税務調査で是認
日常の自主計算が力に

全国商工新聞 第3350号2019年2月25日付

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一美さんと一緒に税務調査を乗り越え、笑顔の山根さん(中央)と、田口会長(左)

 税務調査を受けていた福岡民主商工会(民商)の山根祐紀さんは1月9日、本人の確定申告の内容を認め追徴税額が発生しない「是認」を勝ち取りました。納税者の権利を学んだことや自主記帳・自主計算が力になり、税務署員の質問にもしっかりと答えることができました。「最初はどうなるかと思ったけれど、民商の仲間に励まされて調査を乗り越えることができた」と笑顔を見せています。

 「ユウキペインティング」を経営する山根さんは2013年に独立開業し、同業者で福岡民商の田口剛史会長の紹介で入会。経理を担当した妻・一美さんが民商で自主記帳・自主計算を学び、毎年、真面目に申告していました。
 約10人の職人と一緒に建築や船舶の塗装を請け負い、持ち前の明るさで売り上げを順調に伸ばしてきました。
 筑紫税務署の女性署員から電話が入ったのは18年8月。「2015年から17年までの消費税と所得税について調査をしたい」と告げられました。民商で「税務調査の心得」を学んでいた山根さんは「事前通知の11項目」を確認するなど、毅然と対応しました。
 地域建設業者が立て続けに税務調査に入られ、「数百万円の追徴課税をされた」ことなどを聞いていた山根さんは、すぐ民商の事務所に連絡をして対策を相談。一美さんとともに、民商であらためて納税者の権利を学び、経験者の話を聞きました。
 ちょうど、全国業者青年交流会(9月23、24日)が福岡で初めて開かれる直前で、県内民商への訪問や県連会議などに参加する機会が多かった山根さん。多くの仲間から「みんながいるから大丈夫」と励まされ、自信を持って調査に臨むことができました。
 事務局員とも打ち合わせをした後、1回目の調査が9月14日に行われ、一美さんと一緒に対応。田口会長や事務局長が立ち会いました。しかし、署員は立ち会いを拒否し、山根さんは「納得できない。調査は受けられない」と主張し、署員を帰らせました。
 2回以降は、事務局員が別室に待機して調査を受け、署員は帳簿をチェックしました。職人の外注費や交際費の問題を指摘されましたが、一美さんがきっちり帳簿を付けていたため、「外注費に間違いはない」「人と人との付き合いで仕事をもらっているので、交際費は多くて当然」と自信を持って主張し、自分たちのペースで調査を進めました。
 1月9日、5回目の調査が行われ、申告にまったく問題はなく、「是認」で終了。署員が玄関を出てドアが閉まった直後、調査を共に乗り越えた一美さんとハイタッチをして喜び合いました。

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