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  トップページ > 全商連の活動 > 全国商工新聞 第2922号 4月12日付
 
私たちの要求(案)
 

中小業者の経営振興と人間復権の社会実現をめざす基本要求

1、人間の尊厳を踏みにじり、貧困と格差を広げる「弱肉強食」政策をやめること。憲法原則を生かし、経済・社会政策の基本を「アメリカいいなり・大企業中心」から中小商工業や農林漁業の活性化による内需と地域経済の振興へと転換すること。大企業の内部留保や利益剰余金を活用し、働く者の最低賃金や下請け中小業者への適正単価の保障など、大企業に社会的責任を果たさせること。国・自治体の中小業者向け予算を大幅に増やし、開業よりも廃業が上回るという異常な事態を打開する「中小企業憲章」を制定すること。中小企業基本法を改正し「格差是正」の理念を復活させること。
2、大企業・大手ゼネコン優遇の官公需・公共事業「囲い込み」政策を転換するとともに、自治体と中小商工業の創意を生かし、国民の豊かな暮らしと持続可能な社会に貢献する官公需政策へと転換すること。「中小企業いじめ防止」法を実効性のあるものとして制定すること。中小業者に対する不公正取引を是正し、大企業の横暴を抑える「公正取引ルール」を確立すること。まち工場を守るため、固定費補助や休業補償など、特別の支援を行うこと。大型店など大規模集客施設を民主的に規制・誘導する政策を強化し、まちやむらの荒廃に歯止めをかけること。中小業者や農林漁業など地域の活力を引き出しながら、エネルギー自給率、食料自給率を高めるよう努力すること。
3、地域経済振興と中小業者・国民本位の金融改革を進め、投機マネーによる経済かく乱を規制すること。金融機関は、地域に資金を循環させる本来の役割を踏まえ、中小企業の経営相談やコンサルティング機能を発揮するなど、中小企業の金融円滑化に積極的に貢献すること。とりわけ株式の100%を政府が保有する(株)日本政策金融公庫はその公共性を踏まえて、資金融通を困難とする中小業者・国民に必要な資金を供給すること。信用補完制度は「責任共有制度」を見直し、中小業者の信用力を補完するという本来の信用保証理念に基づき拡充すること。国・地方自治体は、地域金融の円滑化を確保する立場で中小金融機関と信用保証協会に対する支援を強化すること。
4、国民生活優先へ財政の転換を図るため、最悪の大衆課税である消費税は廃止すること。当面、庶民の消費購買力をつけるため税率を引き下げること。免税点を元に戻し、中小業者への負担軽減措置を拡充すること。能力に応じた公平な負担の原則を貫き、「子ども手当」や所得税の給付つき税額控除と引き換えにした所得控除の縮小・廃止はやめること。大企業・大資産家優遇税制を抜本的に是正し、適正に課税すること。納税者番号制の導入、歳入庁の創設は行わないこと。納税者権利憲章を実効性のあるものとして制定すること。所得税法第56条は廃止すること。
5、公的医療の破壊・解体を直ちに修復すること。国保証の取り上げをやめ、「払える保険料(税)」に基づく国保制度、必要な人が受けられる介護制度、最低保障年金制度など、現在と将来に安心と希望が持てる社会保障制度を確立すること。後期高齢者医療制度は直ちに廃止すること。医療、高齢者介護、障害者福祉、保育・義務教育・高等教育は、必要とする者全員に無償とすること。
6、憲法改悪につながるあらゆる策動を直ちに中止し、憲法の平和的・民主的条項を完全実施すること。在日米軍基地の再編・強化を直ちに中止し、米軍・普天間基地は無条件返還すること。自衛隊の海外派兵は撤退させ、海外派兵恒久法の制定はやめること。憲法審査会は始動させないこと。憲法の国際的先駆性を広げる平和外交を行うこと。あらゆる「有事法制」の発動と具体化をやめること。衆議院議院比例定数の削減や単純小選挙区制の導入は行わないこと。道州制導入はやめ、憲法に基づく「地方自治の本旨」を守ること。

 一、経済金融危機を克服し、経営基盤への支援強化を
1、中小企業憲章を制定し、経済政策の中心を大企業から中小業者の育成・支援に転換すること
(1)まちや村の荒廃を防ぎ、公正な取引ルールの確立につながる「中小企業憲章」を制定すること。その根本理念に、自営商工業や家族経営に対する正当な評価を盛り込むこと。中小企業省を設置し、中小企業予算を大幅に増額すること。
(2)国・地方自治体の経済政策の柱に中小企業施策を据えること。地方自治体に中小企業担当部局を設置すること。
(3)中小企業施策を決定する際には、中小業者の代表を入れた審議会などを設置し、中小業者の意見が十分反映される仕組みをつくること。
2、中小業者の経営環境改善と、経営力強化に向けた支援を抜本的に強めること
(1)「日本の宝」ものづくり製造業の基盤技術の担い手であるまち工場を守るために、固定費の補助や休業補償など特別の支援を行うこと。
イ、工場の家賃や機械リース代の補てん、休業補償や雇用維持のための特別支援を行うこと。
ロ、下請法の厳格な運用、検査体制の強化などを通じ、「買いたたき」を防止し単価の下落に歯止めをかけること。
ハ、産業集積を守るために、新分野の育成・創業支援、住工混在問題の対策確立など事業環境の整備を進めること。
ニ、製造下請け業者の仕事確保、需要の開拓、事業継承、さらに事業転換など環境変化に対する対応への支援を行うこと。
ホ、温暖化対策として、省エネ・熱源転換への設備投資への助成制度を創設すること。
ヘ、大企業に発注計画を出させ、一定枠を国内発注に振り向けるよう政策的に誘導すること。
(2)中小業者の仕事確保を支援するため、官公需政策を抜本的に拡充すること。
イ、「小規模修繕契約希望者登録制度」をすべての自治体で創設・実施し、税金の完納など参加資格要件の緩和や運用の拡大を奨励すること。
ロ、「中小企業者への国等の契約の方針」に基づき、国はもとより地方自治体が中小企業向け発注目標額を着実に達成するよう指導・援助を行うこと。官公需法を順守し、中小企業の受注分野への大企業の参入を規制すること。また、自治体は独自の「官公需発注の方針」を持ち、地域の公共を支える業者の育成・存続に努めること。その一環として発注機関に対し、中小業者が開発した新製品をアピールできる場を設け、販路開拓を支援すること。
ハ、広範な中小業者の受注機会を確保するため、随意契約での優先発注枠を設けること。随意契約の範囲拡大について自治体の判断を国は尊重すること。
ニ、「地域でできる仕事は地域の業者に」の原則を官公需法の理念として盛り込むこと。
(3)公共事業は大手ゼネコン向けの浪費型から地元優先・福祉充実・環境保全・防災重視の生活密着型へ転換すること。
