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  トップページ > 方針・決議 > 全国商工新聞 第3218号6月6日付
 
方針・決議
 

私たちの要求

中小業者の経営振興と人間復権の実現をめざす基本要求
一、危機打開をめざし、地域経済振興と経営対策を
二、消費税増税を許さず、税金・社会保障対策を
三、憲法改悪反対、平和・中立・民主の日本を
四、教育・保育を充実し、文化・スポーツ振興を

中小業者の経営振興と人間復権の実現をめざす基本要求
1、日本国憲法を守り、国民が主人公の政治・外交・経済政策に転換すること。戦争法(安全保障関連法)を廃止すること。立憲主義を回復し、憲法改悪につながるあらゆる策動を直ちにやめ、憲法の平和的・民主的条項を完全実施すること。TPP(環太平洋連携協定)を批准せず、関税の完全撤廃とあらゆる分野での日本市場の開放を要求するアメリカの不当な圧力に屈することなく、経済主権を守ること。新自由主義的政策の拡大をやめ、人間復権と持続可能な社会に向け、地域循環型の経済政策に転換すること。
2、最悪の大衆課税である消費税の増税を中止すること。直ちに税率を5%に引き下げるとともに、所得税・法人税を基幹税として「生活費非課税・応能負担」の原則を貫くこと。計画的な財政再建をはかり消費税を廃止すること。憲法理念を生かし、税務行政のあらゆる局面で適正手続きを保障する「納税者権利憲章」を制定すること。申告納税制度の擁護・発展へ納税者による自主申告を最大限尊重すること。「結社の自由」を保障し、納税者の自主申告にむけた相談活動への不当な干渉を行わないこと。納税者の自主申告を阻害し、萎縮させる税理士法の不当な拡大解釈をやめること。
3、小規模企業振興基本法を踏まえ、すべての自治体で中小企業・小規模企業振興基本条例を制定すること。産業振興ビジョン策定にあたっては、日本版・小企業憲章(案)の提案を生かし、小企業・家族経営の役割に対する国民の正当な評価を広げ、小企業・家族経営の経営環境の改善と支援政策を具体化・推進すること。農林水産業と中小商工業の連携を強め、官公需での地元優先発注や制度融資の改善・拡充を図ること。自治体の策定した「地方版総合戦略」を、住民・中小業者の立場から地域再生の充実にいかすこと。
4、憲法25条、国際人権規約に基づき、国は、最低限度の生活のみならず、生活改善を求める国民の権利を認め、社会保障向上・増進への水準を改善する義務を果たすこと。社会保障を解体する「プログラム法」は撤回し、現在と将来に安心と希望が持てる社会保障制度を確立すること。公的医療の破壊・解体を直ちに中止し、「払える」保険料(税)に基づく国民健康保険に改善すること。最低保障年金制度を創設すること。社会保障や教育を充実するため、その費用捻出に大企業の社会的責任を果たさせること。
5、大震災からの復旧・復興は、被災者の暮らしを最優先にし、中小業者の経営再建を支援すること。「二重ローン」の解消や店舗・工場の本設再建まできめ細かな支援を継続すること。地域産業の振興と住民主体のまちづくりで、雇用創出を図り、コミュニティーを保全しつつ、自治の力を生かし防災システムの確立を図ること。復興予算の流用を根絶すること。
6、福島原発災害によるあらゆる被害を完全賠償するとともに、賠償金は非課税にすること。政府の「新エネルギー基本計画」は撤回し、エネルギー政策の根本的転換を図ること。原発から即時撤退し、原発の再稼働をやめること。原発の輸出はしないこと。放射性物質の除染と安全確保、仕事・雇用対策に政府が責任を持つとともに、中小業者の経営振興と結んで再生可能エネルギーの利用拡大を一気に進めること。
7、「戦争する国づくり」をやめ、特定秘密保護法を撤廃すること。日米安保条約を廃棄すること。在日米軍基地の再編・強化を直ちに中止し、米軍普天間基地を無条件で返還すること。辺野古新基地建設は直ちに中止すること。軍備増強と自衛隊の海外派兵をやめ、憲法の国際的な先駆性を広げる平和外交を行うこと。小選挙区制をやめ一票の格差是正と民意を正しく反映する選挙制度に改正すること。

一、危機打開をめざし、地域経済振興と経営対策を
1、中小業者の仕事確保・顧客拡大への支援を
 (1)基盤技術の担い手である町工場への支援を強めること
 (1)町工場の単価・工賃水準を調査し、持続可能な経営を展望できる水準まで引き上げる。当面、工場の家賃や機械リース代の補てん、休業補償や雇用維持への支援を強め廃業の増加に歯止めをかける(2)ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金を恒久的で使い勝手の良い制度とし、整備・拡充をはかる(3)取引先の閉鎖・縮小などにより売り上げ減少が見込まれる中小業者の新たな事業展開や新分野進出を支援する制度を創設する(4)住工混在問題の対策を確立する(5)地球温暖化対策や再生可能エネルギーの開発を奨励し、省エネ・熱源転換への助成制度を抜本的に拡充する(6)「伝統工芸品産業振興事業」を拡充し、歴史、文化、特性ある産業育成と事業継承への支援に努める。
 (2)まちづくりにも貢献する小売・サービスへの経営支援を強めること
