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  トップページ > 経営のページ > 経営 > 全国商工新聞 第2935号 7月19日付
 
経営
 

ドイツ・マイスター経営を視察(下)

兵庫県連60周年記念事業


地域社会に深く貢献

Photo
ミュンヘン郊外の街灯製造工場

 ミュンヘンから車で1時間の郊外にある工場には、汎用旋盤やボール盤、メッキ設備などまさに手作業用の機械や工具が並んでいました。

ハイテクと伝統技術の結合
 1982年に3人で会社設立。注文を受けた街の雰囲気に合わせた街灯のデザイン創作が評判を呼び、5台から500台まで受注生産が可能です。デザインはコンピューターですが、その製作はほとんど手仕事なのが特徴です。従業員は25人、うち2人がマイスター、5人が研修生。事業の中で自社の後継者も育成しています。この研修生は週2日職業学校に通い、その費用は州が負担しています。

NC旋盤は日本製も
 ベルリン郊外のエームケ社は家族経営の鉄工所。16人の従業員でマイスターは本人含め2人。第二次大戦後旧東ドイツで父親が開業し、それを継承。ドイツ統一後、NC工作機械も導入し事業を広げ、電車部品の大手メーカーの仕事などを受注しています。工場には所狭しと機械が並び、その中には日本製もあり、訪問団員の鉄工業者と意気投合する場面もありました。リース代に悩んでいる様子も合わせ、日本の中小業者の悩みと共通する姿もありました。
 このほかベルリンでは、鍛造技術を駆使してフェンスや手すり、ドアなどを工芸的に制作する金属加工工場、4人のマイスターの共同経営でユーザーの希望に応えた修理、そしてオールドカー再生などを手がける自動車修理工場なども訪問しました。

マイスター魂と社会的責任
 こうしたマイスター経営では、どこでも品質やデザインへの責任と努力、制作全般への総合的な技術が重視されており、それが独自性と個別性を備えた企業として信頼を生み出していると思えます。また、ミュンヘンのパン・菓子製造販売会社では、小麦や牛乳、卵などの素材はすべてバイエルンの地元産を使うことを理念としていることに象徴される地域社会への深い貢献姿勢が貫かれていることも重要な特徴でした。それらの技術者・経営者魂といったものが、制度としてのマイスターや労働者の諸権利、それを守る社会的合意と結合され、小企業が人間労働の場として重視され、研修生に働く喜びとともに技術を伝えるという社会的責任を果たさせていると思えます。
 こうしたドイツ・マイスターの教訓を、日本の中小業者と地域の振興策に生かしていくことは大きな意義があり、そのためにもさらに国際的交流と学習の機会が求められています。

   
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