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  トップページ > 国保・年金のページ > 国民健康保険 > 全国商工新聞 第3184号9月14日付
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国保 国民年金
 

<社会保険 加入指導強まる>
負担重く経営を圧迫 「応能負担」へ転換を

 厚生労働省と日本年金機構は、今年度から国税庁の企業情報で明らかになった社会保険未加入事業者への加入指導を強力に進めています。応じなければ立ち入り検査を実施し、強制的に加入させる方針で、国土交通省も運送業者や建築業者への加入指導を強化しています。神奈川・川崎中原民主商工会(民商)の会員から「中小企業の負担を軽減してほしい」などの声が上がっています。

[運送] 未加入者に行政処分が
 「運送業は車両代やガソリン代、人件費を含めて固定費が大きくて利幅が薄い。保険料を納めきれるのか」。長男とともに運送会社を経営するKさんは不安を口にします。4月から長男と従業員6人が社会保険に加入し、17万円を超える保険料を負担しています。
 16年前、夫が病気で他界。Kさんが事業を引き継ぎ、法人化したものの売り上げが思うように伸びず、何度も廃業を考えました。「そんな中で社会保険に加入する余裕はなかった」と言います。
 2年前、陸運支局による巡回指導で社会保険への加入を指導されました。同業者から「未加入事業者は車両が止められる」と聞き、「何とかしなければ」と思っていました。
 しかし、Kさんの意に反して行政処分(車両停止)が強行され、昨年末から1月にかけて20日間車両運行が停止させられました。
 トラック運送業では未加入者への行政処分が強化され、新規事業者は社会保険の加入が事業許可の条件となり、既存の事業者が未加入の場合は車両停止などの処分が下されていました。
 「運行停止は1台だけで、仕事が入っていなかったから何とかなったけど、仕事が入っていたら回せなかった。息子や従業員にとって社会保険に加入した方がいいと思う。だけど、負担が重い」と訴えています。

[建設] 適正単価は保障されず
 長男と一緒に会社を経営しているNさん=ガス工事=も4月から段階的に10人の従業員を厚生年金に加入させました。14年前に夫が病気で亡くなってから長男が事業を継承。「従業員のためには社会保険は必要。でも、毎月40万円もの事業主負担は大変」とNさんは頭を抱えています。
 Nさんの会社は以前、厚生年金に加入していましたが、負担が重すぎて期日どおりに納めることができず、夫が亡くなった時に社会保険をやめることを社会保険事務所(当時)に申し出ました。
 その後、長男は下請け仲間と一緒に親会社に「厚生年金に加入したいので単価を引き上げてほしい」と要望しましたが、なしのつぶてでした。
 国土交通省は下請け業者が社会保険に加入するためには法定福利費(社会保険の事業主負担分)の確保が必要との立場から、公共工事の設計労務単価の引き上げを2013年3月に実施。業界ではそれを踏まえて適正価格での契約や、親企業に対し法定福利費を別枠で見積書に明記することなどを要望。Nさんの親会社も0・6%だけ単価を引き上げました。
 会社は来年5月には建設業許可の更新を迎えます。Nさんは長男と相談して更新前に加入することにしました。
 「若い職人の立場に立てば社会保険は必要」と話すのはDさん=内装。14年ほど前に法人化した時に夫と長男が厚生年金に加入しました。しかし、夫が病気で1年ほど休業しており経営は楽ではありません。「夫の給料を下げてなんとか資金を回している。大もうけしている大企業と比べても、厳しい経営を余儀なくされている小企業の社長の社会保険料率が高いのはおかしい。社会保険料も応能負担の原則を貫いてほしい」と要求しています。

徴税強化の動きも 行政庁が情報共有

 厚生労働省は国税庁から情報提供された源泉徴収義務者は給与支給者を雇用している事業者であり、厚生年金を適用すべき可能性が高いと見ています。源泉徴収義務者と厚生年金適用事業者との差が40万社あるとして、今年度から3年かけて加入指導を強化する方針です(このほかに日本年金機構は適用調査対象事業者が約35万社あることを把握)。
 さらに10月から年金機構が社会保険料の徴収を国税庁に委託できる条件を緩和して差し押さえなどを強めようとしています。こうした行政間の情報共有はマイナンバー制度の実施で強まることは必至。法人にも番号が通知され、厚生労働省は法人番号を活用して社会保険適用もれの事業所を把握し、加入指導を強める方向です。
 一方、国土交通省は従業員が5人以上いる建設業許可業者(法人・個人とも)の社会保険加入を強制的にすすめ、2017年度以降は未加入業者を現場から排除しようとしています。その一環として来年1月以降に建設業許可の更新を迎える12万社のうち者未加入業者に対して前倒しで指導を実施。未加入者を洗い出して今秋に加入を指導する通知が送付される予定です。

全国商工新聞(2015年9月14日付)
 

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