 (1)商店街の魅力を高めるため、商圏内の消費者意識調査を支援する(2)空き店舗と空き地活用、事業所の入れ替わり、事業継承、および新規開業を支援する仕組みをつくる(3)宅配サービスや高齢者向け事業など新たなサービス展開、料飲オリエンテーリングなどの共同イベントへの助成制度を確立する(4)卸売市場の公共的機能を拡充し、中小卸売業の品ぞろえや物流、商品企画・開発の情報提供を支援する。
 (3)環境保全や地域防災を担う建設・土木工事への経営支援を強めること
 (1)「まちなか商店・店舗・工場リニューアル助成制度」を創設する。「小規模修繕契約希望者登録制度」を実施する(2)「住宅リフォーム助成制度」は補助金の支給や申請手続きの簡素化を図る(3)地域の防災協定を充実させ、重機や除雪機などの所有や保管、修理に対する助成を強める(4)住生活基本法や社会基盤整備交付金を積極的に活用し、地元建設業への仕事を確保する(5)各種制度の活用にあたっては税金完納を参加資格要件から削除する。
2、官公需の改善と震災復興事業・生活再建の拡充を
 (1)中小業者支援の官公需政策を抜本的に拡充すること
 (1)中小企業向け発注目標額を着実に達成し、中小企業の受注分野への大企業の参入を規制する(2)随意契約の範囲拡大で自治体の判断を国は尊重する(3)官公需の地元優先発注や分離・分割発注を奨励する(4)「担い手3法」(公共工事品質確保促進法・建設業法・公共工事入札契約適正化法)の改正趣旨を踏まえ、受注者が「適正な利潤」を確保できるよう発注者は予定価格の積算に努める。「歩切の根絶」をはかり、公共工事の担い手の確保をはかる(5)発注者責任を明確にし、工事代金や賃金の未払いを防ぐ(6)下請業者に法定福利費がゆきわたる環境整備をすすめ、社会保険未加入を生まないようにする。社会保険の加入を建設業許可の要件にしない。
 (2)公共事業を地元優先・福祉充実・環境保全・防災重視にすること
 (1)耐震診断助成を地元中小企業優先で実施し、災害時の避難場所の耐震補強を国の責任で直ちに行う(2)指定管理者の議会への事業報告を義務付け、事業者選定で地域中小企業の採用優先枠を設定する(3)公共施設や住宅の修繕で、地元産木材、瓦などの利用や地元の工務店・大工への発注を奨励する(4)民間の住宅や集合住宅で省エネ・断熱の取り組みを前進させる補助制度を創設する。
 (3)震災復興関連事業を地元の雇用創出と生業の再建に生かすこと
 (1)インフラ整備、安い家賃で入居できる復興公営住宅建設などで、地元中小業者への発注や被災住民への雇用を優先する(2)工事における元請け責任を明確にし、下請け代金の「ピンハネ」やダンピングを防止する(3)店舗・工場など事業用資産の再建への直接補助を抜本的に拡充する。
 (4)大震災での生活再建策を拡充し、防災を強めること
 (1)「被災者生活再建支援法」の上限額を500万円に引き上げる。阪神・淡路大震災まで被災者への特例措置を遡及適用し、営業と生活の再建を支援する(2)浪費型工事などに偏った国土強靭化法は見直し、自治体主体の復興支援策に改める(3)自治体は災害に備え、地域防災・減災計画を立て消防力の強化や避難の設備改善、監視・観測体制の強化などの取り組みをすすめる(4)阪神・淡路大震災の被災者を、借り上げ復興公営住宅から追い出す措置を撤回する。
 (5)雇用の継続、最低賃金を保障する中小業者への支援を強めること
 (1)国の措置で小規模事業者の社会保険料の事業主負担や、そこで働く従業員の負担を軽減する(2)中小業者の社会保険料の延滞金を軽減し、雇用調整助成金を活用する事業所の延滞金を免除する(3)社員の非正規化や派遣に切り替えることによって社会保険料負担を免れる大企業に相応の社会保険料や国保料(税)への拠出を求める。
3、中小業者と地域経済に貢献する金融制度を
 (1)金融円滑化法にかわる日本版・地域再投資法を制定し地域経済振興と資金繰りの円滑化を図ること
 (1)税金滞納や過去の事故・免責、親族の債務、赤字決算などがあっても融資への道を閉ざさずに親身な相談に応じる(2)金融機関は事業者の円滑な資金供給に努めるようにする。どうすれば融資が可能かを具体的に助言し、コンサルタントとしての役割を発揮する(3)株式会社日本政策金融公庫は利益追求ではなく、中小業者支援での公的金融の役割を果たし、貸し付け条件を緩和する。
 (2)大震災の被災業者への金融支援を抜本的に強めること
 (1)被災中小業者が抱える既往債務を凍結する(2)返済凍結や債務免除、積極的な新規融資など金融機関の役割発揮を促す(3)被災中小業者を不良債権扱いしない対応を徹底する(4)「二重債務問題」解消のための産業復興機構、産業復興相談センターの連携を強め、ワンストップで迅速な問題解決を図る。
 (3)預貸率を引き上げ、中小企業向け貸出残高を増やすこと
 (1)信用金庫・信用組合など、中小業者への金融仲介機能を担う地域金融機関を守る(2)地域金融機関は中小業者の再生と経営支援、地域貢献を推進し、監督を都道府県に移管する(3)「経営者保証ガイドライン」の制定を受け、担保や人的保証に依存しない融資慣行の普及に努める(4)中小業者への融資審査で、税金完納要件を廃止するとともに、業種、年齢、性別、経験年数による差別をやめる。
 (4)無担保・無保証人融資制度を創設・拡充すること