イ、耐震診断助成を大幅に拡充するとともに、自治体の計画が着実に進むよう「耐震改修促進」施策を進め、地元中小企業優先で実施すること。災害時の避難場所となっている学校施設等の耐震補強工事は国の責任で直ちに行うこと。
ロ、指定管理者制度の運用に当たっては、議会に事業報告を義務付け、公正・適正な運営を保障すること。また事業者選定では、地域中小企業の採用優先枠を設定すること。
ハ、老朽化した橋梁の保守・点検、改修事業を直ちに行い、地元中小業者に優先発注すること。
(4)「住宅リフォーム助成制度」をすべての自治体で創設すること。
イ、地元産木材、瓦などの地場生産物の利用、地元工務店、大工への発注を奨励すること。
ロ、長期優良住宅への補助の集中政策はやめ、利用しやすい制度設計にすること。
ハ、住宅エコポイント、バリアフリー、耐震、環境などにも柔軟に対応できる助成制度に改善すること。
(5)住生活基本法に基づく基本計画が適正に推進されるよう、地方自治体への財政支援を早急に行うこと。地元建設業者への仕事確保に政策的に誘導すること。
イ、社会基盤整備交付金の積極的な活用を推進すること。
(6)「がんばる小規模企業応援プラン」は、当面予算を増額して多くの中小業者の経営支援に活用できるようにするとともに、身近なモデル拠点を整備する「経営力向上・事業承継等先進的支援体制事業」を拡充すること。工業試験場など試験研究機関について、中小企業の経営力強化に役立つよう充実すること。
(7)「中小企業のものづくり基盤技術」の支援はトップランナーの支援ではなく、格差是正、底上げを目標とし、中小業者に活用しやすいものにすること。
(8)IT(情報技術)化支援に当たっては、中小業者を対象にした研修の機会や支援措置を拡充し、大企業との情報格差を是正すること。
(9)雇用調整助成金および中小企業緊急雇用安定助成金は支給要件の緩和、申請のいっそうの簡素化を図るとともに、迅速な支給を図ること。また、経済情勢を勘案し支給期間の延長も検討すること。
(10)商店街への基盤事業整備の補助率を上げること。中心市街地全体の活性化と合わせた魅力的な商店街づくりのため、地域住民の幅広い意見を尊重しつつ、専門的知識をもった人材の派遣などソフト面での支援策を拡充すること。また実態調査に予算をつけること。
(11)会社法の見直しに当たっては、小規模会社への規制、実務負担の強化とならないように留意すること。
(12)女性経営者の経営環境整備の対策を進めること。男女共同参画社会基本法を生かし、女性経営者に対する資金面、技術面などの支援を推進すること。
(13)中小企業再生支援協議会は、小規模な事業者の相談に対応する能力を高めること。
3、中小企業の経営を支援し、地域に貢献する金融制度を拡充すること
(1)金融機関の地域経済への貢献義務を明確にし、地域経済の振興と中小企業の円滑化を目的とした新法(日本版「地域再投資法」)を制定すること。
(2)BIS規制に基づく自己資本比率による金融機関の査定はやめること。金融機関は預貸率を引き上げ、中小企業向貸出残高を増やすこと。
イ、中小業者への金融仲介機能を担う、信用金庫・信用組合・地域金融機関を守ること。
ロ、地域金融機関は中小企業への再生と経営支援、地域貢献などを推進すること。監督は都道府県に移管すること。
ハ、担保や人的保証に依存しない融資慣行の普及に努めること。
ニ、中小業者への融資審査に当たっては、税金完納を要件としない措置をとること。業種、年齢、性別、経験年数による差別をしないこと。
(3)金融円滑化法に基づき、中小企業の資金繰り対策の強化、円滑化を図ること。
イ、税金滞納、過去の事故・免責、親族の債務、赤字決算などがあっても、門前払いせず親身に相談に応じること。
ロ、相談者の立場に立ち、どうすれば融資可能となるかを具体的に助言し、コンサルタントとしての役割を発揮すること。
ハ、(株)日本政策金融公庫は、政府が全株式を所有する株式会社として、利益追求ではなく、政策金融機能の役割と責任を果たすこと。貸付条件の一層の緩和を図り中小業者への金融円滑化を図ること。
ニ、金融円滑化法の施行を2011年3月末以降も延長すること(恒久法とすること)。
ホ、金融検査マニュアル別冊・中小企業融資編は、中小業者の経営特性を踏まえたものにいっそうの改定を図ること。
(4)信用補完制度は「責任共有制度」を見直し、中小企業の信用力を補完するという、信用保証理念に基づき、抜本的に拡充すること。
イ、「責任共有」融資に対して、県独自の直接損失補償などの施策は県の意向を尊重し、普及すること。「小口零細保証」枠を1500万円まで引き上げること。
ロ、中小企業のニーズに対応した施策を強化し、保証枠を拡大すること。
ハ、保証協会への出捐金などを増額し、財政基盤の安定を図ること。信用保証協会が中小企業の経営振興と地域経済の活力ある発展に貢献できるようにすること。
ニ、財務・会計基準に応じた保証料率の差別など、信用保証制度の改悪は撤回すること。債権の証券化等により、中小企業金融の円滑化を損なわないようにすること。
ホ、再生支援機能を拡充すること。代位弁済を返済するための借り入れを保証する「求償権消滅保証」を使いやすい制度にし、制度融資の際の債権放棄による経営再生をめざす「制度融資損失補償制度」を確立すること。
(5)国の「資金繰り円滑化借換保証制度」を拡充すること。すべての自治体で借り換え制度をつくり、借り換え融資などをすべての業者が利用できるようにすること。
(6)特別小口保険(無担保・無保証人融資制度)の要件を緩和し、他の保険利用者も併用できるよう改善すること。すべての自治体で無担保・無保証人融資制度をつくること。
(7)多重債務者の被害根絶と救済・再生へ支援体制を拡充すること。
イ、サラ金業者の貸出金利の上限引き下げや総量規制などを盛り込んだ改正貸金業法を完全実施すること。
ロ、利息制限法の上限金利を引き下げること。また、利息制限法4条を1条と同率とし遅延損害金を名目にした高金利をなくすこと。
ハ、金融機関は高利商品の販売やサラ金へとの提携や出資をやめること。
(8)整理回収機構(RCC)は債権の強引な回収ではなく、中小企業の再生を最優先にすること。債権回収会社の人権を無視した債権回収をやめさせること。そのため、サービサー法を改正し、金融機関等に債権売却価格の開示、回収上限の設定、連帯保証人への回収の禁止などを明記すること。
(9)金融機関の破たんに際して、経営継続に意欲のある中小業者は無条件に受け皿金融機関に譲渡すること。また、政府の「強制処理」によって破たんさせられた地域金融機関への出資金などは、国の責任で保障すること。

 二、地域経済を振興し、大企業の横暴規制を
1、地域の資源を生かし中小企業の振興で持続可能な地域づくりをめざすこと
