出さない対策への拡充が急務です。