 (1)「資金繰り円滑化借換保証融資」制度を自治体で創設する(2)特別小口保険(無担保・無保証人融資制度)の要件を緩和し、他の保険利用者も併用できるよう改善する。
 (5)全額保証に戻すこと。そのために「責任共有制度」の拡大をやめ、信用補完制度を充実すること
 (1)「中小企業の信用力を補完する」という信用保証理念に基づき、中小企業のニーズに対応した施策を拡充する(2)セーフティーネット保証を拡充し、5号(不況業種認定)の全業種指定を復活させる(3)自治体独自の損失補償施策を尊重し普及する(4)保証協会への出捐金などを増額し、財政基盤の安定を図る(5)財務・会計基準に応じた保証料率での差別は撤回する(6)債権放棄による経営再生をめざす「制度融資損失補償制度」を確立する。
 (6)多重債務救済の支援を拡充すること
 (1)貸金業法および利息制限法の上限金利を引き下げる(2)利息制限法4条の賠償額予定制限を引き下げ、遅延損害金を名目にした高金利をなくす(3)金融機関は高利商品の販売やサラ金との提携や出資をやめる。
 (7)整理回収機構(RCC)は強引な債権回収をやめること
 サービサー法を改正し、売却価格の開示や回収上限の設定、連帯保証人への回収禁止を義務付ける。
4、公正な取引ルール確立と業種・問題別対策を
 (1)製造業等の取引で、大企業の横暴を規制すること
 (1)下請2法(下請代金支払遅延等防止法、下請中小企業振興法)を厳格に運用するため、下請検査官を増員し、立ち入り検査を強化する(2)下請2法における元請けと下請けの関係基準について取引実態を踏まえ改正する(3)合理性のないコスト削減の要求は「不公正な取引方法」として規制するとともに、「優越的な地位の濫用」として積極的に取り締まる(4)書面保存期間を5年に延長し、未払い代金や減額代金の返金で原状回復と被害救済を図る(5)違反企業への課徴金などの罰則を強化するとともに、被害救済の違反金制度(被害額の3倍等)を創設する(6)「セーフガード」(緊急輸入制限)の発動で、地場産地を守る(7)大企業の逆輸入を規制する。
 (2)建設工事では、下請けや労働者の「適正な利潤」を保障すること
 (1)事故があった場合は発注者と元請けの責任で未払い代金や賃金が支払われる仕組みとする(2)「公共工事設計労務単価」(2省協定賃金)の策定方法を見直し、熟練労働者の標準生計費を基準に「当該地域の同種の職業、産業労働者の賃金を下回らない」ようにする(3)各発注機関は設計と施工の分離発注、工事種別・規模に応じた分割発注に努め、応札者の負担を軽減する入札手続の簡素化を図る。発注者責任を形骸化させるCM方式(発注者代行制度)の拡大は行わない(4)中小工事への大手の参入を規制する「条件付き」一般競争入札の普及を図る(5)「民間資金による公共施設整備法」(PFI)は「住民の安全・安心・公正」を確保するよう抜本的に改正し、国・自治体による監督責任を明確にする(6)建設労働者に最低賃金を保障する公契約法・公契約条例を国と自治体で早期に成立させる(7)社会保険未加入を口実にした現場からの締め出しをやめる。社会保険料を納付できる法定福利費が中小企業・労働者に支払われる仕組みを確立する。
 (3)小売・サービスの取引に、公正な取引ルールを確立すること
 (1)米、薬、酒などの流通への参入規制緩和を改め、住民生活の利便と健康を守る。ミニマムアクセス米の輸入は廃止する(2)食品企業の偽装や不当表示に対する監視を強め、食品の安全を確保する(3)理・美容やクリーニングなど生活衛生関連業の資格条件を順守し、国民の安全・衛生を確保する(4)書籍、新聞、CDなどの再販制度を守り、出版や音楽の文化を健全に発展させる(5)改正風俗営業法の趣旨を踏まえ、クラブやダンス場などの健全な発展を保障する。音楽文化の健全な発展のため、カラオケやBGM著作権使用料の徴収での行き過ぎた行為をやめる。小規模事業者の免除規定をもうける(6)FC加盟店と本部との公正な取引の確立へ、契約内容の禁止条項の明文化、ロイヤルティーの適正化などを盛り込んだ「フランチャイズ適正化法」(仮称)を制定する。FC加盟店の経営権を確立する(7)郵政民営化路線を転換し、生活に不可欠なユニバーサルサービスを守る。郵便物の第3種、第4種の割引制度は維持する。
 (4)まちと中心市街地の荒廃に歯止めをかけること
 (1)大型店の深夜営業を規制し、地域住民の安全と健康を守る生活環境を確立する(2)「大規模小売店舗立地法」にある「地域的な需給状況の勘案」の禁止条項(第13条)を廃止する。大型店が出店する際は、商店街など地域の商業環境、住民の生活環境などへの影響評価に関する事前の情報提供を義務づけ、立地予定地の住民への説明、自治体との協議をへて合意を得る仕組みをつくる。巨大なショッピング・センター建設や郊外立地店など商圏が複数の市町村にまたがるものは都道府県に、さらに都道府県をまたがるものは国にによる規制・調整するシステムをつくる。中心市街地や商店街の活性化の計画に支障をきたす大型店の出店は原則禁止し、市町村と都道府県が出店地域を誘導する仕組みをつくる。大型店の撤退を規制するため、一定期間の予告と関係地方自治体に対する事前協議、代償措置を義務づけるなどのガイドラインを設ける。ゾーニング規制、業種別割当制、店舗面積の制限規制などで個店の経営を守り、まちの均一化を防ぐ新たなルールを設ける(3)コンパクトシティの名による再開発の押し付けはやめ、住民の意見を基にまちの再生をはかる(4)フランチャイズ店舗の地域毎の出店数と営業時間等の規制を行う。