(1)自治体は中小商工業や農林漁業などを地域の基幹産業と位置づけ、地域産業政策を策定し地域経済の振興を図ること。
イ、自治体は実態調査などに基づき、地域の産業基盤や地域資源を生かした産業政策・ビジョンを策定すること。
ロ、目標や年次計画は政策評価を通じて検証・見直しを行い創造的発展を図ること。
ハ、地域振興の基本理念を明確にした「地域経済振興条例」を制定すること。中小企業支援体制・予算措置の強化を図ること。
ニ、条例や計画策定に当たっては、特定の団体任せにせず、広く中小業者・地域住民の意思を反映すること。
ホ、企業誘致策において、補助金や地方税・公共料金の軽減などによる大企業優遇は行わないこと。
(2)中小企業の技術・技能の継承のための相談窓口を広げ、「地域産学提携」への支援を強めること。また、「インターンシップ」や教育訓練への助成制度、奨励金を創設すること。
(3)「伝統工芸品産業振興事業」を拡充し、歴史、文化、特性ある産業の事業継承に地域資源を生かした産業育成に努めること。
(4)「セーフガード」の発動で、地場産地を守ること。
(5)農業再生を図り、食糧自給率を50%に引き上げる目標を早期に達成させること。ミニマムアクセス米の輸入は廃止すること。日本農業に甚大な打撃を与えるFTAは締結しないこと。
(6)卸売市場の公共的機能を拡充し、地方卸売市場の活性化と卸・仲卸業者の経営安定へ支援を強めること。
(7)国民の食品安全に関する不安を解消するために検査体制を強化すること。
2、公正な取引ルールを確立すること
(1)「中小企業いじめ防止法」を実効性あるものとして制定すること。
イ、後を絶たない「下請けいじめ」や不公正取引、優越的地位の乱用など大企業の横暴から中小企業を守ること。
ロ、製造業、サービス業、卸・小売業、金融業などすべての業種に適用すること。
ハ、独占禁止法の「不公正な取引方法」を基本に、禁止される行為を明確にすること。
ニ、大企業側に、法令に違反しない行為である旨の「挙証責任」があることを定めること。
ホ、中小企業団体の、団体交渉権などを明記すること。大企業の社会的責任条項、報復措置禁止規定を盛り込むこと。違法契約の無効、排除規定、罰則規定を定めること。
(2)下請2法(下請代金支払遅延等防止法、下請中小企業振興法)を厳格に運用し立ち入り検査権を強化すること。
イ、下請法、建設業法および改正独禁法に基づき大企業による優越的地位乱用などの不公正な取引に対する取り締まりを強化すること。そのため、下請検査官を増員するとともに、立入検査権を強化すること。
ロ、元下関係について資本金基準のみによるものから取引実態を踏まえた新たな基準に改正を行うこと。
ハ、製造原価を下回る加工単価は、「買いたたき」に当たることを明らかにし取り締まること。
ニ、下請法の対象となる取引形態を拡大し、書面保存期間を5年に延長すること。また、当面、未払い代金や減額代金の返金などについて行政指導を徹底し原状回復と被害救済を図ること。
ホ、違反企業への課徴金などの罰則を強化し、違反金(被害額の3倍等)を課するなど、被害企業の救済と違法行為の根絶へ実効ある規定を盛り込むこと。
(3)中小企業団体のカルテル等を独占禁止法の適用対象外にすること。
(4)「下請適正取引ガイドライン」作成業種をさらに広げ、啓蒙・普及を図ること。
(5)「大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法」を改定し、納入業者への不当で過大なペナルティーの請求を対象に加えること。大手建設業者は建設業法を守り、元請け責任で未払い工事代金の解決が図られるようにすること。「請負契約」で働く請負就労者の債権は、労働債権として保護すること。
(6)公契約法・条例を制定し、公共工事が下請け業者や労働者の適正な作業報酬を保障する契約となるようにすること。
イ、事故ある場合は発注者と元請けの責任で未払い代金や賃金が支払われる仕組みとすること。
ロ、基準となる「公共工事設計労務単価」(2省協定賃金)の下落に歯止めをかけるため、策定方法を見直し、熟練労働者の標準生計費を基準に策定すること。
(7)国等の公共機関は、工事等の発注に当たって、ダンピング対策に努めるとともに、適正価格による契約を推するために、低入札価格調査制度を活用するとともに、最低限価格制度を設定すること。また、物件等の発注に当たっても、「公共サービス基本法」第11条に基づき、中小業者の経営が持続可能な価格による発注を行うこと。
イ、各発注機関は、中小業者等の受注拡大のため、設計と施工の分離発注、工事種別・規模に応じた分割発注に努めること。応札者の過重な負担を課さないようにいっそうの入札手続きの簡素化を図ること。
ロ、大手ゼネコンに有利な「総合評価方式」ではなく、地域特性を踏まえた技術・技能提案や公正な労働基準、地域貢献などを重視する評価方式を導入すること。中小規模工事への大手の参入を規制する「条件付き」一般競争入札の普及を図ること。
ハ、公共工事の行き過ぎたコスト削減を改め、国等の契約方針で適正価格発注を順守すること。最低制限価格の基準を設け、基準を割る業者の入札については失格とすること。
ニ、「民間資金による公共施設整備法」(PFI)は、公共施設の企画や建設から管理・運営まで民間大企業が独占して、公務公共業務の民間開放を進め、その収益確保に最大限の公的支援となっている。「住民の安全・安心・公正」を確保するため、抜本的に改正すること。国・自治体による監督責任を明確にすること。中小業者の入札排除につながる「入札ボンド」はやめること。
(8)FC加盟店と本部との公正な取引関係を確立するため、契約内容の禁止条項の明文化、ロイヤルティーの適正化などを盛り込んだ「フランチャイズ適正化法」(仮称)を制定すること。FC加盟店の経営権を確立すること。
(9)音楽文化の健全な発展のため、カラオケ著作権徴収・調査での行き過ぎた行為や、社会常識を逸脱した適用範囲の拡大をやめること。
(10)国・自治体は、消費税を積算単価などに盛り込むよう、大企業や業界への指導を強めること。
3、規制緩和政策を中止し、安全・安心を守るまちづくりを進めること
(1)建築確認審査制度の見直しを行い、過大な事務負担は軽減すること。木造2階建て住宅の「4号建築物の特例」廃止は凍結すること。
(2)大規模集客施設の出店を規制し、まちの荒廃に歯止めをかけること。
イ、大型店の深夜営業を規制し、地域住民の安全と健康を守る生活環境を確立すること。郊外出店を規制し、公共投資の浪費を是正すること。
ロ、自治体は、地域の産業振興や福祉、環境、文化の施策を有機的に統合した地域政策を確立すること。
ハ、「大規模小売店舗立地法」にある「地域的な需給状況の勘案」の禁止条項(第13条)を廃止すること。
