2018年09月02日 全商連第1回理事会決議

全国商工新聞 第3326号9月10日付

改憲・大増税阻止、危機打開と組織の成長発展を

 全国商工団体連合会(全商連)は9月1、2の両日、都内で第1回理事会を開き、
次の決議を採択しました。

一、はじめに

 第53回総会から約3カ月が経過しました。この間、改憲・大増税阻止の世論と運動を広げるとともに、西日本豪雨での被災救援や辺野古新基地阻止・知事選勝利をめざす「オール沖縄」への支援、福島原発被害の完全賠償を求める要請など、緊急・切実な要求の実現に力を合わせてきました。
 会期を延長された通常国会では、「森友」「加計」問題の真相解明に背を向けたまま、「働き方」改悪法やカジノ実施法、参議院定数6増をゴリ押しするなど、政権与党の横暴が最後まで際立ちました。
 しかし一方で、市民と立憲野党の共闘が困難を乗り越えて発展しました。「原発ゼロ法案」などの共同提案が広がるとともに、民商・全商連と日本共産党議員団の連携も生かして、強権的な徴収行政や損保大手の横暴を是正させるたたかいを展開してきました。
 この中で、安倍首相の野望であった会期中の改憲発議を許さなかったことは重要です。
 国会閉会後、全商連は中小企業庁長官に直談判し、被災者生活再建支援の思い切った拡充を提案するとともに、消費税の増税・複数税率・インボイス制度の実施中止や、小企業支援としての社会保険料の負担軽減などを要求しました。
 秋から春に向けて、総会方針を堅持し、国民の「平和的生存権」を拡充するとともに、平和産業の担い手である中小業者の役割を正当に評価する社会の実現をめざして奮闘します。
 全商連は、2021年8月3日に創立70周年を迎えます。この歴史的な節目を展望し、新たな決意で「仲間を増やして悪政に反撃」のたたかいを推進します。
 すべての民商が、情勢の大局と総会方針に確信を深め、変化に対応する相談活動を要とし、不断の活動改善を持続拡大の力として「成長・発展」目標を確立します。今後3年間で商工新聞読者30万人・会員20万人の回復・突破をやり遂げるために力を合わせます。