 (5)道州制導入はやめること
 (1)社会保障や労働などに対する国の責任を放棄する「義務付け・枠付け」の見直しなど行政サービスの切り捨てを行わない(2)市町村を合併・消滅に追い込み、地域格差を拡大する道州制の導入はやめ、地方自治の本旨を守り、住民が主人公の地方自治を実現する。
5、原発をなくし、環境保全とエネルギー政策の転換を
 (1)原発の新増設を中止・撤回し、再生可能エネルギーの利活用を推進すること
 (1)震源域上にある原発、老朽化した原発、住民合意の得られない原発の廃炉を直ちにすすめる(2)高速増殖炉やプルサーマル計画は中止し、核燃料サイクルの被害を根絶する。放射性廃棄物(核のごみ)の処分場を自治体や地域に押し付けない(3)COP21の温室効果ガス「実質ゼロ」達成へ消極的な削減計画(2030年に1990年比18%達成)を見直し、風力、地熱、小型水力、太陽熱・光、バイオマス、水素(燃料電池)など再生可能な自然エネルギー源の開発と利用を促進する。そのため、市民向けの再生可能エネルギーの固定価格買取制度を拡充するとともに、省エネ・断熱・熱源転換への設備投資や促進を支援する(4)東電は破たん処理し、福島原発事故の収束・汚染水の拡大阻止、完全賠償・除染を国の責任で行う。営業損害賠償の打ち切りをやめ、復旧・復興、住民の生活となりわいの再建を国が責任を持って行う(5)原発温存の予算を廃止する。電力会社に電気料金の算定根拠を公開させるとともに、あらゆる経費に独占的利潤を上乗せする「総括原価方式」は廃止する(6)発送電分離、送電インフラ整備など電力の完全自由化への改革をすすめる。
 (2)地球温暖化・環境リサイクル問題を、国と大企業の責任で解決すること
 (1)温暖化ガスの排出量の3分の2を占める発電所、大工場など産業界に削減目標と削減義務を課す(2)20%を占める自動車の排出量削減政策を進め、道路政策、都市計画を抜本的に転換する(3)家電製品や容器のリサイクルについて、製造大企業の負担を引き上げ、中小資源回収業者などへの支援を強化する(4)自動車製造部品のリサイクルについて、既存の自動車販売・整備・解体関連の中小企業が持つ技術・技能、サービスを生かす(5)中小業者の産業廃棄物や建設業者の残土残材処理が円滑に行えるよう、地域に最終処理場を設置する(6)国と原因企業の費用負担でアスベスト被害救済、危険物の撤去・回収・廃棄を行う。「アスベスト健康被害救済法」を改正し、認定枠を拡大して救済補償額を引き上げ、労災未加入で作業に携わった中小業者・一人親方にも労災並みの認定と補償を行う(7)「大量生産・大量消費・大量廃棄」「24時間型社会」などエネルギー浪費社会を抜本的に見直す。

二、消費税増税を許さず、税金・社会保障対策を
1、最悪の大衆課税である消費税は、増税でなく廃止を
 (1)消費税率を引き下げ、複数税率・インボイス(適格請求書)制度は導入しないこと
 (1)消費税は中小業者にとって「預かり金」でも「預り金的」「預かり金的性格」でもないことを認め、「益税」宣伝を撤回する(2)転嫁対策特別措置法を厳格に運用し、消費税の値引き強要など不公正な取引をやめさせる(3)税の不公平を拡大し、中小業者に過大な負担と実務を押し付ける複数税率と免税業者が取引から排除されるインボイス制度は導入しない。
 (2)消費税の免税点を引き上げ、納税実務の負担を大幅に軽減すること
 (1)免税点は年間売り上げ3000万円、簡易課税は適用上限を2億円とし、総額表示義務を直ちに廃止する(2)納税実務に関して「資金・時間・心理」のあらゆる負担を軽減し、記帳要件を大幅に緩和する。業界の取引慣行を尊重し、帳簿および請求書などの「保存義務」を軽減する。課税期間の売り上げが免税点以下の場合は非課税にする。課税事業者、簡易課税の事前届け出を廃止し、申告時に選択できるようにする(3)仕入税額控除の否認は、実額課税も取引の実態も無視した最悪の二重課税であるとともに、「課税の累積を排除する方式による」とした税制改革法第10条にも違反しており、廃止する(4)公共入札・指名願などの条件から消費税の完納証明添付を外す(5)消費税の「輸出戻し税」は廃止をめざし、当面、資本金10億円以上の企業への「還付」をなくす。
2、大企業優遇税制を是正し、税制に応能負担原則の徹底を
 (1)所得税に応能負担原則を徹底すること
