5%に引き下げを
「消費税10%、もう限界」「業者や庶民には増税の一方、首相は『桜』で税金を私物化。許せない」-。中小業者の怒りの声が12日、国会周辺に響き渡りました。全国中小業者団体連絡会(全中連)主催の全国中小業者決起大会には全国から約1千人が参加。消費税5%引き下げを求める署名など18万3千人分が寄せられました。午前中は経済産業省・中小企業庁など8省庁と交渉し、地元選出の国会議員に要請。「市民と野党の共闘を深化させ、消費税5%減税を必ず実現させよう」と、決意を新たにしました。
広がる署名紹介議員
大会趣旨に賛同
この日、消費税5%減税を求める署名の束を持って地元の国会議員に要請した人たちは、野党共闘の広がりを実感しました。
高知県の参加者は、県知事選挙(昨年11月)で野党統一候補の松本けんじさんの選対本部長を務めた広田一衆院議員(社会保障を立て直す国民会議)と、副本部長を務めた武内則男衆院議員(立憲)と懇談。「要求スローガンはそのとおり、賛同したい」と歓迎されました。
5%減税に理解
広田議員は「消費税を5%にという皆さんの主張の意味、思いは理解する。党派の違いを超え、多様性を認め合いつつ、いざというときはスクラムをがっちり組みたい」と野党共闘に意欲を見せ、武内議員も「消費税負担は見直しが必要。どんな支援ができるか知恵を絞りたい」と話しました。
紹介議員になることを快諾したのは、参院選挙(昨年7月)で野党統一候補として滋賀県選挙区(1人区)を勝ち抜いた嘉田由紀子議員(碧水会所属)。
10%増税後の中小業者の実態に耳を傾け、紹介議員欄に1枚ずつサインしました。
福岡県の参加者は、立憲民主党の野田国義参院議員を訪問。
「消費税5%減税への皆さんの思いはよく分かる。私たちも勉強して、『日本の未来を立て直す公平な税制をつくる提言書』を立憲民主党の枝野代表に渡していますよ」と笑顔で応え、立憲民主党の矢上雅義衆院議員(熊本4区)も、署名の束を受け取り、「私が国会に提出します」と力強く話しました。
業者の経営守る
大阪府と奈良県の参加者が訪問したのは、日本共産党の清水忠史衆院議員。国会で消費税5%減税を求め、中小業者の負担となるキャッシュレス決済の問題点などを質問してきました。「日本の雇用を支えている中小企業者の経営を守らないといけない。消費税はすぐに5%に引き下げ、インボイス制度も導入させないために力を尽くす。希望を持って頑張ろう」と激励。神奈川県の参加者に、日本共産党の畑野君江衆院議員も「消費税5%減税が野党に浸透し、インボイスや複数税率は幅広い業者団体が反対している。力を合わせましょう」と応じました。
決起大会 政治の転換へ決意
「安倍政権は退陣を」「いのちと暮らし、営業を守るたたかいを」-。午後からの大会には熱い思いを胸に、参加者が集いました。
全中連の太田義郎代表幹事が主催者を代表してあいさつ。「消費税導入後、日本経済は30年低迷し続けている。国民全体を幸せにする経済をつくろう。市民と野党の共闘で総団結して、要求を実現しよう」と呼び掛けました。
社会保障拡充を
決意表明では6人が登壇。全国保険医団体連合会(保団連)の住江憲勇会長は「安倍政権を倒すことが、国民本位の政治、立憲主義の回復、社会保障改善につながる」と発言。FC加盟店協会の近藤菊郎副会長は「FC問題は食品、エネルギー、環境、人権などさまざまな問題と広く関わっている。加盟店の利益に重きを置いた法整備が急務」と話しました。
和歌山県の参加者は、12月から始めた「5%に戻せネット」について報告。台風19号で大きな被害を受けた長野県の参加者は、グループ補助などを活用しても再建が困難な実態を訴え、「消費税導入後、社会保障は切り捨て続けられてきた。『全世代型切り捨て』はもう我慢できない」と怒りを込めました。長崎県からは、被爆地の責務として核廃絶の思いを継いできた活動を紹介し「核兵器禁止条約を批准する政府を」と発言。新潟県の参加者30人は「消費税を5%に戻せ!」の大きな横断幕を持って登壇。地域で市民と野党の共闘が広がっていることを話し、拍手に包まれました。
要求掲げてデモ
「税金の私物化許すな。消費税率引き下げ、複数税率・インボイス制度の即時廃止を」「兵器の爆買いをやめて復興予算に回せ」「改憲・大軍拡を阻止し『戦争する国づくり』を許すな」など6項目を政府に求めた決議を満場の拍手で確認。請願デモを行いました。
来賓として全労連の小田川義和議長と日本共産党の山下芳生参院議員が登壇。山下議員は「市民と野党の共闘をより発展させ、安倍政権を倒したい」とあいさつ。提出された署名を受け取りました。
省庁交渉 新型肺炎で緊急要望
消費税率10%への増税に加え、新型コロナウイルスによる肺炎拡大が地域経済を急激に冷え込ませる中、全中連代表は12日、経済産業省・中小企業庁、金融庁に中小業者への資金繰り支援の強化を要望しました。
こうした要請を踏まえ政府は13日、「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策」を発表し、日本政策金融公庫等のセーフティネット貸付の要件緩和、セーフティネット保証4号、5号の実施を決め、「緊急貸付・保証枠として5000億円を確保する」と発表しました。
また、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、休業等により従業員の雇用を維持した場合に支給する雇用調整助成金について、前年度の中国(人)関係売上等が全売上高等の一定割合以上である者を対象に、支給要件を緩和しました。