二、要求運動の重点

 1、地域を舞台に、経営危機を打開し、緊急・切実な要求を実現する運動を推進します。
 全商連は今回、被災者救援と暮らし・生業再建での政策提案の積み重ねを生かし、「西日本豪雨災害から地域復興をめざす緊急提言」をまとめました。助け合いの相談活動を強め、被災中小業者の苦悩を減らし、再建意欲を引き出す施策の拡充を迫ります。
 小企業・家族経営の役割に確信を深め、仕事と資金の獲得に知恵を集めます。地域での商工交流会運動を進め、意欲を高めて経営改善に生かします。住宅リフォームや商店リニューアル助成の創設・拡充と合わせ、自然エネルギーの活用と中小業者の役割発揮を進める「自然エネルギー条例」や「公契約条例」、地域特産の農作物を守る「種子条例」の制定を提案します。
 中小商工業研究所・第13回夏期研究集会の成果に学び、全自治体要請を推進します。年間の訪問計画を練り、政策提言と懇談を強めます。カジノ・IR建設に反対し、循環型地域経済を破壊する多国籍大企業の進出・支配を阻止する運動を展開します。核兵器禁止条約の批准を求める意見書採択も働きかけます。
 「営業の自由」を脅かす策動と果敢にたたかいます。社会保険の加入強要や風営法を悪用した過度な取り締まり、介護報酬の強引な差し押さえを許さず、業界団体との共同を発展させます。損保・軽運送・不動産・タクシーなどでの大手主導の業界再編に反対し、小企業・家族経営の生きる道をひらく業種別・問題別対策を強めます。
 金融機関との懇談を進め、業界や社会の中で起きている変化を機敏につかむ立場から「業界の課題と展望」を語り合う懇談会の開催に挑戦します。
 全中連主催の省庁交渉(9月21日)や決起大会(2019年2月6日、砂防会館)に署名と切実な要求を結集し、実益獲得の機会とします。
 2、消費税10%への増税、複数税率・インボイス制度の実施は中小業者の死活に関わる重大問題です。「税制で商売をつぶすな」の宣伝・署名・対話を強め、消費税に頼らない財源案を示し、消費税の大増税阻止に向けてたたかいます。
 複数税率やインボイスに関しては、日本税理士会連合会や日本商工会議所も反対を表明しています。税の専門家や中小企業団体がこぞって区分経理などによる事務負担の増大や免税事業者の経営圧迫を指摘している事実を、無所属を含む全会派の国会・地方議員に徹底して知らせていくことが大切です。また、地元の商店街・業界団体の対話に打って出て、「消費税につぶされない業種別対策」の学習・相談を広げていきます。
 憲法理念を徹底する立場から「納税者の権利宣言」(第5次案)を活用し、「税の在り方と使い道」を正す運動を高揚させます。倉敷民商弾圧・ねや禰屋裁判への全国支援を強めます。「小法人申告パンフ」「自主計算パンフ」で学び合い、自主記帳・自主計算・自主申告の活動を強化します。納税緩和制度の活用を強め、国保料(税)や地方税、社会保険料をめぐる強権的な徴収を是正させます。
 国保の都道府県化を機に、地域別診療報酬の導入計画など、医療改悪の策動と分断攻撃が強まっていることは重大です。介護でも要支援者を無理やり「卒業」させる行為が社会問題になる一方で、「老人福祉・介護事業」の倒産が小規模事業所を中心に過去最多のペースで進むなど、危機的事態になっています。地域から医療・介護を守る共同を強め、社会保障の拡充を迫ります。
 3、安倍政権による改憲発議を断じて許すことはできません。安倍政権を退陣に追い込み、その野望を粉砕します。憲法カフェなどで学び合い、対話・宣伝を強め、安倍9条改憲NO!3000万人署名の早期達成をめざします。
 短期決戦となった沖縄県知事選挙や沖縄統一地方選挙で繰り広げられる「オール沖縄」のたたかいを全国から支援します。辺野古新基地建設を断固阻止します。DVD「辺野古新基地阻止、基地に頼らない経済発展を」を生かします。
 国連での核兵器禁止条約の採択は、核戦争の危機を乗り越え、人類が生存できる社会を築こうとする市民の良識の広がりを示しました。原水爆禁止世界大会の成功を力に共同を強め、条約の批准をめざして「ヒバクシャ国際署名」への賛同を広げます。
 朝鮮半島の非核化に向けた国際社会の努力に背を向け、アメリカの「核の傘」にしがみつく日本政府の姿勢は言語道断です。唯一の戦争被爆国としての国際的な責務を自覚し、核兵器禁止条約を批准するよう迫ります。
 2019年の統一地方選挙、参議院選挙をはじめ、あらゆる政治戦を要求実現の機会としてたたかいます。業者運動と立憲野党の共闘によって、個人の尊厳を守るたたかいでの成果を広げていることに確信を深めます。総会で採択した「私たちの要求」から、循環型の地域経済振興やあるべき税の在り方と使い道、平和・民主主義の擁護・発展に確信を深め、政治と要求を結ぶ対話運動を展開します。切実な要求での議会請願に対する議員や政党・会派の態度を広く市民に知らせつつ、世論と運動で政治を動かします。