 (1)所得税の人的控除、給与所得控除などの縮小・廃止はやめ、すべての国民を対象に、所得税の課税最低限を生活保護基準の水準にまで引き上げる。当面、基礎控除を170万円に、配偶者控除、扶養控除をそれぞれ76万円に引き上げる。所得控除の全廃や消費税増税に道を開く「給付付き税額控除」は導入しない(2)所得税の税率は「能力に応じた公平な負担」の原則を貫く総合累進課税制度を導入し、高額所得者・大資産家への特権的優遇税制を廃止・是正する。所得税率の平準化をやめ、高額所得者に対する最高税率を引き上げる。所得税・住民税は1998年の水準(65%)に、相続税は2002年の水準(70%)に戻す(3)高額所得者・大資産家優遇の損益通算の特例は行わない。高額の配当や株取引への課税は当面30%にし、分離課税をやめる(4)事業主、家族従業者の働き分(自家労賃)を経費として認める。女性差別撤廃条約の「差別法規」に当たる所得税法第56条は廃止する。当面、給与所得控除65万円は全事業主に認める。記帳義務化に伴い、青色申告で認められている特別控除を白色申告でも認める(5)個人事業主等の事業承継を支援する観点から、相続税の定額控除に5000万円の専従者枠を設ける(6)申告納税制度の本旨を守り、記帳義務を要件にした経費の概算控除制度の導入は断じて行わない(7)介護認定者には申請の有無に関係なく、障害者控除が適用されることを周知する。
 (2)法人税などに応能負担原則を徹底すること
 (1)大企業に適用する法人税を累進課税とし、最高税率を引き上げる。当面、消費税導入前の42%に戻す(2)大企業への特権的優遇税制を廃止・是正する。連結納税制度の損益通算や企業分割税制をやめ、連結付加税を復活させる。大企業への受取配当金益金不算入および貸倒引当金など各種引当金制度を実態に即して縮減する。研究開発減税は、適用対象の資本金上限を設け、中小企業支援を強化する。「租税特別措置の透明化法」により提出が義務化される「適用額明細書」が中小法人の事務負担にならないようにする。大企業の内部留保を増やす繰越欠損金の損金算入は5年に戻す。投機を防止する金融取引課税を創設する(3)多国籍企業の「課税のがれ」や国際的な法人税引き下げ競争をやめさせる(4)人格なき社団に対する原則非課税を堅持する。
 (3)地方自治の本旨を踏まえ、地方税財政を拡充すること
 (1)地方交付税は、基準財政需要に基づく調整制度を尊重する。地方自治体の「行政改革」を前提とした新型交付税や臨時財政対策債への振り替えは見直す(2)地方自治体への税源移譲は、地方への事務配分に見合った規模を確保する。自治体財政健全化法による、画一的な自治体財政の統制をやめる(3)住民税の人的控除の縮小・廃止は、国保料(税)や保育料などの負担増にもなるため、行わない。住民税の税率を累進制度とし、一律10%の税率を所得200万円以下については当面、5%に戻す(4)大企業の法人事業税を担税力に見合って引き上げる。外形標準課税は中小法人には導入しない。赤字中小法人に対する地方税の均等割額を引き下げる(5)個人の住宅、中小業者の店舗・工場など、小規模な土地・建物の固定資産税、都市計画税を大幅に引き下げる。200平方メートル以下の住宅への軽減措置を店舗、工場および事業用地にも適用する。事業用資産について、経済的理由による減免制度を確立する。合併による都市計画税の安易な一律課税はやめる(6)大工場など、大規模な土地・建物への固定資産税、都市計画税は、資産と所得を勘案し、引き上げを図る。軍事基地への特権的優遇はやめ、適正に課税する(7)償却資産税の免税点を1点100万円、総額で1000万円まで引き上げ、低所得者への減免制度を確立する(8)個人住民税の普通徴収の適用範囲を拡大するとともに、特別徴収への移行を強制せず事業者が選択できる規定を設ける。
 (4)被災者への負担を軽減する税制等の措置を拡充すること
 (1)大震災被災者が受ける雑損控除に関して、煩雑で範囲の狭い被害額算出の簡便法を見直し、被災者が算定した概算額を認める。被災者の心情にも配慮し、被災状況・資金状況を的確に把握する(2)復興特別所得税は廃止する。応能負担原則により被災地の復興、被災者の生活再建に資する予算を拡充する。
3、「納税者の権利憲章」を制定し、民主的な税務行政を
 (1)憲法理念に基づく納税者権利憲章を制定すること
 (1)経済協力開発機構(OECD)加盟国で、日本にだけ確立されていない「納税者の権利憲章」を、国民合意で早期に制定する(2)全商連が提案する「納税者の権利憲章」(第2次案)を生かし、調査から徴収、不服審査、裁判に至る税務行政の適正手続きを盛り込む。
 (2)納税者の権利を尊重し、人権を蹂躙する税務調査を行わないこと
 (1)増額更正を原則5年とはしない。5年、7年さかのぼる不当な修正申告の勧奨や同業組合ぐるみの押し付け課税はやめる(2)「手続きの透明性及び納税者の予見可能性を高め」「納税者の理解と協力を得て行うものであることを十分に認識した上で、法令に定められた調査手続きを遵守」すると改定された国税通則法の趣旨を署員に徹底する。事前通知(国税通則法74条の9)は書面で行う。例外規定(74条の10)を適用する場合、その理由を納税者に明らかにする。「提出物件の留め置き」(74条の7)の適用は最小限にし、強要しない。納税者の提出物(コピーを含む)の返還要求には直ちに応じる(3)7年分の更正処分や重加算税を強要しない(4)事前調査をやめる。法定外文書や「呼び出し」「お尋ね」などの乱発をやめ、行政文書で納税者を呼び出し、事前通知のない調査に移行することはやめる。「収支内訳書」「法人事業概況説明書」の提出を強要しない(5)税務署員による「質問応答記録書」は法定根拠はなく任意であり、作成や押印の強要をやめる(6)税務運営方針や第72国会決議を厳守し、事前通知、調査理由の開示を必ず行う(7)納税者の承諾なしの反面調査は行わない(8)立会人を理由とした調査拒否や消費税の仕入れ税額控除否認、青色申告承認取り消しを行わない(9)調査終了手続き(74条の11)で、更正・決定等すべき場合は調査結果の内容(金額、理由含む)を書面で説明する(10)国の課税権の乱用から国民の権利擁護を図るという税法の目的を厳守し租税罰則の強化は撤回する。懲役・罰金など刑事罰と各種加算税など行政罰との二重制裁を是正し、加算税、重加算税の課税要件を明確化する。
