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新駐禁問題
「許可証発行できる」
全商連に警察庁が回答
新駐禁で申し入れ
営業用車両には区別を
 1日から民間監視員による駐車違反の取り締まりが全国いっせいに始まり、配達・集荷・運送にかかわる中小業者から悲鳴が上がっています。全国商工団体連合会(全商連)や民主商工会(民商)はただちに警察庁や地元警察署に申し入れ、貨物車両などについて「必要に応じて許可証を発行できる」「改善策を検討したい」と重要な回答を引き出しています。営業用の貨物車両と放置したままの違法駐車との区別をせず、機械的に取り締まろうとしていた国の姿勢を突き崩しました。

警察庁へ申し入れる西村副会長(左から2人目)と運送関連の民商会員ら
 全商連が8日におこなった警察庁への申し入れには西村冨佐多副会長をはじめ東京、神奈川、埼玉県商工団体連合会(県連)の運送関連業者ら17人が参加。駐車違反の取り締まり強化から運送業者を外すことを求めたのに対し、交通局交通規制課の堂前康課長補佐は「実態を聞き、必要に応じて許可証を発行する」と明確に答えました。

道交法45条で
 これは道路交通法45条1項に基づくもので、駐車禁止区域で「人の乗降」「貨物の積み降ろし」の駐車は警察署長の許可を受けた場合は駐車違反にならないと定めています。
 この点について国会答弁でも、人見信男警察庁交通局長(当時)が「やむをえず駐車禁止規制の道路に駐車し、5分を超えて荷貨物の積卸しをする場合は警察署長の許可を受けていただく」(04年4月8日参議院内閣委員会)と答弁。さらに「荷物の搬入、引っ越しなど、運転者が近くにいる場合、放置違反金の対象ではない。許可は交番でもできるというような便宜を計らうよう最大限努力している」と付け加えています。これらの言質によって、運送関連業者が最寄りの警察署や交番で許可証を発行してもらえれば、これまでどおり安心して仕事を続けることが明らかになりました。
 交渉では取り締まり強化で深刻な影響が出ている実態が報告されました。
 おしぼり配送業者の東京・荒川民商の本間悦子さん(69)は、従業員が駐車違反の時間帯に少しでも引っかからないように午前4時半に出るようになりました。「肉体的にも疲れている上に、駐車違反の問題で精神的にもクタクタ。3人の従業員がやめたいと言ってきた。おしぼり1本何円の仕事で駐車場に入れる経費なんてとても出ない」
 家電製品を配送・設置している埼玉・川口民商の赤城義隆さん(34)も「駐車違反にならないようにするための精神的プレッシャーは相当なもの」と強調。「6月になって従業員が駐車違反のキップを切られ、申し訳なさそうにしていた。郵便配達車は適用除外になっているが、われわれの仕事も十分に公共性がある。なぜ適用除外にならないのか」と怒り心頭。
 入間東部民商の青木千江さん(62)も仕事の開始時間を早め、夜中の2時から働いています。青木さんは公衆電話を清掃する仕事。1日に埼玉県内を60〜70カ所回っています。「電話ボックスがあるのはほとんどが重点地域。25分かかる仕事を5分でやるように言われているけど、とてもやれない。県警や警察署に訴えてもらちがあかない。いつまで体がもつか、分からない」と訴えました。
 こうしたなかでの今回の回答。展望は大きく開けてきました。参加者は「『許可証』を発行してもらうため、地元警察署への申し入れを強めよう」と話していました。

