雇用保険 個人番号強要やめよ

全国商工新聞 第3327号9月10日付

従業員が提出拒否 10月以降も不記載でも受理

労働保険事務組合 規約改正せずも不利益なし

 全国各地で、雇用保険手続きにおいてマイナンバー(個人番号)の届け出や記載をハローワークが求めている問題で、全国商工団体連合会(全商連)は8月24日、厚生労働省職業安定局雇用保険課にヒアリングを行い、「本人の提出拒否は、番号不記載でも受理」「事務組合の番号取り扱いの規約改正をしなくても罰則・不利益なし」との回答を得ました。山形、新潟、千葉、東京、神奈川、愛知、京都、兵庫、山口の労働保険事務組合のある民主商工会(民商)から約20人が参加しました。

全商連ヒアリングに 厚労省が回答

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雇用保険手続きの個人番号記載について追及した全商連の遠藤強常任理事(中央)

 個人番号の記載がない書類を受理することや10月以降の個人番号の届け出・記載が無い場合の対応について要請。前回のヒアリング(3月20日)でも確認した、従業員が個人番号の提出を拒否する場合について「10月以降も届け出を受理する」ことを確認しました。一方で、番号の「管理体制が整っていない」「取扱要綱を定めていない」とした事業所および労働保険事務組合の事由による個人番号の記載がない届け出については「10月以降、個人番号の記載がない書類は返戻する」と回答しました。
 この問題は、今年4月の厚生労働委員会で加藤勝信厚生労働大臣答弁のほか、厚労省との数度のヒアリングで、個人番号不記載でも雇用保険手続きを受け付ける回答を引き出した以降も、ハローワークから個人番号の記入を要求されたほか、「『9月末までは不記載でもいいが、10月以降は受け付けない』と言われた」という報告が各地から多く寄せられていたもの。「労働保険事務組合で9月末までに個人番号の取扱規定を定めるように指示された」という報告もありましたが、今回、10月以降において、労働保険事務組合が規約および取扱事項を整備していない場合についても確認し「認可取り消しなどの罰則・不利益などは考えていない」との回答を得ました。
 参加者は「番号法では、個人番号を記載することを義務としていないのに、省令で強制していいのか」などと追及。番号法には義務の定めがないことを認めるものの「省令で書類の様式に個人番号の記載欄を設けているので提示・記載を求める」との説明に終始しました。また、「雇用保険被保険者資格喪失届など、書類が受理されない場合、不利益につながるのではないか」との指摘に、担当者はその場で回答できず「雇用保険課で検討する」とし、あらためて事業所・従業員の不利益にならないよう要請しました。
 各地のハローワークで「個人番号の記載がない書類は、(本人の提出拒否でも)10月以降は受け付けない」「ハローワークの窓口で、職員が記載する個人番号が、来所者に見える距離で行っている」など、ヒアリングの回答と異なる対応や個人番号の取り扱いに問題がある実態を告発。担当者は、すぐに指導することを約束し「問題のあるハローワークがあれば、各県労働局に相談し、県労働局で対応されない場合は、厚生労働省職業安定局雇用保険課に相談を」と話しました。

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