 (3)不服審査や税金裁判を納税者の権利救済にふさわしくすること
 (1)審査請求から裁判の確定までは、延滞税、加算税などをかけない。異議申し立ての名称を「再調査の請求」に変更しない。権利救済の趣旨に照らし罰則付きの質問検査権による再調査は行わない(2)原処分庁の提出書類や担当審判官が所持する証拠書類について例外なく、請求人または参加人が閲覧・コピーできるようにする。審理手続きにおける「処分庁に対する質問」は文書だけでなく、口頭による納税者の主張の把握ができるようにする(3)国税不服審判所の審判官は、審査機関の独立性と中立性、公平性を確保するため、任用基準を定めて公表する。財務省・国税庁人事から切り離し、第三者性を高める(4)裁判官と訟務検事の人事交流(判検交流)をやめる。国税庁など課税庁から裁判所への職員の任用制度を廃止する。
 (4)徴収行政の抜本的改善を図ること
 (1)徴収手続きは、中小業者の生活再建と事業再生支援に役立つよう、運用の抜本改善を図る。滞納整理に当たっては、納税者の生存権的財産の処分を禁止し、差し押さえ禁止財産の範囲を拡充する。売掛金や年金、東電の損害賠償金の差し押さえをやめ、生命保険金の強制解約や先日付小切手の強要をしない。鳥取県の児童手当差し押さえを断罪した鳥取地裁判決・広島高裁確定判決の意義を踏まえ、差し押さえ禁止財産が振り込まれた預金口座の機械的差し押さえを禁じるガイドラインをつくる(2)経済的理由による納税緩和措置を中小業者に認める。換価の猶予だけでなく、執行停止にも申請権を認める。「申請・添付書類の整備」「不許可事由の整備」として納税者の活用に制限を設けない。納税誓約の強要はしない(3)滞納者の財産調査は本人の同意に基づき、必要と認められる範囲にとどめる(4)源泉所得税は徴収義務者に無報酬で天引きさせ、納税しきれなければ自己の財産を強制徴収されるという過酷で不合理性を持っていることを踏まえ、差し押さえはしない。納税の猶予も認める(5)「租税回収機構」などの事務組合、広域連合に対し、自治体の監督責任を明確にするとともに、権利救済規定を設ける。法的根拠を持たない徴収機構は解散する(6)延滞税・延滞金を引き下げ、免除措置を拡充する(7)憲法違反の「共通番号(マイナンバー)制度」は廃止する。番号を含む個人情報の提供を原則禁止(番号法19条)にしており、公安警察などへの情報提供を例外扱いする施行令は撤廃する。個人情報の流出や、第三者の成りすましによる悪用などの危険もあり、共通番号としての行政の活用に制限を設けるとともに、民間活用は行わない(8)KSK(国税総合管理)システムやe―Tax(電子申告)による、法的根拠のない実務の押し付けや納税者情報の収集はやめる(9)情報公開法を適正に運用し、納税者本人への情報公開や税務行政の透明化を図る。
 (5)税理士法を改正し、税理士が納税者の自主申告権を擁護・発展させ、真に「独立・公正」な立場を貫けるようにすること
 (1)税理士の業務を有償独占に限定する(2)税理士・税理士会に弁護士・弁護士会と同様の団体自治を認め、国家権力から独立した地位を与える(3)税務署の退職者に対する特権的な顧問先のあっせんはやめる。
4、いのちと健康を守る社会保障の充実を
 (1)中小業者・国民が安心できる医療制度を確立すること
〈国民健康保険制度の改善に関して〉
 (1)国民健康保険証の取り上げをやめ、国民皆保険制度を守る。都道府県に国保の財政運営の責任を持たせ、医療費の削減を進める国保都道府県単位化は中止する。資格証明書の発行を直ちに中止し、国民年金保険料未納者に国保の短期保険証を交付するなどの制裁措置はやめる。国保法9条を改正し、国保証の取り上げ「義務化」をやめ、国保料(税)を払いきれない加入者の生活実態の把握に努める(2)国保への国庫負担を総医療費の45%に戻すとともに、応能負担原則を適用し「払える」国保料(税)にする(3)生活保護を基準に減免措置を拡充し、機械的な滞納差し押さえはやめる。医療費の一部負担金の減免制度を拡充する(4)国保加入者に対する傷病手当、出産手当を強制給付とする(5)国保運営協議会は、住民生活の実情を理解した委員を構成員にし、国保加入者が意見を述べる機会を保障する(6)年金給付から国保料(税)や住民税の天引きは中止する。
〈医療制度の改善に関して〉
