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  トップページ > 活動のページ > 全国商工新聞 第3191号11月9日付
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活動 全中連
 

業者が役割果たせる社会に=全中連省庁交渉

要求示し8省庁と交渉
 全国中小業者団体連絡会(全中連)は10月27、28の両日、消費税率10%への引き上げ中止、マイナンバー制度の延期・中止、小規模企業振興基本法(小規模基本法)に基づく地域経済の活性化、災害復興対策など中小業者の切実な要望を掲げ、経済産業省、国税庁など8省庁と交渉しました。概算要求に中小業者の要望を反映させるため全中連が毎年行っているもので、全国から約100人が参加。交渉に先立って行われた集会では、日本共産党の藤野保史衆院議員があいさつしました。

外形標準課税の除外を 「適用の余地ない」=中企庁
 外形標準課税の中小企業への適用反対、軽減税率の導入ではなく消費税率の10%引き上げを中止するよう強く要望。また、小規模基本法に基づく自治体の条例や振興基本計画の策定状況の把握・公表を求めるとともに、地域振興のため自治体が自由に使える交付金を創設することなどを求めました。
 省側は、外形標準課税の適用について「その余地はないと思う」回答。消費税増税を前提とした軽減税率導入議論について、参加者は「軽減税率は毒の入ったあめ玉」「消費税増税をやめればいい」と抗議しました。
 小規模基本法に基づいた自治体の条例設定や振興基本計画の策定状況について、担当者は「つかんでいない」と答えた上、掌握する予定はあるのかとの質問にも「今のところはない」などと無責任な回答を繰り返し、参加者から「基本法に基づいて指導するのが中小企業庁の役割ではないか」と怒りの声が上がりました。
 地域経済と中小企業をつぶすTPPから撤退せよとの要望について、担当者は「輸出によるメリットは大きい」「協定を利用することが大事」など、実態を無視したTPPメリット論を展開。参加者は「中小企業の実態を知らないのか」「どういう影響が地域経済や中小業者に出るかを、もっと知るべきだ」と、抗議の声を上げました。

法定福利費の保障図れ 「標準見積書を徹底」=国交省
 「地域経済効果は実証済み」「国としても助成に後押しを」と住宅リフォームなど仕事おこしの促進を要望。各自治体が工夫し、全国に広がっていること、社会資本整備交付金の効果促進事業としても活用できると回答しました。
 社会保険未加入業者が取引から排除されている問題では、改正「品確法」の趣旨にある「担い手が中長期的に育成、確保されるための発注者責任」を果たすため、法定福利費が国・自治体・元請けから確実に移転されるよう指導強化と実態把握を要望。清水建設が10月から全取引企業(2次下請けまで)の社保全額負担を開始したことを示し、「標準見積書」の徹底を求めると「良い動きは広げたい。声を上げてほしい」と応じました。
 参加者は、公共工事設計労務単価が3年連続で引き上げられているのに、2次、3次下請け段階では、1万円にも満たない実態を告発。省側は、設計労務単価の全国平均が1万5678円になっているとし、「技能労働者への適切な賃金水準の確保を」の要請書(大臣、副大臣名)を民間発注業者、自治体に求めてきたと述べました。

年度末資金に配慮を 「金融機関に要請する」=金融庁

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金融庁に要請する全中連の藤川隆広幹事

 「融資は財務内容や過去の実績、担保・補償にとらわれず、事業継続や意欲を積極的に評価すること」「『経営者保証に関するガイドライン』に基づく経営者保証に依存しない新たな融資を小規模法人や個人事業者に適用し、過度な金利上昇が起きないようにすること」など5点を金融機関に働き掛けることを要望。今年度の金融行政方針「融資先企業へのヒアリング」を小規模事業者も対象に行うことなどを求めました。
 庁側は「融資の際は将来性、技術など見えないものを評価し企業を応援していかないと、金融機関も苦しくなる」「ヒアリングは小規模企業者にも行い、結果は公表する」「『経営者保証に関するガイドライン』は小規模事業者、個人事業にも積極的に適用していくよう促す」など前向きに回答。「融資需要の高まる年度末に向け、金融機関のトップと金融庁の意見交換会で、中小企業の資金繰りがスムーズにいくように要請していく」と答えました。

