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  トップページ > 税金のページ > 徴税攻勢 > 全国商工新聞 第2923号 4月19日付
 
税金 徴税攻勢
 

差し押さえで孤独死・県に実態解明を要請=千葉


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地方税の滞納を理由に年金口座を差し押さえた長生村役場

 地方税の滞納を理由に、自治体から年金口座を差し押さえられた77歳の男性が1月に孤独死した問題(別項)で、社会保障推進千葉県協議会と年金者組合千葉県本部は3月24日、連名で県知事宛に要望書を提出。茂原民主商工会(民商)などから8人が参加して、この問題を県にただしました。総務部税務課収税管理室長など5人が応対。
 「差し押さえを実行した長生(ちょうせい)村の調査を行い、経過を明らかにせよ」と要請したのに対し、「市町村固有の事務であり、今回のことは調査していない。権限もない。徴税吏員は情報を出すことが禁じられている」と回答しました。
 また、県滞納整理推進機構が長生村で指導をした事実について、「村の依頼を受け、昨年7月1日から9月末まで派遣した。対象は個人住民税であり、今回は国保税・固定資産税の滞納なので関係ない」と県の関与を否定。
 長生村議会で「サラ金よりむごい」「弱者の視点がない」と批判が相次いだ「滞納整理実務マニュアル」については「把握していない」と答えました。
 参加者はその場でマニュアルを読み上げ、「これに沿った取り立てが実行されているのではないか。住民の生活実態を把握しているのか」と追及。「地方税法では災害・生活困窮など特別の事情を考慮するとしている。各部署と連携し、納税相談できる技術力が求められる」と答えました。
 参加者は「相談といっても、冷たい対応の窓口も多い。相談者の声に耳を傾けて生活実態を見てほしい。今回の事案を教訓にして、この要請を実のあるものにしてほしい」と訴えました。


窓口で門前払い
 実態調べず差し押さえ

 千葉県鴨川市のアパートで今年1月、孤独死している77歳の男性が発見された。男性は09年2月まで生活保護を受けていたが、年金担保融資の返済完了とともに保護廃止に。
 男性は、長生村に住んでいた99年度から01年度にかけて国保税と固定資産税を22万4900円を滞納。延滞金は28万5200円に。
 長生村は昨年10月、銀行口座に振り込まれた年金を差し押さえ。男性は長生村に困っていることを訴えたものの取り合ってもらえず、自宅に帰るための交通費5000円を取り戻しただけだった。
 長生村はその後も男性の暮らしを調査することなく、12月にも差し押さえを実行。鴨川署によれば死因は「餓死」で、ベットの脇で上向きに倒れ大きく口を開け死亡していた。死亡推定は1月初旬で、所持金は10円玉と5円玉のみで110円。
 この問題を取り上げた、長生村議会で村は「督促状の発送のみで面談はしていない」と答弁。納税指導もせず差し押さえをしたことについて、「差し押さえると相手から連絡があるので話ができる」と答えた。また、「差し押さえ時の口座には24万8170円の年金額のみだった」と答え、差押禁止財産である年金だと承知した上で処分した可能性を追及された。
 この事件は新聞・テレビでも報道され、日本共産党の佐々木憲昭衆院議員が4月2日に衆院財務金融委員会で質問。渡辺総務副大臣は「非人道的な徴収はあってはならない。この認識を地方とも共有したい」と答弁した。


   
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