 (1)医療を年齢で差別する「後期高齢者医療制度」は即時廃止し、元の老人保健法に戻す。国保に加入する自営業者の扶養者にも、所得割軽減の緩和措置を実施するとともに、通院治療の「定額払い・包括払い」をやめる(2)医療改悪をやめる。高齢者と子どもの医療費を無料化し、受診時定額負担の導入はやめ、70〜74歳の窓口負担2割を1割に戻す。高額療養費の現物給付は入院と通院を合算する(3)患者負担を増やす「混合診療」を拡大しない(4)協会けんぽの本人10割給付を復活する(5)公立病院の再編や縮小、民営化、保健所つぶしをやめ、紹介状なしの大病院受診の別途負担をなくす。地域医療を国の責任で拡充し、病床削減をやめ、夜間の小児救急外来を増やす(6)被用者保険料の滞納整理では、機械的な滞納差し押さえをやめ、日本年金機構の支所に納税猶予の申請書を常備する(7)大震災および原発被害者の窓口負担は免除する。
〈社会保険制度の改善に関して〉
 (1)社会保険料率の賦課方式を定率から、応能負担による累進方式に改める(2)政府と自治体は、賃上げや従業員を増やした小規模企業、あるいは、創業後5年未満の小規模企業に対して、社会保険料を一定額軽減する直接支援を行う(3)社会保険料の減免制度を創設する(4)協会けんぽの国庫補助率を本則の20%に引き上げる(5)保険料算定基準賃金の上限を撤廃し、超過者は保険料を引き上げる(6)中小企業の料率を引き下げ、資本金1億円以上の企業に対する料率の引き上げを検討する(7)社会保険未加入事業所の加入指導は、実情をよく聞き、機械的に強制しない(8)払える額での分割納付を認め、強引な徴収を行わない。法律で定める「納税緩和制度」の周知徹底と、年金事務所に申請書類を完備する。
〈健診・共済の改善に関して〉
 (1)無料健康相談・健診制度などの施策を拡充し、特定検診を自治体の基本検診に戻す(2)保険業法・再改定で、広範な自主共済が存続できるよう監督指針の運用を緩和する。助け合い共済の団体自治に対する干渉はやめる(3)在日米商工会議所などによる不当な「共済市場の開放」要求に対しては断固抗議し、撤回させる(4)福島原発事故の放射能被害に対する心と身体の健康調査・検診を被災者の費用負担なしで広く実施する。母性と子どもへの影響を継続的に把握し、万全の健診・医療体制を早急に確立する。
 (2)介護保険法を改正し、公的介護保障を確立すること
 (1)介護保険法の改悪を元に戻し、介護施設入居者の食費・住居費の全額自己負担を中止する。国庫負担を増やし、利用料は無料にし、保険料は低額に抑えるなど制度を改正する。要支援の介護保険を元に戻す(2)保険料を払いきれない世帯に対する給付制限や制裁はやめる。高額介護費用の償還払い制度はやめ、受領委任払い制度にする(3)特別養護老人ホームなどの待機者を出さない。要介護度での入所制限を行わず、公的な介護施設の増設やホームヘルパーの増員など、介護制度を拡充する。介護職員処遇改善加算を継続する(4)介護者の精神的ケアや緊急時の代替えなど行政支援を強化する(5)障害者総合支援法は廃止し、支援費を引き上げるなど助成を拡充する。
 (3)年金改悪をやめ、老後が暮らせる制度を確立すること
 (1)年金積立金を計画的に活用し、債券や株など投機的な運用をやめ、国民年金保険料の引き上げを中止する(2)すべての国民に全額国庫負担で月額8万円の「最低保障年金制度」を創設する(3)国民年金の支給額を月14万円に引き上げ、年金の満額受給資格を10年の加入期間とし、年金支給開始年齢を60歳にする(4)厚生年金の改悪をやめ、支給開始年齢を60歳に戻すとともに、中小業者の事業主負担を軽減する(5)年金給付の削減を目的としたマクロ経済スライドを中止する(6)振り込まれた年金の差し押さえは絶対に行わない。
 (4)労働保険を改善すること
 (1)労災補償への国庫負担を増やし、小規模事業所の労働保険料率を引き下げる。すべての業種で中小業者と家族従業者が労災保険に加入できるようにする(2)労災未加入事業所の従業員の労災補償を、事業主が全額自己負担する制度は撤回する(3)工事現場などでの労働災害に対し、親企業は下請け業者の労災補償を行う。労災認定基準や給付内容を改善する(4)雇用保険の短期特例一時金の削減をやめ、90日分の支給に戻す。併せて季節労働者への支援を強化する。積雪寒冷地域で実施していた冬期援護制度を復活する(5)一人親方労災組合の設立と加入条件を緩和する(6)労働保険料と社会保険料の徴収一元化計画は撤回し、労働保険事務組合の育成を図る(7)報奨金申請に当たり、過度な実務負担を求めない。
 (5)生活福祉資金を拡充すること
 「世帯の更正(自立)を図る」趣旨を生かし、中小業者(生業)を成り立たせる制度に改善する。申し込みから実行までの期間を短縮し、謝絶の際は理由を明確にする。
 (6)生活保護制度を拡充すること
 (1)憲法25条の精神にのっとり、権利性を明確にした「所得保障法」に改称する(2)扶養照会など水際作戦的な排除を行わず、申請の権利を保障し、制度の周知徹底を自治体に義務付ける(3)老齢加算、生活扶助基準を元に戻す(4)生業扶助(生業を営むのに必要な資金や器具・資材の購入費)の限度額(現行4万5000円)を引き上げる(5)休廃業からの再チャレンジができる「廃業扶助」を設ける(6)生活保護の「有期化」など改悪はやめる。

三、憲法改悪反対、平和・中立・民主の日本を
 (1)憲法を守り、民主主義を擁護すること
