大規模な統計データ不正が発覚
消費税増税を強行する根拠なし

全国商工新聞 第3350号2019年2月25日付

 安倍晋三政権下で、統計データの大規模な偽装が発覚し、深刻な影響を広げています。働く人の賃金や労働時間などを調べる「毎月勤労統計調査」が、厚生労働省により長年にわたり誤った手法で行われ、隠され続けていました。
 同統計調査は、雇用保険の失業給付、労災保険の休業補償給付、育児休業や介護休業の給付などの算定額の基準になっており、国民生活に直接の影響を及ぼします。
 統計不正によって賃金水準が低く出たため、それらの制度の給付減は、延べ2000万人、総額約570億円に上ると推計されています。
 さらに問題なのが、厚労省が2018年1月から、賃金の調査結果をかさ上げする「データ修正」を密かに行っていたことです。同年の「現金給与総額」は前年同月比で大半がマイナスなのに、年間を通じて賃金水準が大幅に改善されたように偽装されていました。
 安倍政権はこれら賃金上昇などを「景気回復」の根拠にして、10月からの消費税10%増税を正当化してきました。
 統計不正は底なしの様相を見せています。基幹統計の半数近い23の統計で誤りがあったと発表され、厚労省の独自算定による「物価偽装」が、生活保護費の大幅削減につながったとの報道もあります。
 統計不正で政府への信頼は根幹から揺らいでいます。「政府統計を信用できない」とする声は、大手新聞社の世論調査で7~8割に上っています。また、日本経済学会は声明を発表し、「日本の統計を通じた実証研究の国際的な信頼性は大きく揺らいでいる」と強く警告しました。
 今回の問題は、森友・加計問題、裁量労働制など昨年の国会で大問題になった安倍政権の改ざん、隠ぺい体質をあらためて浮き彫りにしました。国会での徹底解明は被害救済と再発防止とともに、消費税10%を含む政府予算の審議を進める上での大前提です。
 増税判断の根拠が覆った以上、消費税増税を強行する道理はありません。国民生活を破壊する消費税増税やめよの声を、今こそ大きく上げる時です。

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