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徴税攻勢・納税者の権利
国税庁がOBに仕事あっせん
1人792万円(年額)も
こんなのあり? 署長らの天下り
 国税庁が毎年、退職する署長や局長などの指定官職に組織的に顧問先をあっせんしている驚くべき事実(税理士天下り)が明らかになりました。日本共産党の佐々木憲昭衆院議員が2月27日、衆院財務金融委員会で追及したもの。中小業者が改悪消費税法下、大変な思いで納税しているときに、「もっとも税に公正であるべき税務署員が納税者の弱みにつけこんで、私腹を肥やしている」と怒りを呼んでいます。

国民、中小業者への徴税攻勢を強める国税庁
 税務職員は23年以上、税務署に勤務し、研修を受ければ税理士の資格が実質的に無試験で付与されています。この制度のもと、05年3月末時点で税理士6万8642人のうち元国税職員が2万2343人と3分の1(32・6%)を占めるという異常な状態です。
 佐々木議員が問題にしたのは、指定官職(署長、副署長以上、地方国税局の課長クラス以上の役職)が退職する際、国税庁の承認のもとで組織的に納税者の中から顧問先を選定し、あっせんしていることについてです。
 国税庁の石井道遠次長は「昨年7月の退職者359人にあっせんをおこない、1人あたり10・9件、月平均の顧問料は66万円(年間792万円)」と認めました。総額28億4328万円、年間4000件近い企業をあっせんしています(図参照)。
 谷垣禎一財務大臣は「退職後、いろいろな心配をしないで職務に専念するためやっている」と答弁。佐々木議員は「定年後どうするかは自由。組織的にこういうことをやるのはおかしい」「東京税理士会の最近のアンケートでも『税務行政上、不公正、不明朗等の認識を与え、税務当局への不信感を醸成する』『税理士資格取得の面で恵まれており、このような行為は廃止すべきである』などの声が多数寄せられている。確定申告で中小業者は大変な思いをしている。ただちにやめるべきだ」と迫りました。
 谷垣大臣は「国民の批判や疑惑を受けないよう、その都度見直しをする」と答弁しました。
 この問題をめぐっては、02年1月、浜田常吉元札幌国税局長が退職後の約5年間に大手企業を含む約200社の顧問税理士などにつき、7億4000万円の所得を隠し、約2億5000万円の脱税容疑で東京地検に告発されるという事件がおき、国民の大きな批判を受けました。同氏は顧問先の脱税指南もおこなっていました。
 北野広久日本大学名誉教授は「税理士は税務行政の補助機関ないし税務代書人であってはならず納税者の代理人でなければならない」(北野弘久著「税法学原論」)と述べています。
 しかし、国税庁による税理士天下りのもと、「税理士法において規定されている現実の税理士の法的地位は納税者のあるべき代理人に程遠くトータルにいって税務行政の補助機関ないし税務代書人的存在であるにすぎない」のが実態です。
 税務署は中小業者に対しては、権力的な税務調査や徴収で弱い者いじめをおこなう一方で、こうした悪しき慣行を続けることで、税務行政への不公正と不信を自らつくりだしています。税理士天下りをただちにやめなければ、納税者や国民の信頼を得ることはできません。



すぐやめて
東京・渋谷居酒屋 三浦光子さん
 防衛施設庁の談合など、官庁の上の人たちは中小業者の大変さが何も分かっていません。夫は河岸に仕入れに行った日は20時間も働き続け、私も帳面を必死でつけています。税務調査を受けましたが、署員は帳面をまともに見ず一方的な処分をいってきました。もうかっている企業は金を払って幹部職員OBを番犬がわりにできるのかもしれませんが、こっちは消費税を43万円払うのも大変な思いなんです。すぐやめてください。

現職署員の話
 02年に逮捕された元札幌国税局長の浜田氏は、元国税庁の監察官で職員の不正を正す立場にあった人。それだけに、根が深いと思った。私が就職した73年には税理士天下りはすでにあり、ずっと昔からやっている悪しき慣行だと思う。02年からは世論の批判もあって、署でのあっせんはやめ、局の人事課がやっていると聞いている。顧問先も当然、見返りを期待しているわけで、税務調査で判断が分かれるグレーゾーンのところで、そういう人から声がかかったら、手加減するということは十分ありえる。税の公正が損なわれるこういうことは、やめるべきだ。

「全国税東京OB会便り」の投書より
 ある時、以前の直属の上司が私の税理士事務所を訪ねてきました。彼の本意は分からないまま話を終えようとした時、彼はおもむろにお客を1件か2件もらえないかと言いました。私は「あなたが満足できるような事案はないです」と断りました。相手は退職金も年金も満杯もらっています。
 その後、当事務所で一番のお客さまに元OBの署長が入ってきました。納税者をうまく言いくるめたようです。いわゆる2階建てです。ところがそれから4年後さらにもう1人のOBの署長が上乗りしてきました。3階建てです。
 署長で辞めれば年金もかなりあるのにどうしてか、当局の紹介の年限も切れたらしく、無理に私のお客さまに入ってきました。
 これも納税者をうまく説得したようです。私は納税者に聞きましたが、社長は「用心棒としてなら十分だ」といいます。
 私としてはたまりません。署長という要職を経験するも、なんというぶざまな奴なんだ。恥を知れと言いたい。

税務署が突然来たら…
 確定申告がすぎましたが、税務署は、4月から消費税重点の「着眼調査」を開始し、6月までに終わらせる計画です。(本紙3月13日号2面参照)高知では「お宅は消費税の届出が提出されていません」と、税務署が電話してきています。
 税務署員が突然訪ねてきたときは、署員の身分証明書を確認し、氏名、所属をメモし、事前連絡のない来所はきっぱりと断りましょう。そしてすぐ最寄りの民商の役員か事務局にご相談ください。
 
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