指導か調査明示せよ 国会答弁示しただす=国税庁
 法や通達にのっとった税務手続きの徹底や、マイナンバー(共通番号)制度の取り扱いなど11項目について要望しました。
 共通番号では確定申告書等に本人または従業員などの番号が"未記載"だった場合や、番号を事業者が"扱わない・受け取らない"とした場合でも、「罰則、不利益はなく、未記載でも申告書は受理する」と明言。税務署窓口での対応について、「番号通知・本人確認ができなくても申告書は受理する」と回答しました。
 広島・三原民商の参加者が、「税務調査と行政指導が併記された文書が、三原税務署長名で発行されている事実を突き付けて、衆院財務金融委員会(2014年11月12日)では佐川宣寿国税庁次長(当時)が「来署依頼する場合、税務調査か行政指導かを明示する」とした国会答弁を順守するように要請しました。

課税最低限の引き上げ要求=財務省
 消費税増税の中止、消費税の事業者免税点を3000万円に戻すこと、消費税仕入控除否認の廃止、所得税の課税最低限を4人家族で300万円に引き上げること、大企業への法人税率を消費税導入前の42%に戻すことなどを要望。財務省は、消費税が転嫁できない実態や消費税増税が不公平取引を助長する原因となっていることを示す全商連の「経営・暮らし・健康の向上実態調査報告書」と営業動向調査を掲載した「中小商工業研究誌」を受け取り、「しっかり拝見させていただく」と応じました。

被災事業者に直接的支援を=内閣府
 共通番号制度や台風18号(9月10日)の影響を受けた茨城県常総市を中心とした豪雨災害への直接支援などを求めました。
 被災者生活再建支援法を改正して支援対象を半壊や一部損壊にも拡大し、住居と店舗は一体になっている場合も対象にするよう要望しました。「住居部分については被害認定ができるので自治体と相談してほしい」と回答しました。また、「台風18号は激甚対象になっているので、使える制度を活用してほしい」と答えました。
 参加者は「常総市では機械が水に漬かって仕事ができず、廃業を考えている人もいる。融資だけでは生活や営業は再建できない。直接支援が必要」(茨城)、「阪神大震災で被害を受け、融資を受けて営業を再開したが、消費税が3%から5%に上がって売り上げが激減し、店舗を手放した。返済はまだ続いている。直接支援が大事」(兵庫)など厳しい実態を訴えました。

社会保険料徴収で告発 「相談先を連絡する」=厚労省

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労働保険事務組合にマイナンバーの記載義務も記載しないことによる不利益もないことを確認した厚労省交渉

 マイナンバー(共通番号)に関わって、労働保険事務組合に対する個人番号の取扱要綱で「施錠可能なキャビネット・書庫やシュレッダー、専用パソコンなどの安全管理措置が必要」と明記されている問題で、「ハローワークが監査を行うことはあるのか」と質問。「ハローワークが、労働事務組合に対して、安全管理措置がとられたかどうかを監査することはない」(職業安定局雇用保険課)と言明しました。
 社会保険の強制加入問題では、日本年金機構がこの間の交渉で「実情を丁寧に聞き取り、納付相談に応じる」と繰り返し回答してきたのに対し、各地の年金事務所では「1円でも足りなかったら、約束違反だから受け取らない。払えないなら、差し押さえをする。民商の会費を払うくらいなら、社会保険料を支払えなどの暴言を吐かれた」(金沢南年金事務所)など、人権侵害の事例が横行している実態を告発。「今後、こうした事例が起きた場合、どこに相談すればいいのか」と迫り、「11月初めくらいまでに全商連に連絡する」との言質を得ました。

強権的な徴収やめよ 「自治体に適正化促す」=総務省

 マイナンバー(共通番号)制度について、複数の自治体で個人番号が漏えいした問題で、省側は「極力起きないように職員の意識改革を進める。各関係省庁とも連携して取り組む」と回答。参加者は「地元では重すぎる実務負担に『対応できない』という声が上がっている」(京都)、「漏れた場合はすぐ対応するでは済まされない。できないなら延期すべき」(埼玉)などと指摘し、制度の延期・中止を強く求めました。
 徴収行政について「生活困窮者などへの無理な取り立ては慎むべきと考えている。26年度に続き27年度もその旨の事務連絡を出した」と回答。参加者は「振り込まれた給与全額の差し押さえや、児童手当も本人からの申し出がなければ差し押さえてよいという態度」(群馬)、「個々の実情は関係ないと言い放つ職員がいる」(埼玉)、「県租税債権管理機構の徴収により自殺者が出た」(茨城)など、一向に改善しない強権的徴収の実態を示し、見解を求めました。
 省側は「すごい現実を聞いた」と驚き、各自治体に適切な執行を促すことを約束しました。

全国商工新聞(2015年11月9日付)
   

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