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  トップページ > 税金のページ > 消費税 > 全国商工新聞 第3316号6月18日付
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マレーシア 消費税を実質廃止

政権交代で税率6%→0%に 政治の力で変えられる
元静岡大学教授税理士 湖東 京至さんに聞く
 消費税(GST・商品サービス税)の是非が最大の争点になったマレーシアの国政選挙(5月9日投票)で、消費税廃止を掲げたマハティール元首相が率いる野党連合が勝利し、歴史的な政権交代が行われました。マハティール新政権は公約どおり、6月1日から消費税の税率を6%から0%にしました。マレーシアでどんな選挙がたたかわれたのか、日本で消費税を廃止させることは可能か-。湖東京至・元静岡大学教授(税理士)に聞きました。

−どんな選挙がたたかわれたのですか。
 野党を率いたマハティール氏はかつて22年間、マレーシアで最も長く首相を務めた人物です。92歳で首相に返り咲けば、世界で最も高齢の首相となります。
 解散時の議席数は与党連合・国民戦線が130議席、野党連合・希望連盟が72議席でした。選挙結果は与党・国民戦線が79議席、野党・希望連盟が過半数を超える121議席を獲得しました。与党連合が51議席減らしたのに対し、野党連合は47議席増やしました。
 予測では、与党連合がやや優勢と見られていましたが、終盤になってマハティール氏の個人的人気と、消費税廃止を公約の中心に据えた野党連合が逆転勝利しました。

消費税が争点に
−なぜ、消費税が最大の争点になったのですか。
 与・野党の選挙公約を比較すると野党・希望連盟は第一に消費税の廃止を掲げたほか、主婦を対象とした公的年金制度の導入、全国統一最低賃金制の導入、低所得者が私立病院を利用できるための基金の創設、低所得者に対する奨学金の返済停止など、低所得層を重点にした公約を掲げました。
 これに対し与党・国民連合は、トップに300万人の雇用機会創出を掲げたほか、最低賃金の段階的引き上げ、低所得層に対する補助金の増額、親の介護のための医療費控除の倍増、住宅貸付所得に対する所得税免除、それに新空港建設や高速道路の拡充などを掲げました。与・野党の最大の違いは、消費税を廃止するか否かでした。

国民に強い不満

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マハティール氏が率いる野党連合・希望連盟が勝利し、政権交代が行われたことを報じる各紙

 マレーシアの消費税導入は2015年4月です。といっても、全く新税というわけではなく、それまであった単段階課税の小売売上税(税率10%)とサービス税(税率6%)を廃止して、多段階の消費税(税率6%)に変えたものです。消費税は物価高騰を招き、国民の不満の的になったのです。
 さらに中小事業者の事務負担や滞納問題も大きな問題となっていたようです。消費税廃止を公約に掲げたマハティール元首相率いる野党は勝つべくして勝ったといえましょう。
−税率を6%から0%にするというのはどういうことですか。
 「おや、なぜ廃止ではなく0%なの?」と不思議に思う人がいるかもしれません。現地からの報道によると「消費税は準拠する法律がたくさんあり、廃止するためには税制改正の関連法にのっとって手続きを進めなくてはなりません。時間がかかるので、実質的に廃止となるゼロ税率にした」(THE DAILY NNA、マレーシア版、2018年5月17日)というわけです。同紙はまた、財務省は「消費税の廃止に向けて省内で関連法を精査している段階」と報じています。野党・希望連盟の選挙公約が早くも実施に移されたのです。
−消費税廃止後の財源はどうするのですか。
 マハティール氏は、「消費税を廃止した場合、代わりの財源として消費税導入時に廃止した小売売上税・サービス税を復活させたい」と言っています。しかし、消費税の税収は売上税・サービス税の税収のおよそ2・5倍もあり、税収不足は避けられないという指摘もあります。これに対しマハティール氏は「歳出には大きな無駄があり、今後切り込んでいく」とし、さらに「石油のロイヤルティーなどからも補う上、消費税廃止により景気の伸びが年6%と予測されるから、不健全財政にはならない」と反論しています。
−日本で消費税をなくすことは可能でしょうか。
 ひるがえってわが国においても、野党が力を合わせて国政選挙に消費税廃止を公約に掲げればマレーシアのように政権が交代する可能性があります。その際、出てくるのが、「代わりの財源はどうするのか」という主張です。私たちは「財源はたくさんあります」としっかり反論することができます。

増税中止できる
 今ある不公平な税制をやめ、能力に応じて払う応能負担原則に基づいた税制に変えれば、国税と地方税を合わせて30兆円を超える財源が確保できます(下図)。例えば、法人税は1988年の42%から2018年には23.2%、所得税の最高税率は1988年の60%から2017年には45%に引き下げられています。これを消費税導入前の税率に戻すだけでも11兆円超の財源が確保できます。
 加えてマハティール氏も言っているように、日本の歳出にも大きな無駄があります。大型開発優先の歳出を見直し、5年連続して過去最高額を更新した軍事費の大幅削減や、政党助成金の廃止などを検討すべきです。
 また、消費税を廃止すれば景気は回復します。景気が回復すれば法人税や所得税の税収も伸び、財政は健全化します。
 マレーシアでのたたかいは、政治の力で消費税を廃止することは可能であることを示してくれました。マレーシアにならって、2019年10月からの税率10%への引き上げを中止させ、廃止に追い込むたたかいを大きく広げる。民商・全商連の出番です。

日本でも増税しなくても財源はある
 全商連も参加する「不公平な税制をただす会」は応能負担の原則に基づいて、大企業優遇の法人税や高額所得者・資産家優遇の所得税などの不公平な税制を見直せば、消費税を増税しなくても財源が生まれることを毎年、発表してきました。

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 2017年度は増収試算額は国税と地方税を合わせれば合計38兆円を超えています(上図)。
 消費税の税収は約22兆円(16年度)です。
 19年10月からの税率10%を許さない運動を大きく広げる時です。

全国商工新聞(2018年6月18日付)
 

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