北海道で大規模停電(ブラックアウト)
電力の安定供給は分散型でこそ

全国商工新聞 第3337号11月19日付

 北海道全域が損害を被った「ブラックアウト」から2カ月余がたちました。全国初の出来事で、その被害総額は少なくとも3000億円を超えると報道されています。
 北海道電力の対応について国や電力関係団体は検証を行い、「中間報告」は、震源に近い発電所の停止と送電線故障などの「複合要因」を原因としました。
 しかし、広大な地域の電力需要の半分を1カ所の発電所で賄おうという「いびつな供給体制」そのものについては、「不適切とは言えない」と電力会社の言い分を容認する内容です。
 また、九州電力も「大停電を防ぐため」の電力の需給調整として、再生エネルギーからの受け入れを一時的に減らす「出力抑制」を繰り返す一方で、原発稼働は最優先の課題として事業展開を進めています。
 福島原発事故後、日本全国で原発をなくし、再生可能な自然エネルギーの活用を広げる世論が高まっています。北海道地震の際にも太陽光パネルを取り付けていた家庭で、日中だけでも自家発電ができ「本当に助かった」という声も上がっています。
 北海道連と民商は1000人を超える「被害実態調査」アンケートを集めて北海道庁と懇談し、「中小業者への支援強化」と併せ、「二度と大規模停電を起こさぬ対策」を求めました。
 今回の全道停電は北海道電力の責任が極めて大きいといえます。「1~2カ月分の電気料金の免除を」「何らかの社会的責任を取るよう道庁が積極的な役割を果たしてほしい」などの怒りの声が寄せられました。
 安倍政権は国民の世論を無視し、再生エネルギーを主力電源とする時期をどんどん後退させています。こうした国のエネルギー政策への批判とともに、国民生活にとって重要な電気の安定供給に責任を持つべき大手電力会社に対しても「従来の大規模集中型でかつ原発依存から地域分散型の電源システムに転換すべき」という声を大きくしていく必要があります。
 原発再稼働反対の運動と結び、自己の利益優先ではなく電力会社の社会的責任を明確にしていく運動を旺盛に展開していくことが求められます。

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