三、組織建設の重点

 1、この間、第53回総会方針を指針とし、「運動しつつ学び、学びつつ運動する」取り組みを強めてきました。改憲・大増税を阻止する宣伝・対話に打って出るとともに、助け合いの被災支援や仕事と資金の獲得、日常的な自主計算活動を展開し、要求運動と組織建設を一体的に推進してきました。
 総会方針学習を通じて、情勢の大局と運動の理念に確信を深め、共同の時代に道ひらく民商・全商連の建設に向けた探求が始まっています。全商連創立70周年をめざす「成長・発展目標」について県連で正面から討議したところで、仲間の身近な要求を解決できる班・支部の再建や、法人申告の会員の力を生かす学習・相談、運動の継承・発展を展望した若い世代との共同などを深め合っています。
 全国の奮闘で鮮明になっている取り組みの前進面は次の点です。相談者の苦難に心を寄せ、権利主張の根拠を明らかにする相談活動を強めて、困難解決の行動と大量宣伝に踏み出すことです。「毎月の拡大がゼロの民商をゼロに」を合言葉に、県連で足並みをそろえ、「減らさず増やす」毎月の持続拡大を推進することです。運動の継承・発展と併せ、小法人対策や業種別・問題別対策を抜本的に強めて、新たな前進への展望を見出すことです。機関会議の充実と併せて班・支部活動を強め、紹介したくなる民商づくりを進めることです。
 秋から春に向けて、会員同士の結びつきを強め、相談活動を運動と組織の要として発展させます。行動に足を踏み出すことで「運動の共同の推進者」である役員会と事務局の相互信頼を深めます。
 2、すべての民商が、読者・会員の年間増勢に挑戦します。全商連創立70周年の目標を総達成するため68周年(2019年8月3日)を節目として、読者25万人・会員18万人の突破に力を合わせます。
 潜在化する要求を掘り起こす対話運動を展開するとともに、多彩な宣伝で民商・県連・全商連の取り組みが相乗的な力を発揮できるよう工夫します。商工新聞の紙面を生かしてたたかいの焦点を知らせ、読者前面の拡大と毎月の会員拡大に取り組みます。
 運動の要であり、生命線である助け合いの相談活動を強めます。広範な中小業者の興味と関心を引く相談会・説明会・学習会を広く呼び掛け、個別相談に導いて仲間に迎え入れます。
 商工新聞の記事を紹介し合う機会を増やし、配達・集金の際にひと声かける取り組みや仲間の奮闘する姿を伝えるニュースづくりを推進します。「ようこそ民商へ」のパンフ・DVDを生かして新会員にも民商の多彩な魅力を伝えます。「班・支部活動の手引き」に学んで、班長や支部役員の自覚を高めます。
 冊子「財政活動の一層の前進のために」に基づき、運動体にふさわしい財政活動の在り方を深め、事務局活動の改善を図ります。総会方針学習の「特別期間」と「制度学習大綱」の意義を広く伝え、豊かな学習機会を提供することで、運動の担い手を増やします。
 経済センサスや「基本調査」の結果を分析し、「地域にどんな民商をつくるのか」を機関会議で深く討議します。会員の実態と要求を結集して機関会議の討議を充実させるとともに、会員が運動の主人公となれるよう、足腰の強い班・支部活動を推進します。
 秋の運動は、9月1日を起点に12月3日まで月曜日を基本として「週報」で集約します。
 3、民商・全商連が、市民と野党の共闘に貢献し、共同の時代に応えていくためにも、助け合い共済や婦人部、青年部の諸活動との相乗的な力の発揮が強く求められています。
 共済会は、命と健康を守る活動を通じて、班・支部での仲間の結びつきを強め、民商と婦人部の「かけ橋」ともなっています。医療・介護で国民の受療権さえ脅かされる事態です。社会保障の劣悪な実態を告発し改善をめざす会内外の共同行動の発展に力を合わせます。
 婦人部は、業者婦人の尊厳を守る多彩な要求実現に奮闘するとともに、暮らしと営業の見直し運動を通じて、小企業・家族経営の振興にも力を発揮しています。全婦協第32回総会(10月13~14日)を結節点とする取り組みを支援して、婦人部の継承・発展につなげ、民商・全商連の質と量を高めます。
 青年部は、独立自営の道を選んだ若い世代の前向きな姿勢に正面から応えることで、3年連続の全国増勢を実現してきました。「民商サクセション(継承)」企画などで、運動の継承・発展をめざす民商と青年部の共同が広がっています。第15回業者青年交流会(9月23~24日)で新たな出会いや交流を広げられるよう、参加を保障する取り組みを強めます。
 共済会・婦人部・青年部の諸活動が、民商・県連・全商連という連合会組織の優位性と結びつくことで「中小業者運動のナショナルセンター」である民商・全商連の総合力は高まります。
 国民・中小業者の「平和的生存権」を拡充する運動の担い手を大きく増やし、「仲間を増やして悪政に反撃」のたたかいを推進します。

