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カラオケ著作権料問題の真の解決のために
1994年12月
   (社)日本音楽著作権協会は、近く、5坪以下店舗にもカラオケ著作権料納入を義務づけることを中心にした「著作権料使用料規程」変更申請を行なう方針です。この新たな事態に対して、民商・全商連は、これまでの方針をふまえつつ、この問題の真の解決と中小業者の営業を守るために奮闘することが大切です。

一、若干の経過について

 カラオケ著作権料問題が表面化した当初、「カラオケに著作権が及ぶかどうか」についてさまざまな議論がありました。
 全商連はこの段階で、著作権法上あいまいなまま、「使用料規程」の変更というかたちで強行されることに反対の態度を表明しました。
 その後、自民党国会議員も介在した「裏交渉」で協会の意向が通り、申請が認可されるというきわめて不正常なスタートをきりました。出発点におけるこの歪みは、その後の各種のトラブル頻発の根源となっています。


 そして今日、協会等が金科玉条とする最高裁判所判決も、一人の判事の「歌唱するかしないかは全く客の自由に任されており、営業主たる上告人らが主体的に音楽著作物の利用に関わっているということはできない」という意見も出たいわくつきです。(但し同判事は、カラオケテープ(ディスク)の再生自体が演奏権の侵害になるとの理由で結論としては著作物使用料の徴収を求めています)。
 この点に限らず、コンパクトディスク、カラオケなど新しい機器の開発・普及に見合う著作権法の整備・改正を避け、法律の新・拡大解釈を続けることは、法治国家にはあるまじきことです。
 作詞家、作曲家等の著作権を擁護する立場に立つ私たちは、こうした経過をきわめて遺憾なことと考えます。今日もなお、大都市部では契約率が50%程度に低迷している原因と責任の所在は、協会と政府にあることは明白です。


 しかし全商連は、カラオケ著作権料の管理・徴収が文化庁長官の認可を受けて開始され、司法の結論が出たという事態に際して、音楽著作権を擁護する立場を鮮明にするとともに、個々の業者の理解・納得のもとに契約を結ぶことはやむをえない、という柔軟で道理ある態度を表明してきました。
 同時に、協会の強権的な契約推進の業務運営を批判し、中小業者の営業を守るために、個々の実態に応じた適切な対処を求めてたたかってきました。
 「民商は著作権侵害団体ではない」という理解がひろがるとともに、各地で協会と話し合うことで改善、解決がはかられる状況が生まれました。


 しかし、カラオケ著作権をめぐる様々な問題点の根本的な解決は依然として残されたままであり、7年余の今日もなお、真の全面的解決の展望は見い出せない状況です。
 民商・全商連は、作詞家、作曲家等の音楽著作権を擁護する立場に立ちつつ、中小業者の営業を守るという基本的立場を堅持した上で、真に問題を解決する展望をきりひらくために、以下の基本要求をかかげて奮闘しなければなりません。

二、真の解決のために

(一)五坪以下店舗への適用に反対
 7年前、カラオケ著作権料の徴収が開始された時に、「当分の間、5坪以下店舗には適用しない」方針とせざるを得なかった事実は、この問題の矛盾を象徴しています。
 過去、著作権制度審議会答申も、聴・観衆が不特定であっても少数の場合には、社会通念上「公の演奏」にはあたらないものとすべきものがあると考える趣旨を付言したことがあります。
 また、文化庁著作権課も「著作権の理解の普及については低い状況」にあることを認めています。
 加えて、今日の経済状態は戦後の歴史にない不況下であり、小零細業者の営業はまさに危機的な状態にあります。
 重大なことは、協会は1996年(平成8年)1月1日からの実施をめざし、文化庁への認可申請を近々行なうことを明らかにしているだけでなく、認可から実施期日までの「事前納入」には特別割引をおこなうことまで決めていることです。
 この問題の経過で明白な本質的な矛盾を解決することなく、ふたたび「使用料規程」の変更というかたちで五坪以下店舗にも適用することは、矛盾をいっそう拡大するものであり、全商連はその強行にはつよく反対します。