駐車違反を取り締まる民間の監視員
「写真 即違反ではない」
京都府警が「検討」約束

 京商連は5月31日、田口克己副会長(68)=ポリエチレン袋加工=らが京都府警察本部に日本共産党の梅木、西脇両府議(警察委員)とともに出向き、説明を受けました。
 「新聞記事のように『写真を撮ったら即違反』というものではない」「業者のみなさんの実態に合わないことがあれば、遠慮なく警察に申し入れてくれれば、改善策を検討していきたい」と回答。また、「他府県のように、商店街での駐車禁止解除の申し入れがあれば、周辺関係者の合意や安全面など条件が整えば、検討する」と述べ、「あくまで交通渋滞の解消、安全確保が目的」と強調しました。
 さらに端末機を操作し、標章をプリントアウトするまでに、およそ10分かかると言われていますが、担当者は「それ以上に、現場では時間がかかっているので、標章を張るまでに車を移動すれば、『警告』ですむ。監視員は、目立つ制服を着ているので、近所の人に連絡してもらって移動するなどの対応もできる。監視員にノルマや歩合制など、摘発優先の指導はしない」と言明。保育園の送り迎えなど、保育園から申し入れがあれば、その時間帯について、配慮することも考えられると話しました。

「すべてが駐禁じゃない」
大阪・浪速署が表明

 大阪・浪速民商は5月23日、浪速警察署と懇談。警察側は「従来の荷物の上げ下ろしについては、監視員が撮影しシールを張っても、最終チェックは警察がおこなうので、すべてが駐禁となるわけではない」と貨物車両に配慮する意向を示しました。
 5月8日の常任理事会では、「新しく導入される民間の駐車監視員による駐車取り締まりについて実際どうなるねん?」「50キロものボンベの配達やのに、いちいち駐車場へ預けてたら運ばれへんがな」「運転手雇う余裕なんかあらへんし、どうしたらええねん」「車検で代車貸してるうちに駐車禁止のラベル張られたら業者の責任か?」と次つぎと質問が出され、今回の懇談となったものです。
 懇談の案内に、駐車禁止取り締まり強化の問題を取り上げた商工新聞を入れたところ問い合わせが相次ぎ、15人が参加しました。

「配達中の表示があれば」
神奈川・相模原署が理解示す

 神奈川・相模原民商は5日、相模原警察署に申し入れ、「違法駐車の取り締まりにおいて、車両に『配達中』などの表示がある場合については、機械的におこなわないこと」「工事現場などにおいて、作業中にやむを得ず一時的に路上駐車する場合においては、いきなり取り締まらず、状況を確認してからおこなうこと」「もし、監視員との間でトラブルが発生した場合は、双方の言い分をきちんと聞いたうえで、公正に判断をすること」の三つを要望。担当者は「粛々と法律に従って取り締まる」としつつも「みなさんの実態は分かりますので、やむをえず駐車するときは、交通の邪魔にならないよう、よく考慮して駐車してほしい」と答えていました。

解説
除外や時間解除も

 駐車違反の取り締まり強化の対応は都道府県警や警察署によって対応に違いがあります。積極的に申し入れや懇談をし、改善策を迫ることが重要です。
 郵便配達車は今回の取り締まりの対象から外されていますが、都道府県でも駐車違反にならない車両が決められています。
 たとえば新潟県では老人保健法、老人福祉法、障害者福祉法、介護保険法に定める事業にかかわれる車両のほかに、徴税吏員が地方税の滞納処分をするときに使う車両や裁判所が強制執行するときの車両は駐車違反になりません(道路交通法施行細則)。「滞納処分」や「強制執行」のときの駐車はやむを得ないと判断されているのです。各都道府県でも同様の規則がありますので、調べる必要があります。
 また、警察庁では今回の「改正」の実施にあたって04年1月から05年3月末まで、2万区間(約1万5800キロ)で駐車規制を緩和・解除しています。これにともない時間帯を設けて貨物集配中の車両を駐車規制から外している地域もあります。
 福岡市中心部の天神地区では5カ所の道路が早朝、昼間などで貨物車両の駐車規制を解除。広島市や呉市、福山市でも14区間で集配が多い時間帯の貨物車両の駐車規制を解除しています。また、群馬・高崎市ではJR高崎駅周辺の商店街などの通りを対象に午前9時〜11時まで貨物車両の駐車規制を緩和しています。
 
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