表現と営業の自由脅かす「ダンス規制」は違憲!
大阪地裁に向かう金光さん(中央)と弁護士ら
「許可なく客にダンスをさせた」として昨年4月、風俗営業法(風営法)違反で逮捕・起訴された大阪の元クラブ経営者が「ダンス規制は時代遅れで憲法違反」と争っている裁判の初公判が1日、大阪地方裁判所(斎藤正人裁判長)でありました。
支援者、業界関係者など70人が傍聴。法廷内ではダンス音楽も流されるなど、ダンスと風営法をめぐる本格的な審理が司法の場で始まりました。
起訴されたのは大阪の老舗クラブ「NOON(ヌーン)」の元経営者、金光正年さん。兵庫・西宮民主商工会(民商)の会員でもあります。
26年にわたってクラブ運営にかかわってきた金光さんは冒頭、先進的な音楽、ダンス、アート、ファッションなどを発信する一方、店舗周辺の騒音対策や清掃活動など社会貢献にも力を入れてきたことを強調。「検察官の主張するようなたぐいの風俗営業を行ったことはない」と無罪を主張し、今回の起訴について「人生をかけて取り組んできたことを、全否定されたという思いでいっぱい」「風営法の具体的な規制目的や規制対象、規制されるダンスの定義をはっきりさせてほしい」と訴えました。
検察側は冒頭陳述で、享楽的な雰囲気を過度に醸成するダンスを許可なくさせていたと主張。
これに対し弁護側は「ヌーンは戦後直後のダンスホールと違い、売春の温床でもドラッグが横行する場でもなく、文化的な最先端のオープンな場所」と反論。「ライフスタイル、風俗などが時代に即して変わっている。ダンス規制は時代遅れの法律だ」と指摘するとともに、ダンス規制は、(1)表現の自由を侵害し(2)営業の自由に反し(3)ダンスの定義があいまいで適正な手続きに反するとして、逮捕・起訴そのものが「違憲無効である」と主張しました。
証拠調べでは、摘発当時、ヌーンに流れていた音楽が14分間にわたって流され、体を揺らし“ダンス”をする傍聴者も。またファッションとコラボした映像も流されるなど、クラブの営業実態も紹介されました。
公判後の報告集会で金光さんは「この裁判は金光の裁判ではなくヌーンの裁判。審理を通じ、クラブが風俗営業ではないことを証明したい」と語りました。
次回公判からは、摘発当時店内にいたお客、摘発担当警察官、摘発を指揮した警察官、学者などの証人尋問が行われる予定です。
全国商工新聞(2013年10月21日付) |