(3)「中心市街地活性化基本計画」の認定による新たな「選択と集中」政策はやめ、自治体の意思を尊重した地域格差を是正する施策に改善すること。
イ、すべての自治体の基本計画を尊重し、住み続けられる「コンパクトなまち」づくりを支援すること。
ロ、中心市街地活性化協議会は住民の意見を公平に反映できる構成とし、公募枠も設定すること。
ハ、「大規模小売店舗立地法」の指針を見直し、閉鎖・撤退等地域貢献に対するガイドラインを策定すること。
(4)規制緩和政策を見直し、国民生活の利便、健康、安全、衛生などの確保や文化を守ることから、必要な資格要件を定め、過度な競争を防ぐ措置をとること。
イ、米、薬、酒などの流通への参入規制緩和を改め、住民生活の利便と健康を守る新たなルールを確立すること。
ロ、食品企業の偽装や不当表示に対する監視を強め、国・自治体の責任で正確な表示と食品の安全を確保すること。
ハ、理・美容やクリーニングなど生活衛生関連業の資格条件を順守し、国民の安全・衛生を確保すること。
ニ、書籍、新聞、CDなどの再販制度を守り、出版や音楽の文化を健全に発展させること。
(5)大都市拠点空港事業や都市圏環状道路整備、大型オフィスビル・マンション建設などに公共投資を集中する「都市再生」政策は中止すること。
(6)郵政民営化路線を転換し、生活に不可欠なユニバーサルサービスを守ること。
(7)郵便物の第3種、第4種の割引制度は維持すること。
(8)2011年アナログ放送の停止を延期すること。地デジ化にあたっては低所得者に助成制度を確立すること。
4、地球・自然環境を保全し災害対策を抜本的に強化すること
(1)地球温暖化・環境リサイクル問題は、国と大企業の責任を明確にして解決すること。
イ、温暖化ガスの2020年25%削減目標を達成に向け、政府は排出量の3分の2を占める発電所、大工場など産業界に削減目標と削減義務を課すこと。20%を占める自動車の排出量削減政策を進めるため、道路政策、都市計画を抜本的に転換すること。地球温暖化対策を口実にした原子力発電への利用増大をやめること。
ロ、メーカーに廃棄物処理まで責任をもたせる「拡大生産者責任」の制度を確立すること。3R(リサイクル、リユース、リデュース)の体制を築き環境と経済の両立した循環型社会をめざすこと。その担い手となる中小業者への支援を強めること。
ハ、家電製品や容器のリサイクルについて、製造大企業の負担を引き上げ、国と自治体は中小資源回収業者や関連中小業者への支援を強化すること。
ニ、自動車製造部品のリサイクルについて、既存の自動車販売・整備・解体関連の中小企業が持つ技術・技能、サービスを生かすこと。
ホ、中小業者の産業廃棄物や建設業者の残土残材処理が円滑に行えるよう、必要な地域に最終処理場を設置すること。
へ、PCB広域処理事業は住民の安全と環境保全を最優先で進めること。
(2)国と原因企業の費用負担でアスベスト被害救済、危険物の撤去・回収・廃棄を行うこと。
イ、アスベスト使用の全面禁止を直ちに実施すること。
ロ、「アスベスト健康被害救済法」を改正し、認定枠拡大と救済補償額の引き上げを図ること。無料検診を継続し、労災未加入で作業に携わった中小業者には労災並みの認定と補償を行うこと。
ハ、アスベストの解体・除去・補修、調査も含め公的助成措置を確立すること。
(3)高速増殖炉やプルサーマル計画は中止し、核燃料サイクルの被害を根絶すること。新たな原発建設を中止し、原子力施設の総点検を行うこと。既存施設の点検を自主・民主・公開の原則で進め、発電所内で作業する労働者や下請け業者への安全対策を徹底すること。
(4)風力、小型水力、太陽熱・光、バイオマス、水素(燃料電池)など再生可能な自然エネルギー源の開発と利用を促進すること。省エネ・熱源転換への設備投資への助成支援制度の創設を行うこと。
(5)「被災者生活再建支援法」は、「全壊」「大規模半壊」以外の世帯および中小業者の店舗・工場を対象とし、支給上限額を500万円に引き上げること。阪神・淡路大震災以降の被災者にも特例措置を遡及適用し、営業と生活の再建を支援すること。
(6)震災・災害関連融資は据え置き期間を長期化し、返済猶予制度を復活・拡充すること。既存ローンについて、長期・低利の資金へ借り換えできるようにすること。地域復興に不可欠な被災中小業者の事業再建支援を、融資から助成中心に改め、融資には弾力的な返済免除制度を導入すること。
(7)国・自治体の責任で、住民本位のまちづくりと消防力強化、避難諸設備改善、監視・観測体制の整備などあらゆる災害に備えた防災体制の強化を図ること。地震に強いまちづくりを進めるために、住宅の耐震補強への助成を強めること。

 三、消費税による営業破壊を許さず、庶民大増税阻止・納税者の権利擁護を
1、最悪の大衆課税・消費税は廃止すること。消費税率引き上げは絶対に行わないこと
(1)消費税・地方消費税は営業破壊税であり、廃止すること。
(2)いかなる口実でも税率引き上げは行わないこと。当面、税率を引き下げて、生活必需品・関連サービスを完全非課税にすること。
(3)消費税は広範な中小業者にとって「預かり金」でも「預かり金的」でもないことを認め、「益税」宣伝を撤回すること。消費税を払いきれない納税者に、延納・分納を認め、減免制度を拡充すること。消費税の値引き強要など、不公正な取引を指導し、やめさせること。
(4)消費税の免税点は年間売り上げ3000万円、簡易課税は適用上限を2億円とし、総額表示義務を直ちに廃止すること。
(5)納税実務に関して、「資金・時間・心理」のあらゆる負担を軽減すること。所得税法で簡易な帳簿が認められている所得300万円以下の中小業者には消費税法の記帳要件も大幅に緩和すること。業界の取引慣行を尊重し、帳簿および請求書などの「保存義務」を軽減すること。課税期間の売り上げが免税点以下の場合は免税にすること。課税事業者、簡易課税の事前届け出を廃止し、申告時に選択できるようにすること。「インボイス」方式は導入しないこと。
(6)仕入税額控除否認の制度は、実額課税も取引の実態も無視した最悪の二重課税で、「消費税は、課税の累積を排除する方式による」とした税制改革法10条違反であり、断固廃止すること。
(7)公共入札・指名願などの条件から消費税の完納証明添付を外すこと。
(8)輸出大企業への個別補助金となっている消費税の「輸出戻し税」は廃止すること。当面、制度改善し、消費税転嫁が困難な下請け中小企業や内需振興の財源に充てること。
2、大企業優遇税制を是正し、税制に生活費非課税・応能負担原則を徹底すること
(1)「子ども手当」や「給付付き税額控除」と引き換えに、生活費非課税原則を掘り崩す、所得税・住民税の諸控除の廃止・縮小は行わないこと。
