岡崎民人・全商連事務局長に聞く
今年の民商・全商連運動

全国商工新聞 第3344号2019年1月14日付

共同の時代に民商の本領発揮

─1年をどう展望しますか。

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 安倍政権による、民主主義、立憲主義、平和主義の破壊が極まっています。森友・加計疑惑に限らず、偽装と改ざん、隠ぺいを重ね政治モラルを失墜させています。消費は低迷し続け、成長戦略の柱であった原発輸出に失敗するなど、アベノミクスの破綻が誰の目にも明らかです。
 露骨な対米追随で米国製の高額兵器を「爆買い」しながら、日米2国間の自由貿易協定でも譲歩し、経済主権を売り渡そうとしています。安倍首相は、憲法尊重擁護の義務さえ投げ捨て、9条改憲に固執しています。国会での数の横暴や行政府に対する専制支配を強めています。
 一方で、市民と立憲野党の共闘が安倍暴走政治を追い詰めています。「税金の民商」として歴史を刻み、「平和でこそ商売繁盛」を信条として活動してきた民商・全商連の本領を、共同の時代にこそ発揮していきたいと思います。

─10%増税を中止させるためには。

 安倍政権は、10月に消費税率を10%に引き上げ、複数税率とインボイス制度の実施を狙っています。消費税は、貧困と格差を拡大し低所得者に負担を強いる税制です。地域経済や国民生活への影響は計り知れません。
 8%と10%が混在する複雑さを含め、膨大な実務を中小業者に押し付ける複数税率の害悪は明白です。インボイス制度で約500万もの免税業者が取引から排除される危険性が高まります。政府が検討している「増税実施の景気対策」もクレジットや住宅、自動車など特定の業界大手をもうけさせるだけで、景気の底割れや商売の大混乱を防ぐ力にはなりません。しかも時限的かつ部分的な措置であり、増税中止こそ最大の景気対策です。
 昨年末には、著名な10氏が呼び掛けた「10月消費税10%ストップ!ネットワーク」が結成されました。地域で著名人に賛同を呼び掛け、「この時期に10%増税は中止を」の一点で大きな運動を展開します。
 新年からはネットワークの署名で宣伝・対話を広げ、議員要請と地方議会での意見書採択、国会で中止決議を迫ります。「税制で商売をつぶすな」の声を上げるときです。
 税のあり方と使い道を正す世論と運動を広げます。在日米軍の「思いやり予算」の廃止、過去最高の軍事費を大幅に削減して、社会保障や中小企業予算を増やすことです。「社会保障のため」というウソはもはや通用しません。莫大な利益を積み上げ、425兆円もの内部留保を蓄える大企業や、大もうけしている富裕層に応分の負担を求めるべきです。
 確定申告では、納税者同士で集まって、学び合い、自ら記帳・計算し、申告書を仕上げることが大切です。50回目を迎える3・13重税反対全国統一行動は、自主申告運動への弾圧をはね返すとともに、地域の広範な団体との連携も強めます。法人申告の会員にも呼び掛け、納税猶予の申請とも結合し大きく成功させましょう。

─経営要求も高まっていますが。

 異常気象や風水害、地震が相次ぐ中、救援から経営・暮らしの再建へと助け合いの相談活動を展開してきました。原発再稼働中止と完全賠償・賠償金非課税を求めます。
 集まって、話し合い、相談し、助け合う活動こそ民商運動の原点です。班・支部で「商売を語る会」を開き、まちづくり、業種別・問題別対策を強めます。「仕事と顧客確保」「負担軽減」「資金繰り」対策など困難に立ち向かう力を高めます。
 国・自治体の予算編成に留意し、エアコン設置やブロック塀対策、リフォーム・リニューアル助成の施策も生かして、分離・分割発注で、住民要求に応える仕事の確保に力を合わせます。当初予算化された、自治体連携型持続化補助金やものづくり補助金などの学習と事業計画づくりを強めます。
 全自治体との懇談・要請を継続し、自然エネルギー条例、公契約条例など循環型地域経済の政策提案を強め、自由貿易協定から地域を守ります。
 2月6日には、全国中小業者決起大会と併せ、省庁交渉、国会議員要請、デモ行進などが取り組まれます。各地・各分野・業種別の要求と署名を総結集しましょう。大会を機に実現した成果を、直ちに地域で生かしてほしいと思います。

─平和・民主主義を守る取り組みは。

 「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」3000万人全国統一署名を思い切って広げ、改憲発議を阻止します。
 辺野古の「美ら海」への土砂の投入に怒りが広がっています。
 「オール沖縄」の団結、県民の「新基地ノー」の決意、全国の支援がある限り新基地建設はできません。2月の住民投票では圧倒的な民意を示しましょう。
 核兵器禁止条約の採択を踏まえ、日本政府に批准を迫るたたかいも大きく広げたいと思います。
 統一地方選挙と参議院選挙の年です。すべての政党・会派、議員・候補者に中小業者の実態と要求を届け、安倍政権打倒へ「野党は共闘」を働き掛けます。

─仲間づくりも期待されています。

 中小業者が役割を発揮できる社会を実現するには、道理を掲げ、団結を強め、国民共同を推進する民商・全商連が大きくなることが大切です。地域にどんな民商をつくるのか展望を語り合いましょう。
 積み重ねてきた数々の成果や実績、仲間の温かさのある民商の魅力を、ぜひ地域の中小業者に知らせていただきたいと思います。中小業者の生きる道ひらく相談活動を大きく広げ、要求運動と組織建設を一体に推進します。8月の読者25万人・会員18万人突破に力を合わせます。商工新聞の積極活用、学習を力に助け合いが実感できる班・支部建設を推進します。
 5、6月には6会場で、民商、共済、婦人、青年の役員合計2000人以上が集う地方別活動交流会を開きます。地域から運動の前進を持ち寄りましょう。
 家族一人ひとりの要求を大切にし、力を合わせて困難を解決するのが民商・全商連運動です。
 共済会は、いのちと健康を守る助け合いの輪を広げ、会員加入率80%をすべての組織が早期に突破します。
 婦人部は、実態調査と業者婦人決起集会を成功させ、「いのち・暮らし・商売」を守ります。
 県連青年部協議会と県連が共催し、全ての県で「民商サクセション(継承)」企画を練り上げ、業者青年に魅力ある民商建設に生かします。

─2年後は創立70周年を迎えます。

 読者30万人・会員20万人を回復し、会勢を前進の軌道に乗せて70周年にあたる2021年を迎えましょう。
 記念事業は今後検討されますが、その一つとして、築50年を超え老朽化した全商連会館の建て替えを行います。運動を次世代に引き継ぐ一大事業として、団結の「とりで」の建設募金にご協力をお願いします。
 中小業者が希望の持てる政治・経済・社会をめざして、力を合わせましょう。

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