四、会館建設募金の推進と財政活動の改善・強化

 1、第53回総会は、全商連会館本館の建て替えと別館の補修を確認しました。必要な資金は、特別財政の「会館建設積立金」や募金で賄います。全国の目標である2億円を2021年1月末までに集め切ります。すべての組織が目標にみあう募金額を自覚的に決め、第3回常任理事会(11月25日)までに結集します。「募金のお願い」リーフも活用し会館建設の意義を広く知らせます。会員、読者はもとより協力・共同の関係にある団体・個人に訴えます。
 2、「基本調査」結果は、会費、商工新聞紙代、共済会費の未収が克服されず、組織集金率も低下傾向を脱していないことを示しています。未収を生まない組織づくりは焦眉の課題です。
 未収者名簿を作成し、役員と事務局が団結して財政活動の改善に取り組みます。「財政活動の5点改善」に学び、運動体にふさわしい財政活動を前進させます。
(以下略)

翁長さんの遺志を継ぐ、玉城デニー知事実現!
辺野古新基地建設阻止!
「オール沖縄」の勝利へ全国支援を

全商連第1回理事会 特別決議

 翁長雄志知事の死去に伴い沖縄県知事選挙が、9月13日告示、30日投票へと早まりました。超短期決戦です。同時に、那覇市長選挙など重要な首長選挙を含む沖縄統一地方選挙も始まっています。
 2014年11月、オスプレイの配備撤回、米軍普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設断念を求めた「建白書」の実現をめざす「オール沖縄」のたたかいによって翁長県政が実現しました。その後、3回行われた国政選挙でも辺野古新基地建設反対の共同候補が圧勝してきました。
 辺野古・大浦湾の海底に超軟弱地盤や活断層の存在が明らかとなり、飛行ルートの高さ制限問題も浮上しました。沖縄県は、翁長知事の指示に基づき埋め立て承認を撤回しました。
 工事を継続するためには、大規模な地盤改良工事が不可欠であり、知事が設計変更を承認しない限り、基地を造ることはできません。
 ところが、政府・与党は、埋め立てに抗議する県民を弾圧し、護岸工事を強行しながら、本格的な土砂投入のタイミングを見計らっています。その時期が「県知事選挙後」であることは明白です。今度の選挙で、意のままに動く知事を送り込み、これまで示されてきた県民と県の意思を覆そうとしているのです。
 自民、公明、維新が推す相手候補者は、安倍晋三首相も籍を置く改憲極右集団「日本会議」の正規会員です。翁長県政を「国との関係において争いが絶えず、ひずみや分断が生まれた」と攻撃するなど、政府の考えに同調する姿勢を鮮明にしています。
 7万人が参加した8月11日の県民大会では、6月の沖縄全戦没者追悼式に臨んだ翁長知事の肉声が流されました。「辺野古新基地建設については、沖縄の基地負担軽減に逆行しているばかりではなく、アジアの緊張緩和の流れにも逆行していると言わざるを得ず、全く容認できるものではありません。『辺野古に新基地を造らせない』という私の決意は県民とともにあり、これからもみじんも揺らぐことはありません」―魂を込めた言葉に多くの県民が賛同と感謝の拍手を送りました。
 県民の間に分断を持ち込み、民意に反する辺野古新基地の建設は断じて許せません。翁長知事の遺志を引き継ぎ、この選挙戦に勝利することは、民意に基づく政治を確立し、「基地なき経済発展」を実現することと深く結びついています。
 この重大な意義をもつ沖縄県知事選挙と、統一地方選挙で「オール沖縄」候補への支援を心から呼び掛けます。各地から、カンパと支持を広げ、現地に駆け付け、選挙戦勝利をめざす沖縄県連・民商のたたかいを支援しましょう。
 右、決議する。

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