(2)所得税は総合累進課税とし、大企業優遇税制を是正して応分の負担を求めるなど、応能負担原則の徹底を図ること。
〈所得税などについて〉
(1)生活費に課税しないこと。所得税の人的控除、給与所得控除などの縮小・廃止はやめ、すべての国民を対象に、所得税の課税最低限を生活保護基準の水準にまで引き上げること。当面、基礎控除を170万円(東京都1級地の1の18歳単身者の生活保護基準額)に、配偶者控除、扶養控除をそれぞれ76万円(同単身者の生活保護基準額)に引き上げること。所得控除の全廃や消費税増税に道を開く、「給付付き税額控除」は導入しないこと。
(2)所得税の税率は、「能力に応じた公平な負担」の原則を貫く総合累進課税制度を導入し、高額所得者・大資産家への特権的優遇税制を廃止・是正すること。
イ、所得税率の平準化をやめ、高額所得者に対する最高税率を引き上げること。
ロ、証券優遇税制は廃止し、高額所得者・大資産家優遇の損益通算の特例は行わないこと。
(3)事業主、家族従業者の働き分(自家労賃)を経費として認めること。女性差別撤廃条約の「差別法規」に当たる所得税法第56条は廃止すること。青色申告の事業主にも給与所得控除を認めること。当面、給与所得控除65万円は全事業主に認めること。
(4)中小業者が生前に後継者に事業を譲る際、その事業形態にかかわらず、税制上の負担を軽くする事業継承税制をつくること。
(5)申告納税制度の本旨を守り、記帳義務を要件にした経費の概算控除制度の導入は断じて行わないこと。
(6)介護認定者には、申請の有無に関係なく、すべて障害者控除の適用を認めること。
〈法人税などについて〉
(1)大企業への特権的優遇税制を廃止・是正すること。
イ、大企業に適用する法人税を累進課税とし、最高税率を引き上げること。当面、消費税導入前の42%に直ちに戻すこと。
ロ、連結納税制度の損益通算やリストラを推進する企業分割税制をやめ、連結付加税を復活させること。
ハ、大企業への受取配当金不算入および貸倒引当金など各種引当金制度を直ちに減額、または廃止すること。
ニ、研究開発減税は、適用対象の資本金上限を設けるなどにより大企業優遇措置をやめ、中小企業支援を強化すること。
ホ、租税特別措置は、大企業優遇税制を廃止し、中小企業などへの支援制度は恒久化すること。
へ、「租税特別措置の透明化法」により提出が義務化される「適用額明細書」は、中小法人の新たな事務負担にならないようにすること。
(2)人格なき社団に対する原則非課税を堅持すること。
3、地方自治の本旨を踏まえた地方税財政の拡充を
〈地方財政について〉
(1)住民の福祉の増進を図る地方自治の本旨を踏まえ、自治体財政を拡充すること。
(2)地方交付税は、基準財政需要に基づく調整制度を尊重し、すべての地方自治体が、住民の福祉増進に必要な財政を保障されるよう、確保・拡充を図ること。地方自治体の「行政改革」を前提とした新型交付税や臨時財政対策債への振替は見直すこと。
(3)地方自治体への税源移譲は、地方への事務配分に見合った規模を確保すること。都道府県から基礎的自治体への事務事業権限の大幅委譲、国の出先機関の地方への移管などはやめること。
(4)地方自治体の自主財源確保は、大企業・大資産家への適正課税を基本とし、大衆課税はしないこと。
(5)自治体財政健全化法による、画一的な自治体財政の統制はやめること。
〈住民税などについて〉
(1)住民税の人的控除の縮小・廃止は、住民税増税だけでなく、国保料(税)や保育料など「雪だるま式」の負担増となるため、行わないこと。住民税に生活費非課税を貫き、所得税と同水準を確保すること。
(2)住民税の税率は、「能力に応じた公平な負担」の原則に基づく累進制度とし、一律10%の税率は当面、元に戻すこと。
〈法人事業税などについて〉
(1)大企業の法人事業税は、担税力に見合った引き上げを行うこと。
(2)外形標準課税は中小法人に導入しないこと。赤字中小法人にも課税する地方税の均等割額を引き下げること。
〈固定資産税・償却資産税について〉
(1)個人の住宅、中小業者の店舗・工場など、小規模な土地・建物の固定資産税、都市計画税を大幅に引き下げること。200平方メートル以下の住宅への軽減措置を店舗、工場および事業用地にも適用すること。事業用資産について、経済的理由による減免制度を確立すること。
(2)大工場など、大規模な土地・建物への固定資産税、都市計画税は、資産と所得を勘案し、引き上げを図ること。軍事基地への特権的優遇はやめ、適正に課税すること。
(3)償却資産税の免税点を1点100万円、総額で1000万円まで引き上げること。低所得者への減免制度を確立すること。
4、「納税者の権利憲章」を制定し、税務行政を民主化すること
〈納税者権利憲章について〉
 経済協力開発機構(OECD)加盟国で、日本にだけ確立されていない「納税者の権利憲章」を、国民合意で早期に制定すること。調査、徴収、不服審査、裁判に至るまで適正手続きを盛り込むこと。
イ、納税者の権利を尊重する基本理念を示し、税務当局の質問検査権の限界を明確にするための法改正を行うこと。
ロ、税務調査での事前通知や理由開示、権利通知を義務づけること。
ハ、行政手続法を税務行政に全面的に適用すること。税務調査の公正を期すため、納税者が求めた場合、第三者の立会人、および調査内容の記録や録音を認めること。
ニ、税務行政の監視、是正を図る税金オンブズパーソン(行政監察官)制度を確立すること。当面、納税者支援調整官に独立した権限を持たせ、全税務署に配置すること。
ホ、滞納整理に当たっては、納税者の生存権的財産の処分を禁止し、催告や面接、聴聞、弁明機会の提供などの適正手続を法定化すること。生存権的財産を拡充すること。
〈税務調査について〉
(1)申告納税制度を尊重し、人権をじゅうりんする税務調査を行わないこと。
イ、5年、7年さかのぼる不当な修正申告の強要や同業組合ぐるみの押し付け課税はやめること。
ロ、事前調査をやめ、法定外文書や「呼び出し」「お尋ね」などの乱発、「収支内訳書」「法人事業概況説明書」の提出を強要しないこと。
ハ、税務運営方針や第72国会決議を厳守し、事前通知、調査理由の開示を必ず行うこと。
ニ、納税者の承諾なしの反面調査は行わないこと。
ホ、立会人を理由とした、調査拒否や消費税の仕入れ税額控除否認、青色申告承認取消を行わないこと。
へ、所得税、消費税などの更正・決定処分には、白色申告にも具体的理由を付記すること。
(2)「修正申告」「更正の請求」の期間は、更正処分の期間制限との均衡を考慮し、申告期限後3年以内に統一すること。法人の更正処分の期間制限を、脱税以外の場合は5年から3年に戻すこと。
