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  トップページ > 税金のページ > 消費税 > 全国商工新聞 第3020号 4月23日付
 
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消費税大増税ストップ 4・12国民集会に5000人

 「列島を揺るがすような消費税増税反対の大運動を」-。中小業者をはじめ労働者、農業者、主婦、年金生活者などあらゆる階層が参加した「消費税大増税ストップ4・12国民集会」(主催・同実行委員会)が12日、東京・日比谷公園内の野外大音楽堂で開かれました。すべての都道府県から5000人超が参加。消費税増税法案が国会に提出され、緊迫した情勢の下、「何としても廃案に追い込む」との決意を新たにしました。

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「消費税大増税ノー」のアピールポスターを掲げ会場を埋め尽くした参加者

 集会は「消費税増税反対」の一点で、多くの賛同者、団体の共同で開かれたもの。日本共産党委員長の志位和夫衆院議員など多数の国会議員が出席しました。平日の昼間にもかかわらず立ち見や階段に座る人など場内は満席。民主商工会(民商)会員も約1900人が全国から駆けつけ、場外にも人があふれ熱気に包まれました。この日、寄せられた消費税増税反対の署名は50万人分を超えました。

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呼びかけ人、各団体代表を先頭に国会に向けてデモ行進

運動広げたい
 「みんな生活に困っているのに消費税上げるなんて絶対に駄目」というのは沖縄・北那覇民主商工会(民商)の会員。息子さんと参加しました。「集会のポスターを貼り出したらお客さんが次つぎと署名に協力してくれ、350人分が集まった。こんな集会は一生に一度と思って来た」と感動していました。
 「集会の熱気を持ち帰り増税法案を廃案に追い込みたい」と語るのは千葉・成田民商の山本勝宜会長。「3月に、チラシに署名、返信用封筒をつけて1万6000戸に配布し翌日から署名が返送されてきた」と増税反対世論の高まりを実感。さらに、全世帯10万枚の新聞折り込みを役員会で決めました。
 被災地からも大勢が参加。仙台民商の会員は「震災後、全国の民商の仲間の支援を受け、人のつながりの大切さを実感し、みんなの役に立ちたいと参加した。やっと商売を再開しかけているところに増税では、立ち直れない。従業員のためにも増税を阻止したい」と決意を語っていました。

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集会後、代表が財務省を訪問。安住財務大臣(左手前)に面談して要請しました

法案を廃案へ
 劇団前進座のおどりで開幕した集会は、冒頭に呼びかけ人でもある俳優の嵐圭史さんが訴えました。
 主婦連合会の山根香織会長とジャーナリストの斎藤貴男さんが呼びかけ人を代表してあいさつすると満場の拍手が送られました。
 全国労働組合総連合の大黒作治議長は「野田首相が命をかけて増税法案を成立させると公言する中で『増税反対』の一点でたたかいを国民的な規模へと発展させよう」と主催者あいさつ。リレートークでは中小業者、女性、高齢者、農業者など各階層からの発言に「そうだ」と共感の声が相次ぎました。
 「生活費非課税、応能負担という税の大原則に反する消費税増税に断固反対」との集会アピールを採択。
 国分稔・全商連会長が閉会あいさつで「消費税増税を断固阻止するために反対運動を国民的な大きなうねりにし国会を包囲する運動を大きく広げていきましょう」と呼びかけました。参加者は「消費税大増税ノー」と書かれたアピールポスターを掲げ“団結がんばろう”を行いました。
 集会後は国会までデモ行進し、地元議員への要請も行いました。

各階層の7人がリレートーク「増税は復興の妨げ」

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リレートークで「消費税増税は避難者をさらに苦しめる」と怒りをぶつける福島の参加者

 集会では、各階層の7人がリレートークし、消費税増税反対への決意を表明しました。
 大阪・藤井寺民主商工会(民商)会長の原田孝夫さんは、「長年のデフレで親会社から値下げを要求され、一方で材料費は上がるばかり。利益は消費税分もない」と告発。仕事はいつ来るか分からず、来ても短納期・低価格で生活もままならないと話し、「消費税が10%になったら生きていけない。また地域を守る中小業者を根絶する消費税増税は、地域社会を崩壊させる。生死をかけたたたかいだ」と力を込めました。
 ふくしま復興共同センター代表委員の斎藤富春さんは、「福島は今も原発被害のただ中にあり、県民の避難者総数は仮設住宅や借り上げ住宅などに約10万人、県外避難は6万2000人。家賃以外はすべて自己負担。収入源の失業手当は1月から切れ始めました」と怒りをぶつけました。一方、東電の賠償金支払いは被害世帯の4%にとどまっていることを告発し、「消費税増税は避難者をさらに苦しめる政治災害。復興を妨げるなにものでもない」と訴えました。

子育てに影響
 「小学1年生と幼稚園の2人の子どもがいます。娘が義務教育になって家計が助かると思ったら、現実はそうではなかった」と話したのは、新日本婦人の会・座間支部事務局長の真島朋子さん。「入学準備だけで10万円以上。増税されれば、下の子には今以上のお金がかかる。子ども手当てが児童手当になって減額され、さらに消費税が増税されたら困る」と語り、軍事費などの見直しを訴えました。
 全日本年金者組合副委員長の森口藤子さんは、「年金受給者の44%が月額10万円以下で生活し、月額4万7000円の国民年金だけの人は885万人、無年金者は118万人といわれます。さらに政府は3年かけて年金支給率を2・5%引き下げようとしている」と告発しました。

