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  トップページ > 国保・年金のページ > 国保 > 全国商工新聞 第2837号 7月7日付
 
国保 国保
 

国保料引き下げ 福岡市で実現
加入世帯の半分以上が
民商も参加する国保をよくする会
14万人余の署名が力に

 「本当に国保料を引き下げさせた」「署名の力は大きいんですね」‐‐。20年以上にわたって毎年値上げされ、全国最高レベルになった福岡市の国民健康保険料(国保料)。福岡市内の東福岡、博多、福岡、南福岡、西福岡の五つの民主商工会(民商)などでつくる「国保をよくする福岡市の会(よくする会)」は、人口の1割を超える市政史上最高の14万6000人の署名を集め、6月議会で値上げをストップさせたうえ、加入世帯数の約半数で大幅な引き下げを実現しました。
 
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国保料引き下げ求め、福岡市役所前で座り込み(08年2月)
 6月16日の福岡市議会本会議。国保料の説明に立った同市の保健福祉局長が「所得割料率を0・52%引き下げる」と表明しました。上がり続けた国保料の値下げが、市政史上初めて決まった瞬間でした。福岡市内の民商会員はじめ100人で埋まった傍聴席は「歴史的な成果」「署名を集めてよかった」と驚きと喜びの声であふれました。

1万400円下げ
 この結果、国保加入世帯の約半数にあたる11万2000世帯が引き下げとなり、10万世帯で据え置きに(別項)。年額47万円の国保料を負担していた年所得200万円の3人世帯の場合、1万400円の引き下げとなります。
 300人の署名を集めた西福岡民商の中村芳信さん(64)=タイプ印刷=は「年間51万円の国保料が1万4000円ほど下がりました。分納で払っている私たちにはなによりの朗報。頑張ってよかった」と喜びを表わしました。

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払えない国保料

 冷たく高いのが当たり前だった福岡市の国保行政。保険証を取り上げる資格証明書を全国に先駆けて発行。年所得200万円の3人世帯では、介護保険料と国保料を合わせると47万円で、実に所得の23%を占め「払いたくても払えない」状態をつくり出してきたのです。
 03年度以降、国保料の滞納世帯数は5万世帯を突破(別表1)。資格証明書の交付数も05年度に1万8000件を記録、全世帯数に対する交付件数率は15の政令市のなかで群を抜いています(別表2)。
 資格証明書を交付された家庭からは「修学旅行に必要な保険証のコピーを子どもに渡せない。何とかしてほしい」と叫び声が上り、福岡市内の5民商が3年前に行った実態調査でも、「高すぎる国保料の引き下げ」を要望した人が8割に上りました。

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14万6000人分の署名を提出する「国保をよくする福岡市の会」のメンバー
よくする会結成
 こうした願いに応えようと昨年6月、福岡市内の5民商と新婦人、年金者組合、建設労働組合、社保協や日本共産党など広範な団体が「よくする会」を結成。国保料引き下げを求め、幅広い団体が集まったのは初めてのことでした。
 「市政を変えるような運動にしよう」と「よくする会」が取り組んだのは国保財政の分析でした。
 「福岡市の国保料はどれだけ高いのか」「なぜ全国一高いのか」「引き下げる財源はどこにあるのか」…。こうした政策課題を学習し、市民に「見える形で、分かりやすく」宣伝・行動しました。
 市内七つの区で区長交渉、全市議63人を自宅訪問しての要請行動をはじめ、商店街、老人会、医師会などさまざまな団体に申し入れてきました。
 街頭署名でも、学習会で学んだことを力に市民と対話。話も弾み、署名の列があちこちで生まれ、11月までのわずか3カ月で人口の1割を超える14万5899人分の署名が集まりました。
 「よくする会」メンバーも驚いたのは国保事業の運営について市長に諮問する「国保運営協議会」の全構成員との対話でした。同協議会は国保料引き上げを追認してきたからです。
 「市から資料が出されるのは諮問の当日で、よく分からなかった。話を聞いて福岡市の国保料が高いことが分かった」「高い国保料も大型開発を見直せば何とかなる。それに一般会計からの繰り入れをもっと増やすべきだ」と、協議会メンバーから国保料の引き下げを求める意見が相次ぎました。同協議会は、2月の答申で「市は…保険料の負担軽減に努めるよう要望する」と明記。これも福岡市政始まって以来のことでした。

まだまだ高い
 国保料の引き下げを実現した福岡市民の運動。しかしまだ保険料の高さは全国トップクラスです。
 3年前の福岡西方沖地震で被害を受けた西福岡民商の西園由美子さん(63)=旅館=は言います。「今回の引き下げの決定は本当にうれしい。でも引き下げられたのは半数。均等割り、世帯割も引き下げさせ、みんなの国保料が下がるまで頑張りたい」
 
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〈別項〉
  引き下げ対象者 所得割のある人(年所得33万円以上)で保険料賦課限度額59万円に達しない場合。約11万2000世帯
  据え置き対象者 所得割がない年所得33万円未満の低所得者。約10万世帯
   
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