(3)国の課税権の濫用から国民の権利擁護を図る税法の目的を逸脱する、租税罰則の強化は撤回すること。懲役・罰金など刑事罰と各種加算税など行政罰との二重制裁を是正し、加算税の課税要件を明確化すること。
〈不服審査・税金裁判について〉
(1)国税不服審判所の改革にあたっては、納税者の権利救済制度にふさわしく、不服審査制度全体の抜本改善の抜本拡充を図ること。
イ、異議申し立て(再調査請求)以降の新たな税務調査はやめ、代理人に対する不当な制限や排除をやめること。
ロ、異議申し立て(再調査請求)から裁判の確定までは、延滞税、加算税などをかけないこと。
ハ、審査請求は、納税者の選択により、異議申し立て(再調査請求)の決定を経ずに行えるようにすること。
ニ、審査請求では、原処分庁の提出書類や審理員が所持するその他の証拠書類について例外なく、請求人または参加人が閲覧・コピーできるようにすること。
ホ、不利益処分の理由付記を義務付けること
へ、国税不服審判所の支所をすべての都道府県に置くこと。
ト、国税不服審判所の審判官は、審査機関の独立性と中立性、公平性を確保するため、任用基準を定めて公表すること。財務省・国税庁人事から切り離すなどにより、第三者性を高めること。
(2)税金裁判を公平に進めるため、裁判官と訟務検事の人事交流(判検交流)をやめること。国税庁など課税庁から裁判所への職員の任用制度を廃止すること。
〈徴収行政について〉
(1)徴収手続きは、中小業者の生活再建と事業再生支援に役立つよう、運用の抜本改善を図ること。国税徴収法の目的に「事業の継続更正および事業または経済生活の再生」を明記し、納税緩和措置の適用要件を緩和し、経済的理由での減免制度を設けるなど、徴収法制を改正すること。
イ、滞納整理に当たっては、納税者の生存権的財産の処分を禁止すること。差押え禁止財産の範囲を拡充すること。
ロ、国税や地方税、国保料(税)等の滞納に対し、「売掛金差し押さえ」「年金の差し押さえ」「生命保険金の強制解約」「先日付小切手の強要」など不当な徴収・滞納整理をしないこと。
ハ、売り上げ・利益減、著しい損失など、経済的理由による納税緩和措置を中小業者に認めること。
ニ、滞納者の財産調査は課税調査と明確に区別し、本人の同意に基づいて、必要と認められる範囲にとどめること。
ホ、差し押さえや捜索など、強制執行権の乱用は即刻やめるとともに、人権擁護のための法改正を行うこと。
ヘ、源泉所得税は徴収義務者に無報酬で天引きさせ、納税しきれなければ自己の財産を強制徴収されるという過酷で不合理性を持っている。税務制裁は加算税に限定し、納税の猶予を認めること。
ト、住民税の滞納処分の権限から都道府県を外すこと。「租税回収機構」などの事務組合、広域連合に対し、自治体の監督責任を明確にするとともに、住民の権利救済規定を設け、人権侵害が起きないよう徹底すること。
(2)サラ金並みの高利率で、税金を払いたくても払えない状況を広げている延滞税・延滞金は、引き下げを図ること。分納の場合は延滞税・延滞金を免除すること。
(3)税と保険料を一体的に徴収する「歳入庁」は、権力の集中が強権的な徴収をいっそう激化させるため、創設しないこと。
(4)国民総背番号制につながる「納税者番号」制度の導入は行わないこと。
(5)地方税の徴収を年金からの天引き、カード払いなどに拡大させないこと。滞納者への行政サービスの給付制限は行わないこと。
(6)KSK(国税総合管理)システムやe‐Tax(電子申告)による、法的根拠のない実務の押し付けや納税者情報の収集はやめること。これら情報の目的外利用および、事実上の「納税者番号」制度化を厳格に禁止すること。
(7)行政機関等個人情報保護法を順守し、納税者に関する情報の漏洩や流出、紛失を絶対にしないこと。立法趣旨を順守し、税務行政にも適用すること。e‐Tax(電子申告)は、個人情報が漏洩し、情報が保護されないまま、管理の一元化につながる恐れがあるので凍結すること。
(8)情報公開法を適正に運用し、納税者本人への情報公開や税務行政の透明化を図ること。

 四、社会保障の改悪を許さず、医療・福祉制度の拡充を
1、中小業者・国民が安心できる医療制度を確立すること
〈国民健康保険制度の改善に関して〉
(1)国保証の取り上げをやめ、国民皆保険制度を守ること。
イ、資格証明書の発行を直ちに中止し、すべての被保険者に正規の保険証を無条件で交付すること。
ロ、国民年金保険料未納者に国保の短期保険証を交付するなどの制裁措置はやめること。
ハ、国保法9条を改正し、国保証の取り上げ「義務化」をやめること。
ニ、自治体は、国保料(税)を払いきれない加入者の生活実態の把握に努め、制裁行政をやめること。
(2)国保料(税)を大幅に引き下げること。国保への国庫負担を、総医療費の45%に戻すこと。
イ、当面、加入1世帯あたり年額1万円の保険料(税)引き下げを図ること。
ロ、生活費非課税と真の応能負担原則を適用し、「払える国保料(税)」にすること。
ハ、高すぎる国保料(税)を払えない加入者の実情に応じ、生活保護を基準に減免措置を拡充し、分割納付を推進すること。
(3)国保の医療給付は、加入者全員への10割をめざし、当面8割に引き上げること。
 医療費の一部負担金の減免制度を、全自治体で拡充すること。
(4)国保加入者に対する傷病手当、出産手当を強制給付とすること。
(5)「リストラ」を推進する大企業に、リストラした人件費に応じた社会保険料を、国保財政へ拠出金として支払わせる制度を確立すること。請負・派遣社員の割合に応じた社会保険料を拠出させること。
(6)国保運営協議会は、住民生活の実情を理解した委員を構成員にし、審議の状況について国保加入者が意見を述べる機会を保障すること。
(7)医療費抑制と被保険者負担増を競わせる都道府県単位への国保の広域化はしないこと。
(8)年金給付から国民健康保険料や住民税を天引きし、国保証を取り上げるなどの社会保障制度の解体は中止すること。国民の財産や生命を国が管理する社会保障カード(仮称)は導入しないこと。
〈医療制度の改善に関して〉
(1)高齢者差別の「後期高齢者医療制度」は即時廃止すること。廃止までの間、保険料の値上げ分は国が補てんすること。65歳以上を全員別枠の国保に加入させる新制度は導入しないこと。
イ、国保に加入する自営業者の扶養者にも、所得割軽減の緩和措置を実施すること。
ロ、後期高齢者の通院治療に対する「定額払い・包括払い」は、医療の差別化につながるのでやめること。
ハ、後期高齢者医療制度の保険料は、国庫負担を増やして負担緩和等の措置を拡充するとともに、国による減免制度を設けること。国保会計からの持ち出しによる「支援金」は減らすこと。
ニ、高齢者からの保険料徴収、年金からの保険料天引きなどはやめること。
(2)「医療改悪」を是正し、改善を図ること