 (1)日本国憲法の国際的先駆性を生かし、平和外交を世界に広げる(2)憲法の解釈改憲を行わない。戦争法(安保関連法制)を即時廃止する。集団的自衛権は行使しない。2014年7月1日の閣議決定は撤回する。緊急事態条項の検討を行わない(3)憲法審査会の活動を中止し、「憲法改正国民投票法」に基づく一切の策動をただちにやめる(4)国家安全保障会議(日本版NSC)関連法は直ちに廃止する。「国家安全保障局」は解体する。「国家安全保障戦略」「防衛計画の大綱(防衛大綱)」の策定は行わない(5)集会・結社・表現の自由を脅かす「共謀罪」を制定しない(6)選挙活動における言論、文書、宣伝活動などを規制しない(7)政党助成金をただちに廃止する。企業・団体による政治献金を禁止し、政・官・財の癒着を正す(8)自治体職員の思想調査を直ちにやめる。自治体首長は憲法・地方自治法を堅持し、憲法違反の条例を制定しない。
 (2)日米安全保障条約を廃棄し、平和友好条約を締結すること
 (1)垂直離着陸軍用機オスプレイをすべて日本から撤退させ、自衛隊への配備はおこなわない(2)ヘリパッド建設をただちに中止すること。在日米軍基地の移転費用に税金投入しない(3)在日米軍の実弾砲撃演習、超低空飛行訓練、夜間離発着訓練は直ちにやめる。民間空港・港の軍事利用や米軍と一体となったミサイル防衛の推進は中止する。防衛装備三原則を武器輸出三原則に戻し、武器輸出規制を強化する(4)対米追従の戦争支援や「核抑止」政策を中止する。国民を戦争に強制動員する有事法制の発動も具体化も行わない(5)米軍基地を日本からなくし、日米地位協定での米軍の治外法権的特権を廃止する(6)日米地位協定でも負担義務のない、米軍への「思いやり予算」は直ちに廃止する(7)在日米軍への裁判権の放棄など日米関係のあらゆる「密約」を公表、撤廃する(8)「国民保護」法制を撤回し、新ガイドライン関連法やテロ対策特別措置法を廃棄する。
 (3)核兵器全面禁止の国際協定を締結すること
 (1)すべての国連加盟国が核兵器廃絶で合意し、実行に踏み出すよう、核兵器廃絶国際条約、核実験全面禁止条約の締結を積極的に促進する(2)非核三原則を法制化する。核保有国の艦船・爆撃機の日本立ち寄りに非核証明書の提出を求める(3)被爆者援護法「改正」を実効あるものにし、救済が行き渡るようにする。

四、教育・保育を充実し、文化・スポーツ振興を
 (1)教育を充実させ、子どもの健全な発達を保障すること
 (1)憲法に基づく教育権を保障し、子どもの権利条約に基づく教育を進める。改悪教育基本法による管理・統制教育をやめる。自治体首長の教育への管理体制を強化する「教育改革」はやめる(2)子どもの貧困解消のため、行政・地域・教育関係者が協力し、健全な環境をつくる(3)学校教育の中で、地域の暮らしと文化を守る中小商工業者の姿を知らせ、地域振興の正しい知識を伝える(4)原発の「安全神話」を広げてきた学校教育を根本的に反省し、福島原発事故の教訓や放射能の危険性に対する正しい知識を広げる(5)「日の丸」掲揚や「君が代」斉唱を強制しない。教科書検定と特定の歴史観による教科書や史実に反する「戦争」教育の押し付けをやめ、納税義務を一面的に教え込む「租税」教育のゆがみを正す(6)義務教育費はすべて無償とし、教材・教具、学校給食費の自己負担をなくす。就学援助の認定基準を改善して支給対象を拡大し、給付を引き上げる。一部の就学援助適用者を差別的に取り扱う「準要保護」区分はやめる(7)高校の授業料無償化政策を継続し、所得制限は撤廃する。高専・大学の授業料を無償にする。日本学生支援機構奨学金をすべて無利子にし、給付制を創設する(8)登校拒否や不登校に苦しむ子ども、親、教師が相談できる専任教師、スクール・カウンセラーを小・中・高校の全校に配置する。子育て支援センターや児童相談所を充実させる(9)国の責任で30人学級を実現する。学習指導要領を抜本的に見直す(10)中学校までの学校給食を無償の自校方式で実施し、地域の中小業者や農産物の活用を推進する。
 (2)公立保育所の廃止、民営化をやめ、公的保育を拡充すること
 (1)認可保育所の増設、保育士の増員に取り組み、待機児童を直ちに解消する。子ども子育て新システムの導入や、公的保育を後退させる幼稚園と保育園の一元化をやめる(2)保育料を引き下げるとともに、保育環境の劣悪化につながる保育基準の緩和をやめる(3)病児保育への支援・強化を図る(4)中小業者の就業実態に見合った保育を保障し、居宅内労働への差別を廃止する(5)無認可保育所、学童保育への公的補助を増やす。
 (3)健全な文化・芸術、スポーツを振興すること
 (1)国民誰もが気軽に文化・芸術を楽しめるよう予算を増やす(2)文化・芸術活動を担う団体や個人への助成を強める(3)地域が歴史的に育んできた伝統工芸・郷土文化・芸能の振興を図り、継承者の育成を進める(4)伝統的な祭りや行事への対策を講じる(5)スポーツ基本法の理念に基づく自主的・自発的な発展に向け、支援を強める。東京オリンピックは人間の尊厳尊重や平和な社会推進、人権としてのスポーツ促進の憲章理念を生かして準備し、都民への情報公開をすすめる(6)国・公有地、河川敷などに文化・スポーツ施設を造り、休日や夜間も利用できるようにする。施設の運営を利用者・利用団体も交え民主的に行う。

全国商工新聞(2016年6月6日付)
   
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