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  トップページ > 国保・年金のページ > 国民健康保険 > 全国商工新聞 第3037号 9月 3日付
 
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高すぎる! 払いきれない国保料 減免・引き下げ実現

 「国民健康保険(国保)料が高過ぎて払えない」―。今年度の国保料(税)決定通知書が送付され、そんな声が各地で上がっています。全国の民主商工会(民商)は、国保料(税)の引き下げとともに減額・免除申請を積極的に進めています。神奈川・厚木民商では毎年、集団減免申請を行い、減免基準を拡充させながら減免を実現。「助かった」という声が多くの会員から寄せられています。


共に行動“心強い”

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 大塚忠一郎さん=クリーニング=も集団申請を行いました。5人世帯、年間34万4500円の保険料が22万6700円に減額された大塚さんは「月1万円近い減額だから助かるね。集団申請はみんなで申請するから心強い。市役所の担当者も一人ひとり丁寧に対応してくれる」と話します。


厳しい中助かった

 厚木市内で仕出し弁当店を経営するMさんは6月、夫婦2人で年間13万1100円の国保料の通知(今年度分)を受け取りました。事業所得は約67万円で国保料はその約2割を占めます。「大口の得意先だった町工場が次々に廃業している影響で所得が落ち込んでいる。今は週3日は休んでいる状況」と厳しい現状を話します。
 6月29日に民商が取り組んだ集団減免申請で「生活困窮のため、公の扶助…を受け、又は受けるに相当する場合」(減免要綱第2条第2号)に該当するとして約4万8000円の減額を実現。Mさんは「厳しい中だから、本当に『助かる』の一言」と笑顔を見せます。


再交渉し大幅減額

 夫と2人で配管業を営むYさん(仮名)も、集団減免申請で大幅な減額をかちとっています。1度目の減免通知に納得せず、再度の申請で年間の国保料が29万円から一気に約7万円まで下がりました。
 市国保課の計算書(月当平均生活収支状況調書・3面に掲載)を開示させて自分の計算書と比較し「月3万円のカードローンは、医療費の支払いや日々の生活費などに使うもの。なぜ過少に計算するのか」と交渉し減免を認めさせました。
 「民商の減免申請では、事前に自分で収入と支出・経費を計算して申請するから、『なぜこの支出が認められないのか』ということがすぐに指摘できる。自主計算が大きな力になっている」と喜んでいます。


自主計算が力 制度の改善も

 厚木市の減免基準の概要は左表の通りです。申請に基づく個別審査では、税金、医療費のほか、家賃または住宅ローン返済分や居住用住宅の修繕費を所得から控除できます。また、売り上げが減少していなくても市の最低生活基準の120%以下であれば「生活困窮」が適用されるなど「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障する減免基準となっています。
 制度改善の力になったのは厚木民商が独自に作成した計算書です。12年前の集団減免申請が始まった当初、市役所の担当者に業者の実情を分かってもらうことに苦労しました。そこで税金や年金、介護保険、医療費など直近3カ月の支出と経費を計算書に記入し、「収入から支出と経費を差し引いた残りで生活している」ことを繰り返し訴えました。市職員も「これでは確かに生活できませんね」と業者の実態を理解するようになり、そのことが制度改善につながりました。現在では、民商が作成した計算書が、ほぼそのまま市の減免申請の添付用紙になっています。
 大倉茂利会長は「10数年間、繰り返し、粘り強く市との交渉に取り組み、自主計算を力にした集団申請を進めてきた成果」と強調します。


民商 署名集め、政策提案
負担軽減へ自治体動かす


 国保料(税)の引き上げが強まる中で、各地の民商は自治体に働きかけて引き下げを実現しています。

福岡市
 福岡市では08年度、09年度に続いて11年度も国保料を引き下げました。年間総所得が200万円の3人家族(40歳代の夫婦、未成年の子ども1人)の場合、年間約1万1000円が軽減され、3回の引き下げで、4万円以上もの引き下げが実現しました。必要な財源は市が一般会計から繰り入れたものです。
 市政を動かしたのは福岡市内の5民商が加盟する「国保をよくする福岡市の会」が集めた市内の人口の2割に当たる29万人分の署名です。今年度、市は国保料を引き上げようとしましたが、国保運営協議会がその案を否決し、ストップさせました。署名とともに「よくする会」が同協議会の委員に働きかけたことが力になりました。

旭川市
 北海道旭川市は今年度1世帯当たり平均1万円以上の国保料を引き下げました。国保基金から繰り入れたもので、昨年度の1世帯当たり2万円に続き、2年連続して引き下げました。
 旭川民商は、道内で旭川市の国保料が一番高い一方、国保特別会計が黒字になっていることを明らかにして引き下げを求めてきました。

解説 国保料の減免制度

 国民健康保険料(税)がなぜ引き上がっているのか、その解説と払えないときに活用できる減額免除(減免)制度を紹介します。申請の手続きなどは最寄りの民商に相談してください。

生活実態示して自治体と交流を

 「国保料(税)が高過ぎて払えない」という場合には、減額・免除制度を積極的に活用することが大切です。国が基準を定めて適用する「法定減額」(表)と、各自治体が条例に基づいて減免する「申請減免」の2種類があります。
 申請減免制度は各地の民商も加入する社会保障推進協議会(社保協)や「国保をよくする会」の運動によってかちとられてきたものです。商工新聞を活用し、各地の進んだ減免制度の内容を知らせ、粘り強く自治体に迫ることが大切です。


国が予算削減し国保引き上げ

 国保は憲法25条に基づいて制定された国民皆保険制度で、「国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるようにつとめなければならない」(国保法第4条)と定め、国の責任を明確にしています。


所得の2割超え

 ところが、政府はこの間一貫して国保会計に占める国庫支出金の割合を減らし続けてきました。1984年に50%だった国庫負担は、2010年には25・6%まで削減しています。それが市町村の国保財政を圧迫させ、その分が国保料(税)に跳ね返り、所得の20%を超えるという状況が生まれています。

住民に押し付け

 さらに、2013年からはすべての市町村国保が「旧ただし書き方式」に統一され、いっそうの保険料(税)の引き上げが見込まれます。「旧ただし書き」方式による所得計算では、総所得から基礎控除額(33万円)を控除するだけとなり、低所得、家族が多い、障害者、病人がいるなどの世帯で、今まで所得から差し引かれていた控除が適用されなくなります。
 また、各地で国保料(税)の徴収強化と差し押さえが強まっていることは重大です。少しでも滞納があれば、銀行などの預貯金や生命保険などを徹底して調べ、それを機械的に差し押さえ、事業や生活を追い込む事例が全国で起きています。生活と健康を守るために不当な差し押さえをやめさせ、減免制度を活用しながら払える国保料(税)にすることが必要です。
 地方税法では、国保料(税)も自治体の首長の責任で納税緩和措置(納税の猶予や換価の猶予など)を行うように定めています。納税緩和を適用させることも大切です。


厚木市の生活収支状況調書

 神奈川・厚木民主商工会が12年連続で行っている集団減免申請で活用している計算書「月当平均生活収支状況調書」は別表の通りです。直近3カ月の収支状況を記入し、国保料が高くて、払いたくても払えない実態を示しています。

全国商工新聞(2012年9月 3日付)
 
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