医療も負担増
 兵庫県保険医協会の吉岡正雄さんは、「全国の開業医が消費税増税に反対しています」と切り出しました。「社会保障と税の一体改革」は医薬品などの仕入れにかかる消費税負担を診療報酬に上乗せする内容と話し、「消費税を社会保障の財源にせず、大企業や高額所得者に応分の負担を求めましょう」と呼びかけました。
 全国労働組合総連合青年部の代表は、「国家公務員の賃金を2年で平均7・8%カットする特例法案が賛成可決され、特例法を受けて民間企業でも給与を引き下げる動きが出ている」と報告。また15〜24歳の非正規労働者の割合は男性で約40%、女性で約50%を占め、低賃金のために親元からの自立が困難であることにも触れ、「青年の自立へのプロセスにダメージを与える消費税増税には絶対に反対」と語りました。

原発にも怒り
 農業者の立場から消費税増税への怒りをぶつけた福島県農民運動連合会会長の亀田俊英さん。原発から20キロ圏内で強制避難させられました。南相馬市の自宅の放射能は年間10〜20ミリシーベルト、畑は20〜50ミリシーベルト。「そんなところで命の源である食べ物など到底作れない。TPP参加や消費税増税は断固反対」と決意を述べました。

増税法案を廃案に 政党あいさつ=日本共産党委員長・志位和夫さん

 国会論戦を通じて、消費税の問題点が明らかになってきました。
 第一の害悪は、暮らしと経済をどん底に突き落とすことです。97年の消費税増税は、大不況の引き金になりました。今の日本経済の下で増税が強行されれば、家計消費を冷え込ませ、景気をどん底に突き落とすことは明らかです。中小業者は5%でも消費税が転嫁できずに、ようやく消費税を納めています。増税が強行されれば、中小企業の倒産、廃業が激増します。日本の雇用の7割を支える、中小企業の営業を破壊する暴挙は断じて許しません。
 第二の害悪は、財政危機をさらに深刻にすることです。消費税が3%だった96年と10年を比べると、税収の総額は90兆円から76兆円に落ち込んでいます。消費税増税で日本経済が長期の低迷と後退に落ち込んだことに加え、富裕層と大企業への減税が相まって、税収が大幅に減りました。消費税増税は財政危機を深刻にするだけです。
 第三の害悪は、社会保障の改悪と一体に進められていることです。消費税が導入されて23年、消費税のおかげで社会保障がよくなったことは、一つもありません。
 必要な財源は、無駄遣いを一掃し、応能負担の税制改革で賄えます。併せて、国民の所得を増やし、健全な経済を築けば、税収は増やせます。
 国民の多数は増税反対です。その声を結集して増税勢力を包囲し、増税法案を廃案に追い込みましょう。

議員要請 1000人が地元の声届け「増税やめろ」と直訴

 集会の前後に行われた国会議員要請行動には46都道府県から約1000人が参加しました。地元で集めた消費税増税反対の署名を届け、「増税は絶対にやめてほしい」と国会議員に訴えました。

増税する時期の10万日延期求め
 滋賀県商工団体連合会(県連)の参加者は、直訴状「消費税10%法案の『10万日日延べ』を求める要望書」を用意。江戸時代に幕府の過酷な年貢取り立てに農民が立ち上がり、年貢引き上げを10万日延期させた、近江天保一揆に習ったもので支部長の直筆の名前も入れ、地元国会議員を訪問しました。
 建設業の参加者は「3000万円の仕事で300万円の消費税など、とてももらえない」と訴え。民主党の議員秘書は「住宅などは軽減税率も必要」と、増税自体には反対しない態度。一方、「大企業が抱え込んだ内部留保は多すぎる。中小企業や労働者に回るような仕組みが必要」との認識を示しました。
 岩手県の民主商工会(民商)や民主団体などから参加した59人は、地元選出の国会議員8人を中心に、消費税増税反対の請願署名を渡し、紹介議員になってくれるよう要請しました。
 陸前高田民商の参加者らは、「津波で何もかもが流された中で、消費税が増税されれば生活が立ち行かなくなる」「商売や漁業を再開したい。被災地の復興に力を」と訴え、「紹介議員になれるかは分かりませんが議員に必ず伝えます。署名も預かります」(民主党議員秘書)と答えました。日本共産党の大門実紀史参院議員は「消費税増税は反対です。一緒に復興へ向けて頑張りましょう」と激励しました。

集会呼びかけ人ら要請行動/安住財務相は増税を正当化

 「消費税大増税ストップ4・12国民集会」の呼びかけ人や同実行委員会の代表は集会後、安住淳財務大臣に「弱者をいじめる消費税増税はやめてほしい」と緊急の要請をしました。要請には呼びかけ人の斎藤貴男さん(ジャーナリスト)、山根香織さん(主婦連会長)をはじめ国分稔・全商連会長など16人が参加。日本共産党の佐々木憲昭衆院議員が同席しました。
 斎藤氏は集会に5000人を超える人たちが参加したことを伝えるとともに、消費税は独立自営の生き方そのものを否定するものだと厳しく批判。「一番弱いところをに負担を強いるような税金は考え直すべき」と訴えました。
 山根氏は民主党政権が消費税を上げないと公約してきたことに触れ、「消費税を増税せず他の方法で見直すなど方向転換を」と発言しました。
 被災地から参加したみやぎ生協の沼倉優子副理事長は「被災地にとって10%は過酷」とし、増税の撤回を求めました。
 このほか税理士や労働者の立場からも発言が相次ぎました。
 安住財務相は「好きで増税するものはいない」としながらも「消費税問題は見解の相違で残念」と増税強行の姿勢を変えませんでした。

全国商工新聞(2012年4月23日付)
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