介護保険制度が始まってから、間もなく20年になろうとしています。
「高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組み」といって導入されましたが、度重なる改悪により、もはや社会保障とは呼べないものになっています。
利用者には負担増とサービスの後退が押し付けられてきました。施設入居者の食費・居住費の自己負担化、原則1割の利用料負担の一部を、2~3割に引き上げ、次期(21~23年)に向けた見直しでは、施設を利用する低所得者の食費の自己負担を増やすことが狙われています。
介護事業者が受け取る介護報酬は、実質的に引き下げられ、小規模な介護事業所は採算が取れず、昨年の「老人福祉・介護事業」倒産は、過去最多の111件(東京商工リサーチ)に上ります。小規模事業所が経営難に陥り、大手事業者の進出と新規参入組との競合が広がっています。
また、低賃金から、ヘルパー、ケアマネジャーなど介護従事者の慢性的な人手不足も深刻さを増しています。
地域で高齢者を見守ることは必要ですが、国の責任放棄と関係者への責任転嫁が問題を深刻化させています。
医療・介護・生活支援・予防・住まいの確保を一体的に行うという、地域包括ケアシステムは、介護が必要な人まで、施設から追い出す事態を招いています。さらに、その受け皿として、市町村が行う「総合事業」では、要支援者の訪問・通所介護を集中的に引き受けるものとされました。
担い手となる多くの事業者は、「低報酬な訪問介護だけでは経営が成り立たない。断るとお客さんを紹介してもらえないことが心配」などの矛盾に直面しています。
地域に根差す介護事業者は、「利益最優先の介護では、利用者と家族の生活を支えることはできない」と、高齢者が暮らし続けられる地域づくりに、懸命な努力を続けています。
国庫負担を増やし、利用料は無料にし、保険料は定額に抑えるなど、国の責任で「必要な介護が保障され、安心して利用できる制度」に改善を求める運動が大切になっています。介護を支える方々とのつながりを広げましょう。