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  トップページ > 国保・年金のページ > 国民健康保険 > 全国商工新聞 第3083号8月19日付
 
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国保料(税) 減免に民商が奮闘

 「昨年と比べてなぜこんなに上がるのか」「高くてとても払えない」など高過ぎる国民健康保険(国保)料(税)に各地で悲痛な声が上がっています。しかし所得の低い世帯や収入が大きく減少した世帯には国保料(税)減免制度があります。各地の民主商工会(民商)は、国保の減免制度を活用し、払える国保料(税)にするための運動を進めています。制度を知り積極的に活用しましょう。

国保料 年25万円減 減免申請で実現=京都
 京都・上京民商は7月23日、上京区役所で国保の減免申請を行いました。6月中旬に発送された2013年度国保料通知を受けて、民商では班や支部などで国保減免の準備相談会を開催してきました。
 子育て中のTさん=飲食=は、月の支払いが3万8500円余りの国保料通知に「なんとかならないか」と相談に訪れました。田中さんは、営業状態を数字で示して減免申請し、年35万円の国保料を11万円に減免させました。
 「営業が思わしくない」と以前退会していた小売業者も、月3万5000円の国保料通知に驚き民商に相談。年38万5500円から13万8900円に減免となりました。
 減免申請提出の後、国保行政の改善を求め、懇談会を行いました。
市の国保財政が5年連続で黒字であることを指摘し、国保料の引き下げを要望しました。
 国保課では「国保料負担は限界に達している」と高過ぎる国保料であるとの認識を示しましたが、国保料の引き下げについては回答しませんでした。国保行政については「国保法や憲法の規定に基づき運営している」と国保が市民の命を守る社会保障制度であることを明言。「窓口では市民の実情をよく聞いて相談に乗るよう心がけている」と国保課として市民の実情を踏まえた対応を約束しました。

国保料引き下げ求め 署名運動へ=北海道

 北海道・北見民商も参加する「北見市の国保をよくする会」の結成総会が7月23日に開催され、52人が参加しました。国保の現状を多くの市民と共有し、よりよい国保の在り方を一緒に考え、つくっていこうと結成されたものです。
 総会では国保に関する学習・相談・署名の三つの運動を提起。9月の定例市議会に「国保料1世帯当たり1万円の引き下げ」を求める請願署名を提出するため、1万人を目標に署名を集めることが提案されました。参加者は役員体制や規約などを含め、すべての提案を承認し、運動を広げる決意を固め合いました。
 市の国保料は、道内10万人以上の都市の中で最も高く、会内外から「保険料が高く払いきれない」という声が多く寄せられています。滞納世帯も多く、差し押さえや保険証取り上げなどの事態も広がっています。
参加者からは「市の国保行政の実態を知ることができた」などの声がだされました。
 「よくする会」は8月18日に「国保110番なんでも相談会」の開催を予定し、広く市民に知らせようと呼びかけています。

国保料滞納 申し入れで差押解除、分納へ=長崎

 長崎・佐世保民商は7月2日、佐世保市保健福祉部保険料課と国保について懇談しました。3年連続の開催となり、懇談を通じて中小業者の実態を訴えてきたことが、行政に変化を生んでいます。
 国保税滞納で生命保険を差し押さえられたAさん=飲食=は、本税滞納30万円に加え延滞金が75万円になっていました。一部支払いについてめどが立ったため、ことし5月に保険料課に出向き40万円を納付。「延滞金は月々1万円支払うので減額を」と訴えました。
 職員は「すでに差し押さえ手続きをしているので難しい」と回答。同行した事務局員が「この間の懇談で『滞納者の支払えない状況を聞いて、厳しい徴収は慎むこと』を要望し、『適切に対応したい』との回答を得ている」と訴えました。
 職員は上司と相談した後、「延滞金の支払い状況を踏まえ、1年後または2年後に運営協議会に諮り、延滞金の減額を検討したい」とAさんの要望を認めました。
 昨年の懇談ではBさん=飲食=が、「1年分の滞納で保険の割戻金を差し押さえられた。『月5000円を分納したい』といっても聞き入れない。まるでサラ金の取り立て」と実情を語り分納を要望しました。同課へは、希望した通り、毎月5000円ずつの分納を認めさせました。
 民商はこの間、(1)滞納者に対する対応の是正(2)滞納者に正規保険証の発行を(3)国に対して「国庫補助金増額」の意見書を(4)国保税引き下げ-の4点を要望してきました。
 今年の回答では国庫補助金増額について「国に対して…県を通して毎年強く要望している」ことを明らかにしました。

解説 国保負担軽減につかえる制度
高すぎて払えない 減免・徴収猶予を申請
 高すぎて払えない国保料(税)は、支払う金額を引き下げる減免や、徴収猶予を申請し、負担を軽くすることができます。国民健康保険法(国保法)第77条は「保険者は…保険料を減免し、又はその徴収を猶予することができる」としています。

家族数別国保の法定減額基準表

【国保料(税)減免】
 減免には2種類があります。
(1)法定(政令)軽減
 所得に応じて「平等割」「均等割」を合計した部分(「応益割」)を減額します(図表1)。この減免は原則として申請不要ですが、所得税の申告が必要です。
(2)条例(申請)減免
 自治体が条例によって定めた減免制度です。基準は自治体によって違います。「世帯主または家族が病気や事故にあった場合に応能割部分(所得割と資産割を合計した部分)を70%減額」(大阪・四条畷市)、「売り上げ減少がなくても前年所得が市の最低生活基準の120%以下であれば60%減額」(神奈川・厚木市)などの基準が設けられています。
【徴収猶予】
 国保料(税)が払いきれず滞納となった場合、自治体窓口で相談の結果、分納にすることがあります。しかしこの場合は延滞金を別途支払うことになります。延滞金は年利14・6%とサラ金以上の高利となり、さらに支払い額がかさんでしまう事例もあります。
 この場合、徴収猶予の申請ができます。自治体ごとに猶予できる基準や期間に違いがありますが、猶予が認められれば延滞金(料)が2分の1に減免、もしくは全額免除される場合があります。

決定に納得いかない 不服審査を請求
 国保料(税)が払えない世帯は全国で約414万世帯。加入世帯のおよそ20%でおよそ5世帯に1世帯が滞納世帯です。正規の保険証が交付されない資格書交付世帯も1・4%、滞納による差し押さえ処分を受けたのは21万2000世帯に上ります(11年度・厚労省調べ)。まさに「国民皆保険」崩壊の異常事態です。
 こうした状況の下で「払いきれないほど高い保険料は、そもそも認められない」という声を行政に突き付けるのが不服審査請求です。
 国保法第91条は「保険給付や保険料に関する処分(※保険料決定など)…に不服がある者は、国民健康保険審査会に審査請求をすることができる」と定めています。
 国保審査会は都道府県庁内に設置されています。不服審査は処分があったことを知った日(保険料通知の内容を知った日)の翌日から60日以内に文書か口頭ですることができます。文書は決められた申請書ではなくとも必要事項が記載されていればよいとされています。
 現在、国保料(税)にとどまらず年金支給額や生活保護費の引き下げに対して、日本年金者組合や生活と健康を守る会を先頭に、不服審査請求運動が進められています。年金者組合は11万人いる構成員全員が請求人になることを提起しています。一部自治体職員から「国保で不服審査請求はできない」「申請書などない」などと言われることがありますが、それは誤りです。法に定められた権利として積極的に活用することが求められています。

全国商工新聞(2013年8月19日付)
 
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