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トップページ > 金融のページ > 商工ローン > 全国商工新聞 第2946号 10月11日付

 
金融 融資等
 

武富士 更生法申請 被害者救済を最優先に

クレ・サラ対協代表幹事・弁護士・木村達也

 消費者金融大手・武富士がついに力尽き、会社更生法の申請を行った。すでに関係者の間では、この日の来ることは予想されていたので驚きは少ない。
 創業者一族は退陣するものの、現経営陣が残って経営再建に当たる。会社更生手続きが始まれば、スポンサーを探して経営再建に取り組むというが、武富士の総資産6869億円に対し、有利子負債が2200億円、顧客からの返還請求11万件、1700億円など、帳簿上の債務は4000億円超である。200万人規模の顧客・元顧客からの不当利得返還請求債権が発生する可能性があり、これが合計1兆円を超える見通しという。
 消費者金融業界は06年1月の最高裁判決、06年12月の改正貸金業法成立、08年秋のリーマンショックの三重苦の中で、瀬戸際に立たされており、もはや新たなスポンサーの発掘は期待薄で、このまま会社更生手続きが開始されることは、極めて困難と見られる。

違法行為を重ねついに力尽きる
 武富士は消費者金融業界のトップ企業として君臨してきたが、世論の厳しい批判を無視して、高金利、過剰与信、違法取り立てに走り、さらには創業者が盗聴事件で逮捕されるなどで、急速な顧客離れが進み、ピーク時は300万人近い利用者がいたが、現在は97万人に減少。顧客から年間1000億円に達する不当利得返還請求を受け、ついに力尽きたというべきである。いわば武富士自らが招いた応報責任である。
 今後、武富士の会社更生手続きか破産手続きが進むが、いずれにしても顧客・元顧客は数カ月の間に債権届け出が必要であり、これには利息制限法に基づく過払利息充当計算の知識が必要となる。この場合、まず会社側が顧客毎の利息制限法に基づく組み入れ計算をして顧客に通知し、過払いがあれば、その債権額を債権として届け出するように通知すべきである。

官民挙げて協力体制を
 200万人と推定される借り主の債権届がスムーズに行われるためには、金融庁、地方自治体、法律実務家など官民挙げての協力体制が不可欠である。また、この配当手続きは消費者保護を最優先に行われるよう関係者に強く求めたい。
 創業者一族、並びに金融機関は、武富士の違法不当な営業行為による暴利稼ぎに手を貸してきたものとして、強く反省し、この配当手続きにおいては被害者救済・消費者保護を最優先とする手続きに協力すべきである。
 ついでながら武富士など大手消費者金融のCMを大量に流して、安易な借り入れを助長したマスコミの責任も、今、問われるべきであると思う。
 また、現に債務を有する借り主は従前通りの分割返済を行えばよいので、慌てることなく相談窓口(注)に相談し、多重債務からの脱出の機会とすべきである。そして何よりも大切なことは、政府や自治体は、消費者金融に代わる安全安心な、低利融資制度を早急に創設し、さらには生活保護など公的扶助制度を活用して、零細な消費者がヤミ金に走ることのないように十分配慮すべきである。


(注) 全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会「緊急・武富士110番」 TEL03―5207―5520、03―5207―5507(午後1時から6時まで、ただし土・日・祝日を除く)


中小企業対象に国が金融支援策
 経済産業省は9月29日、(株)武富士破たんの影響を受ける中小企業を対象に特別相談窓口を設置し、セーフティーネット貸付(経営環境変化対応資金)の利用手続きを簡素化すると発表しました。
 相談窓口は、全国の日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、沖縄振興開発金融公庫、信用保証協会、各地方経済産業局など。セーフティーネット貸付を利用するには「売り上げが減少していること」が分かる書類の提出が必要でしたが、今回は不要としました。

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