国保税減額と医療費減免 滞納処分も停止=神奈川・相模原
「心の底からほっとしています。民商に入っていて本当に良かった」―。神奈川・相模原民主商工会(民商)のUさん=建材=は先ごろ、相模原市や国保課と交渉し、今年度の国民健康保険(国保)税が減額され、医療費の窓口一部負担金も免除されました。また、国保税と市民税の滞納処分の執行停止も実現しています。
Uさんは今年に入ってがんを発症し、数カ月間の入院と通院を繰り返しました。仕事ができないため収入はほとんどなく、収入は国民年金で、70万円を超える医療費が払いきれませんでした。
「税金と医療費の負担が本当に重く、どうしていいかわからなかった」と妻は話します。
民商に相談し6月、初めて国保税の減免申請をしました。国保課との交渉にも参加し、勇気を出して「窓口で医療費を払うのも大変。助けてほしい」と涙ながらに訴えました。
話し合いの中で、市側から「医療費の窓口一部負担金の免除(国保法第44条)ができる可能性がある」と言われ、後日、適用されることに。
また国保税についても、法定軽減5割に加えて年額1万4800円が減額されることになりました。
後日、妻は民商の事務局員とともにあらためて市役所を訪れ、市民税と国保税の滞納の執行停止(地方税法第15条の7)を求めました。実情を訴え、収支状況がわかる書類などを提出。市側は「生活、収入をみても払える状況ではない」と認定。またこの間、誠実に分納してきたことも考慮し、滞納処分の執行停止を認めました。
闘病を続けているUさんは「早く元気になって、商売を再開したい」と話しています。
▼医療費の窓口一部負担金減免制度
国保法第44条は、「世帯主が特別の事情があって医療費の窓口一部負担金を支払うことが困難な場合、一部負担金の減額・免除を受けることができる」(要旨)としています。また厚労省は、一部負担金の減免制度を持たない自治体に制度創設を促す通知や最低基準を出しています。
▼滞納処分の執行停止
納税緩和措置の1つで、納税義務をなくすことができるものです。国税のほか、地方税や国保料(税)についても地方自治体の首長の責任によって「納税緩和措置」を行うよう、地方税法で定めています。国税徴収法153条の(1)や地方税法15条の(5)などでは「滞納処分を執行できる財産がないとき」、「滞納処分をすることによってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき」、「その所在及び滞納処分を執行できる財産がともに不明であるとき」に、「(税務署長・自治体の長は)滞納者につき次の各号に該当する事実があると認めるときには、滞納処分の執行を停止することができる」としています。
全国商工新聞(2011年11月21日付)
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