(二)団体割引制度を廃止し、料金引き下げを
 協会は「基準を設けた、管理手数料としての減額であり、団体割引制度を廃止する考えはない」ことを表明しています。

 契約促進、普及・管理協力等「合理的」理由があるとの主張ですが、そもそも団体割引制度は、カラオケに著作権が及ぶとする新解釈への反対運動を鎮圧、分断する「道具」としてスタートした制度であることは周知の事実です。
 さらに、新潟県商工団体連合会等の申立てによって、運用実態を調査した公正取引委員会も、「独占禁止法違反につながるおそれがある」と注意した制度です。
 団体割引規程・基準も協会が一方的に決めるものであり、団体の管理能力等に差があるもとでは、個々の契約者から見れば差別対価となるおそれ十分です。
 何よりも重要なことは、団体・組織に加入するかどうかは、個人の自由であり、団体割引制度の存在は、広範なアウトサイダーの権利侵害にもつながります。
 こうした問題と疑問が残る「団体割引制度」はきっぱり廃止し、財政的に割引く余裕があるというならば、料金そのものを引き下げるべきです。
 民商・全商連は、広範な業者、国民とともに、団体割引制度の廃止、料金引き下げを実現し、協会を公正、明朗な体質にしていく方向を要求しています。

(三)過去分の清算を新規契約の必須条件としないこと
 中小業者がカラオケ著作権問題でもっとも困惑するのが、契約以前の料金を請求されることです。契約が成立していないのに支払義務が生じるという独特の制度やカラオケ著作権について、一片の説明書で理解されるものでないことはあまりにも明白です。
 この過去分の清算を新規契約の前提、必須条件とされることは、業者にとって予定外の過大な経済負担の押しつけとなり、場合によっては「店を売らなければ払えない」深刻な事態さえ引き起こしています。
 こうしたやり方を今後も続けることは、混乱・反発を拡大することは目に見えており、円滑な解決を遅らせるものです。
 過去分の清算と新規契約を分離し、契約の意志のある業者とはまず契約すること、そして、清算については長期分割納入など業者の実態と要求にてらして現実的な柔軟なやり方に改善させましょう。

(四)協会の特権的体質にメスを加え、業務運営、財政状況等を民主的でガラス張りに
 77億円以上の巨額無利子融資事件に象徴されるような、協会の業務運営に対して、国民の不信は根深いものがあります。
 「著作権の仲介業務に関する法律」によって設立された社団法人日本音楽著作権協会は、仲介業者を独占しています。指導・監督は文化庁の責任ですが、協会自身、「日常的にそう強い指導はない」と語るように、特権的体質が醸成されてきたと言えます。  年間763億8000万円の収入(93年度決算 内カラオケ分78億5600万円)、職員500人、他に委託員700人近くを擁する、大独占特殊法人が、豊かな国民生活に欠かせない音楽の分野で、横暴を欲しいままにするとすれば許されないことです。
 実際、「税務署もめったにしない強制的な営業調査をする」「質問には責任ある回答をしない」など、あるまじき行為の事例は数えきれないほどです。協会にこのような特権はありません。
 いまこそ文化庁と協会は、音楽文化を国民とともに発展させる立場に立ち、この間の実践から改善すべき点を自ら謙虚に見直し、著作権者や音楽利用者の信頼を回復する思い切った「改革」を断行すべきです。
 具体的には、業務運営指針・服務規定を定め、協会職員・委託員の資質向上のための教育と徹底をはかること、財政状況を広く国民が知ることができるようにすること、音楽利用者のさまざまな要求や意思、苦情が日常的に反映される機構を設けること、などの措置をとるべきです。

(五)法律上の不備を整備すること
 以上の事項を確実なものにするためにも、関係法の改正が必要です。
 民商・全商連は、少なくとも次のような点の改正を要求していきます。
1、「仲介業務法」に、許可基準と、許可を受けた団体の業務に関する国民の不服等を申立てる権利を明記すること。
 「著作物使用料規程」認可の慎重、公正な審査が確保されるようにすること。
2、「著作権法」について、新しい機器の開発等に見合う法律上の整備をどうはかるのか、現在の審議会の検討だけに限らず、著作物使用者等、ひろく国民の間での議論を保障していくこと。
 カラオケ機器リース業者の責任を明確にすること。
 審議会委員の構成、紛争あっせん規定について、著作物使用者の意志の反映が保障されるよう改善すること。

(六)ただちに討議と行動を
 事態は緊急に行動することを求めています。
 兵庫、新潟、千葉などでは、県連として対策会議もおこなって、ひろく関係業者によびかけることや、はがき運動、協会支部との交渉などが実施・検討されています。
 ただちに、次のような行動を始めましょう。
@それぞれの組織で、この通達を討議し、状況や要求を話し合うこと。
A全商連は、協会、文化庁に申入れ、交渉します。民商、県連等でも協会の支部と交渉しましょう。また、はがきその他の方法もふくめて、文化庁、国会議員(文教委員)への要請行動をつよめること。
B会外の業者、料飲団体にはたらきかけ、学習や懇談、共同行動の努力を追求すること。
C国会、文化庁、協会に対する請願・要求署名運動に取り組むこと。
 署名用紙は至急、全商連で版下を作成します。
 
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