イ、窓口負担の無料化をめざし、高齢者と子どもの医療費を無料化すること。
ロ、外来診療について自己負担の限度額を復活させること。
ハ、入院時の食費、部屋代など自己負担を減らすこと。入院費の限度額を引き下げること。限度額適用認定書の発行に当たり、国保料(税)の滞納者を差別しないこと。
ニ、高額療養費の自己負担限度額を引き下げ、複数の医療機関にかかっても合算適用すること。高額療養費の現物給付は、入院と通院を合算したものとすること。
(3)保険のきかない「自由診療」を拡大し、患者負担を増やす「混合診療」を拡大しないこと。
(4)協会けんぽの本人10割給付を早急に復活すること。当面、保険料の事業主負担分の減免制度を創設すること。都道府県によって保険料の格差を生まないよう制度を確立すること。保険料率の引き上げや傷病手当金および出産手当金の削減は行わないこと。
(5)自治体は、地域の実情に合わせ、無料健康相談・健診制度などの施策を拡充すること。「後期高齢者医療制度」を廃止し、特定検診を元の老人保健法の基本検診に戻すこと。当面、特定健診の実施率による後期高齢者医療支援金の加算・減算はやめるとともに、後期高齢者を健康診断の対象から排除しないこと。
 休日健診への助成制度を設け、内容を充実すること。
(6)地域の医療を破壊する公立病院の再編や縮小、民営化、保健所つぶしをやめること。地域医療を国の責任で拡充し、夜間の小児救急外来を増やすこと。公立病院の再編と縮小・廃止を進める、総務省「公立病院改革ガイドライン」の見直しを行うこと。
(7)救急患者のたらい回しを引き起こす医師不足を解消すること。開業医・勤務医の待遇を改善すること。無料低額診療事業所を国の負担と責任で拡大普及すること。
2、介護保険法を改正し、公的介護保障を確立すること
(1)介護保険法の改悪を元に戻し、介護施設入居者の食費・住居費の全額自己負担を中止すること。
「給付の効率化・重点化」はやめ、介護を必要とする国民すべてに、行き届いた介護を供給すること。
(2)国庫負担を増やし、利用料は無料にし、保険料は低額に抑えるなど制度を改正すること。
 国の責任で住民税非課税世帯の保険料・利用料を免除する制度を確立すること。
 保険料徴収の年齢引き下げはやめること。保険料を払いきれない世帯に対する給付制限や制裁はやめること。高額介護費用の償還払い制度はやめ、受領委任払い制度にすること。高額医療・高額介護合算制度を拡充すること。
(3)特別養護老人ホームなどの待機者を出さないこと。介護施設の増設やホームヘルパーの増員など、介護制度を拡充すること。施設の安全対策への公的補助を拡充すること。
(4)介護保険制度の存在を理由に、自治体の高齢者への措置制度を後退させないこと。
(5)介護者の精神的ケアや緊急時の代替など行政支援を強化すること。
(6)障害者自立支援法は廃止し、支援費を引き上げるなど助成を拡充すること。
3、年金の改悪をやめ、安心して老後が暮らせる制度を確立すること
(1)国民年金保険料の引き上げを中止するとともに、減免制度を拡充し、「払える保険料」にすること。年金積立金を計画的に活用すること。
(2)保険料を払えない加入者への制裁行政をやめること。
(3)無年金者をなくすこと。すべての国民に60歳から無条件で支給する、全額国庫負担の月額7万円の「最低保障年金制度」を創設すること。消費税を財源とせず、応能負担を徹底し一般財源で行うこと。
(4)当面、国民年金制度を次のように改善すること。
イ、生活できる年金制度の確立をめざし、支給額を月14万円に引き上げること。
ロ、年金の受給資格は10年の加入期間とすること。
ハ、年金支給開始年齢を60歳にし、満額を支給すること。
ニ、加入者の実情に即した減免制度に改善すること。学生への減免基準を改善すること。
(5)厚生年金の改悪をやめ、支給開始年齢を60歳に戻すこと。中小業者の事業主負担を軽減すること。
4、労働保険を改善すること
(1)労災補償への国と大企業の責任を明確にして国庫負担を増やし、小規模事業所の保険料率を引き下げること。すべての業種で中小業者と家族従業者が労災保険に加入できるようにすること。
 障害者の労働保険料は公的助成で無料にすること。
(2)労災未加入事業所の従業員の労災補償を、事業主が全額自己負担する制度は撤回すること。事故発生から遡及する保険料納入を可能にし、救済措置を維持すること。
(3)工事現場などでの労働災害に対し、親企業は下請け業者の労災補償を行うこと。
 労災認定基準や給付内容を改善すること。
(4)労災保険の民営化は行わないこと。
(5)雇用保険の短期特例一時金の削減をやめ、90日分の支給に戻すこと。併せて、冬期に就労先のない季節労働者への支援を強化すること。
(6)積雪寒冷地域で実施していた冬期援護制度を復活すること。
(7)地域経済に重要な役割を果たすハローワークを存続させ、統廃合計画は撤回すること。
(8)労働保険事務組合の新たな負担となる労働保険料と社会保険料の徴収一元化計画は撤回し、労働保険事務組合の育成を図ること。一人親方等の特別加入をすべての事務組合で行えるようにすること。
5、生活福祉資金を拡充すること
 生活福祉資金は、「世帯の更正(自立)を図る」趣旨を生かし、営業と生活が密着・不可分な中小業者の経営(生業)を成り立たせるため、制度を改善し、的確かつ迅速な貸付がされるようにすること。
6、生活保護制度の改悪・見直しはやめ、拡充すること
(1)生活保護受給は、国民の権利であり、すべての対象者が遅滞なく受給できるよう保障すること。
 生活保護法は、憲法25条の精神に則り、権利性を明確にした「所得保障法」に改称とすること。資産要件と能力活用義務を緩和し、扶養義務範囲を限定すること。申請の権利を保障し、制度の周知徹底を自治体に義務づけること。経済変動などによる所得保障基準以下への所得減少は国が誠実に保障すること。地方ほど疲弊がひどい現状であり、扶助第1類の級地区分を実態調査に基づき見直すこと。老齢加算を元に戻し、生活扶助基準を引き下げないこと。
(2)生業扶助(生業を営むのに必要な資金や器具・資材の購入費)の限度額(現行4万5000円)を引き上げること。
(3)中小業者と家族従業者が病気や営業不振で、休廃業などの状況に追い込まれたとき、生活保護制度で事業の継続や転業などの再チャレンジができるよう「廃業扶助」を設けること。
7、保育基準の規制緩和はやめ、公的保育制度を拡充すること
(1)保育所を増設すること。保育所の居室面積基準の引き下げや外部調理の容認、園庭の廃止など、保育基準の規制緩和は行わないこと。
(2)公立保育園の民営化はしないこと。国・自治体の責任で公的保育制度を拡充し、待機児童をなくすこと。公的保育制度の後退となる認証保育はやめること。病児保育への支援・強化を図ること。
