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大型店問題での政府の新政策に対する見解
1998年3月
全国商工団体連合会
   政府は、全国各地で大きな問題になっている大型店問題について、(1)「大規模小売店舗立地法」の制定、(2)都市計画法の改正、による調整を行なうこととし、「大店法はその役割を終えた」として、「大店法を廃止」とする新しい政策を打ちだしました。
 また、商店街対策として「中心市街地活性化法」を制定します。

 私たちは昨年6月、「中小商業の振興と国民本位の流通をめざす私たちの提言」(全商連の流通ビジョン)を発表し、大手小売資本の出店を都道府県知事の許可制とすることや、日常の不公正・横暴な営業行為を規制するため、大店法の大幅な強化改正、消費者・住民と商業者の共同による商店街振興の方向と国・自治体の支援策を格段に強化することなどを提言しました。
 私たちは、今回の政府の新政策を見る最大の基準は、大型店の出店やその行為に対して、国民の立場からの規制を強化する方向に向かったのか、それとも、これまで以上の緩和に向かったのかにあると考えます。こうした立場から、大型店問題に関連する政府の新三法について、私たちの見解を明らかにします。

一、国民的要求ふみにじる大店法廃止
 政府はアメリカを先頭とした外国の圧力に屈し、「経済規制の原則撤廃」を基本にした規制緩和政策を推進してきました。そして、大店法の廃止、大型店の出店完全自由化をめざしてきたことは周知のことです。
 一方、中小業者や消費者・住民、商業関連労働者、さらに多くの地方自治体の共通のねがいは、「これ以上大型店はいらない」「これ以上の規制緩和は必要ない。むしろ、規制を強化すべきだ」などというものでした。
 今回政府が、この国民的要求をふみにじり、大店法の廃止を打ち出したことに対して私たちは厳しく抗議するものです。

二、都市計画法での規制に実効性は期待できない
 通産省などは、改正都市計画法で、市町村が「中小小売店舗地区」などと特別用途地域指定をすることで、大型店の出店を規制できるかのように宣伝しました。これは、ごまかしです。
 提出された都市計画法改正案は、特別用途地域指定ができるのは、全国土面積のわずか3.7%にすぎない「市街化区域」に限ってのことであり、それも「(現行の)用途目的の趣旨を変えない範囲で」という条件付きです。これでは、大型店規制への実効性はほとんど期待できません。
 改正案を提出した建設省が「大型店問題とは関係ない」と明言しており、改正理由でも「郊外型住宅建設の促進が目的」としています。
 審議会答申では、「大型店の立地の可否があらかじめよりきめ細かく決められるようにするため、都市計画の体系の中で、用途に係る規制を、地域の実情・特性に応じて、柔軟かつ機動的にできるよう」法改正等を行うことを提案していました。この答申の意図をくみ上げたものとはとうてい評価できません。

三、「円滑な大型店出店」のための大規模小売店舗立地法
 大規模小売店舗とは、どれだけの店舗面積の店舗を指すのか、その定義を法定せず、政令で定めることにしています。また、この法の運用権限は都道府県と指定都市にあるとしていますが、国が定めるガイドラインに沿って運用することを義務づけ、実効性のある権限が大きく制限されています。つまり、非常に重要な部分を、国会審議を必要としない扱いにして、行政当局の自由裁量にゆだねています。また、住民の意見をくみ上げる仕組みも、法律上はありません。住民が主人公・真の地方自治とは全く逆の、中央官庁主導型です。これでは、出店等をめぐる紛争調整の労だけが自治体におしつけられることになりかねません。
 さらに重大な問題は、調整事項を、交通渋滞・交通安全問題、駐車・駐輪問題、騒音問題、廃棄物問題などの都市環境に係る事項に限定し、店舗面積、休業日数、営業時間などの商業調整を対象外としていることです。
 法の目的で「小売業の健全な発達を図る」ことを明記した以上、都市環境問題以外はノータッチとするのは不当です。
 審議会がまとめたもう一つの答申、「中心市街地における商業の振興について」のなかで、「都市計画的手法による市街地整備と商業振興策が一体的・有機的連携をもってすすめられるべきである」としていることにも反するものです。
 総理府が行なった世論調査で、大型店の出店に対して何らかの規制をすべきだ、とする回答が60%以上に達していますが、規制が必要と考える問題点について、1位が、交通渋滞(28.6%)、2番目に多い声が商店街、中小商店への影響(14.2%)となっています。この国民の声から言っても、商業調整を全く無視することは不当です。
 従来通り、規制法ではなく調整法であり、調整期間も1年間であるなど、多くの中小企業団体や住民などが求めた規制強化の要求には背を向け、むしろ、規制を緩和し、大型店出店を円滑にすすめる法体系となっており、とうてい容認できません。

四、大型店出店誘導の中心市街地活性化法
 中心市街地の活性化を名目にして、中心市街地に出店する大型店に対する、金融・税制面からの助成法であることや、住民の意思を無視した市街地再開発事業、区画整理事業を一層促進させるなどの問題点を含んでいます。
 もちろん、市町村と住民の合意で大型店を誘致する場合も有り得ます。しかし、公的支援も受けて中心市街地に出店した大型店が、予定の収益が上がらないと一方的に撤退し、中心市街地を衰退させてきたのがこれまでの苦い歴史ではなかったでしょうか。身勝手な撤退への有効な規制がない仕組みは、またも被害を拡大させる危険大です。

五、引き続き中小業者・住民・自治体の共同をひろげて
 私たちは、政府の新しい法・制度が大きな問題をもつことを指摘した上で、同時に、大型店の出店を完全に自由化することはできなかったこと、制限付きであっても、自治体に調整権限を移したこと、まちづくり・都市環境からの視点をとりいれたことなど、この間の運動を反映したことにも重視する必要があると考えます。
 そして、すでに打ち出した私たちの提言の方向、すなわち、都市計画の視点も含めた規制強化の法制度実現、商店街、中小商店振興への国民的な共同の運動の発展と国・自治体の支援の格段の強化へ、引き続き奮闘するものです。
 
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