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視点「自衛隊の南スーダン『日報』」

日本平和委員会「平和新聞」編集長 布施 祐仁

生々しい戦闘状況を報告 内戦状態を直視し撤収を
 私の開示請求に対して、昨年12月2日に防衛大臣名で「既に廃棄しており、保有していない」と通知があった陸上自衛隊南スーダン派遣施設隊の「日報」(南スーダンの首都ジュバで政府軍と反政府勢力の大規模な武力衝突が発生した昨年7月7日から12日の分)。これが、実は廃棄されずに保管されていたことを知ったのは、今月6日のことでした。
 文書が見つかったのは、統合幕僚監部(統幕)でした。統幕は、防衛大臣の命令を受けて陸・海・空自衛隊の運用を一体的に行う「司令塔」です。 統幕は当初、本来廃棄されているものが、たまたま保存している者がいて見つかったと説明していました。しかし、その後、第1次隊から今日までのすべての日報を組織的に保存し、歴代の担当者の間で引き継いでいたことを明らかにしました。「ある」ものを「ない」と偽って、私に対して不開示決定をしていたのです。

 防衛省が公表した日報は、依然として黒塗りが各所にあり、重要な情報は隠されていると思われます。しかし、開示された部分からも、当時の深刻な戦闘の状況が浮かび上がります。
 13時10分「宿営地5、6時方向で激しい銃撃戦」
 13時15分「宿営地南方向距離200(メートル)・トルコビル付近に砲弾落下」
 7月11日の「日報」には、自衛隊宿営地のすぐ目の前のビル周辺で、戦車も出動しての激しい戦闘があったことが記されています。部隊の安全についても「宿営地周辺での射撃事案に伴う流れ弾への巻き込まれ、市内での突発的な戦闘への巻き込まれに注意が必要」と強調しています。
 さらに、11日に政府軍と反主流派の双方に停戦命令が出された後も、「今後もUN施設近辺で偶発的に戦闘が生起する可能性があり、流れ弾には注意が必要」(12日の日報)と喚起。状況が悪化した場合の「予想シナリオ」として、「ジュバでの衝突激化に伴うUN活動の停止」(同)まで想定していました。
 一方、当時の中谷元防衛大臣は「戦闘」という言葉を使わず、「散発的に発砲事案が生じている」(12日の会見)などと表現を弱めて説明。駆け付け警護など安保関連法による新任務付与の是非が議論になった昨年10月の参院予算委員会でも、安倍晋三首相が「戦闘行為ではなかった。衝突、いわば勢力と勢力がぶつかったという表現を使っている」と答弁し、和平合意も含めてPKO参加5原則は崩れていないとの立場を堅持しました。そして、日報で報告されている戦闘の実態を隠したまま自衛隊の派遣延長と駆け付け警護などの新任務付与を強行したのです。

 もう一つ重大なのは、統幕が稲田防衛大臣に文書が見つかったことを報告したのは、発見から1カ月も後だったことです。さらに重大なのは、すでに文書の存在が確認されていたにもかかわらず、1月25日の衆院本会議で共産党の志位和夫委員長の代表質問に対し、文書が廃棄されていることを前提に安倍晋三首相が答弁を行ったことです。首相の答弁作成には統幕も関与しており、統幕は最高司令官である首相に国会で事実上の「虚偽答弁」をさせたことになります。

 これらは、いずれもシビリアンコントロール(文民統制)の根幹に関わる問題です。根本的には、現地の真実を隠し、ねじ曲げなければ活動を継続できない日本政府の南スーダンPKO派遣のあり方に問題があります。南スーダンは国連安保理決議も「武力紛争」と明記する、まぎれもない内戦状態です。その事実を直視し、自衛隊を直ちに撤収させるべきです。そして、国連が「ジェノサイドの危機」と警告する同国での戦闘や民間人への攻撃を停止させるための外交努力など、非軍事の分野での貢献に力を注ぐべきです。

全国商工新聞(2017年2月27日付)
 

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