(3)中小業者の労働実態に合った保育時間を保障し、居宅内労働への差別を廃止すること。
(4)無認可保育所、学童保育などへの公的補助を大幅に増額すること。
8、自主共済を守ること
(1)助け合い共済を根底から否定する保険業法は直ちに見直すこと。団体自治への干渉は行わないこと。
(2)当面、政令改正を行い、自主共済を「適用除外」とすること。

 五、教育を充実し、文化・スポーツ振興を
1、健全な文化、芸術を振興すること
(1)国民誰もが気軽に文化・芸術を楽しめるように予算を大幅に増やすこと。
(2)文化・芸術活動を担う団体や個人に、助成など直接支援を行うこと。
(3)地域が歴史的にはぐくんできた伝統工芸・郷土文化・芸能の振興を図り、継承者の育成を進めること。
2、豊かな地域コミュニティーづくりを進めること
(1)文化・スポーツ活動の自主的・自発的な発展を保障し、施設や人的・物的支援を強化すること。
(2)住民が利用しやすい文化・スポーツ施設をつくること。
イ、国・公有地、河川敷などを利用して、働く国民のための文化・スポーツ施設をつくること。
ロ、中小業者・住民が、休日や夜間も文化・スポーツの公共施設を利用できるようにすること。
ハ、文化・スポーツ施設の運営は、利用者・利用団体も加え、民主的に行うこと。
3、子どもの健やかな発達を保障すること
(1)憲法が明記する教育権を保障し、子どもの権利条約に基づく教育を進めること。改悪教育基本法による管理・統制教育をやめること。
(2)「子どもの貧困」の解消のため、政府・自治体をはじめ、子どもに関連するすべての機関、すべての地域、スタッフが全力を傾注し、1日も早く子どもたちを取り巻く健全な環境を取り戻すこと。
(3)義務教育費はすべて無償とし、教材・教具、学校給食費の自己負担をなくすこと。就学援助の認定基準を改善して支給対象を拡大し、給付を引き上げること。一部の就学援助適用者を差別的に取り扱う「準要保護」区分はやめること。
(4)すべての高校・高専・大学の授業料を無償にすること。私立学校への国庫補助を直ちに増額し、授業料の不況減免・免除制度を拡充すること。日本学生支援機構奨学金は無利子にし、「教育の機会均等」を保障する公的奨学金制度を創設すること。
(5)登校拒否・不登校・ひきこもりなどで悩んでいる子どもたちや、親、教師の相談に乗れる専任教師、スクール・カウンセラーを小・中・高校の全校に配置すること。
(6)子育て支援センターを充実させるなど、地域で子育ての悩みや相談に乗れる場づくりを進めること。児童相談所の相談員を増やすこと。
(7)「日の丸」の掲揚や「君が代」の斉唱を強制しないこと。史実をゆがめる教科書検定は中止し、沖縄戦の軍命による「集団自決」や日本軍「従軍慰安婦」問題の事実を教科書に載せること。納税義務だけを一面的に強調する、ゆがんだ租税教育を行わないこと。
(8)子どもたちを競争に駆り立てる全国一斉学力テストは全廃すること。国の責任で30人学級を早期に実現すること。選別教育を進める学習指導要領を抜本的に見直すこと。
(9)小・中学校での学校給食は自校方式を奨励し、地域の中小業者や農産物の活用を推進すること。
(10)「子ども手当」は国民的合意に基づき、改善を図ること。

 六、憲法改悪反対、日米安保条約を廃棄し、平和・中立・民主の日本を
1、憲法の平和的・民主的原則を擁護・発展させ、憲法改悪の策動を直ちに中止すること
(1)憲法の平和的・民主的原則を擁護・発展させること。国会法「改正」は解釈改憲に道を開くとともに議会制民主主義を破壊するものであり直ちに撤回すること。「憲法改正国民投票法」に基づく一切の策動を直ちに中止すること。
(2)自民党の新憲法草案、民主党の憲法提言は撤回すること。
(3)憲法の国際的先駆性を生かし、平和外交を世界へ広げること。かつての「韓国併合」の違法性を認めること。
2、在日米軍基地の再編強化をただちに中止すること
(1)憲法9条を順守し、在日米軍基地再編強化や有事法制の具体化は断固中止すること。沖縄の普天間基地は無条件で撤去し、新基地建設計画を撤回すること。
(2)総額3兆円にも及ぶ在日米軍基地移転費用への税金投入は断固撤回すること。
(3)在日米軍と自衛隊の一体となった軍事訓練強化やミサイル防衛体制の推進はやめること。
3、日米安保条約を廃棄し、有事法制をやめること
(1)日本の米国に対する政治的・経済的従属の「制度化」を図る軍事同盟―日米安全保障条約を廃棄し、平和友好条約を締結すること。対米追従の戦争支援や「核抑止」政策をやめること。
(2)米軍基地を日本からなくすこと。日米地位協定での米軍の治外法権的特権を廃止すること。
(3)在日米軍の実弾砲撃演習、超低空飛行訓練、夜間離着陸訓練は直ちにやめること。民間空港・港の軍事利用をやめること。米軍と一体となったミサイル防衛の推進は中止すること。
(4)日米軍事利権の腐敗構造を徹底解明し、軍事費を大幅に削減すること。日米地位協定でも負担義務のない、米軍への「思いやり予算」は直ちに廃止すること。
(5)非核3原則の空洞化や在日米軍への裁判権の放棄など日米関係のあらゆる「密約」を公表、撤廃すること。
(6)イラク、アフガニスタンの復興支援は、国連中心に行うこと。
(7)国民を戦争に強制動員する有事法制の発動も具体化も行わないこと。
 「国民保護」法制を撤回し、戦争法(新ガイドライン関連法やテロ対策特別措置法を廃棄すること。
4、核兵器を直ちに廃絶すること
(1)すべての国連加盟国が核兵器廃絶で合意し、実行に踏み出すよう、核兵器廃絶国際条約、核実験全面禁止条約の締結を積極的に促進すること。
(2)非核3原則の法制化を行うこと。核保有国の艦船・爆撃機の日本立ち寄りに非核証明書の提出を求めること。
(3)国家補償による被爆者援護法を制定すること。
5、政治を革新し、民主主義を守ること
(1)民意の反映を担保する衆議院比例定数は、削減しないこと。民意をゆがめる小選挙区制はやめること。参議院の選挙制度「非拘束名簿式」を見直すこと。政党助成金は廃止すること。
(2)選挙活動における言論、文書、宣伝活動などの規制をやめること。
(3)企業・団体による政治献金を禁止し、政・官・財の癒着・汚職を徹底究明すること。
(4)国会の正規の機関をもとにした民主的議会運営を確立すること。
(5)国と自治体およびその議会は、国民の請願権を尊重し、住民の請願・陳情には、意見陳述の場を保障するとともに、その検討結果をすみやかに公表すること。
(6)裁判費用の敗訴者負担はやめること。
(7)集会などを取り締まる「共謀罪」などのたくらみは中止すること。

   
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