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  トップページ > 経営のページ > 経営 > 全国商工新聞 第2887号 7月13日付
 
経営
 

まち工場を守れ
緊急国会内集会で実態告発


 「一生懸命働いている人がなぜ生きていけないのか」――。町工場の経営者たちが、ものづくりの宝である「まち工場」を守れと声を上げました。全国商工団体連合会(全商連)、不況打開大田区実行委員会、東大阪金属加工グループ(HIT)が呼びかけて6月26日に開いた緊急国会内集会。全国から集まった76人の町工場経営者が実態を告発、仕事確保や融資制度の拡充などを訴えました。テレビを含めマスコミ8社が取材しました。

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集会で厳しい実態を告発する参加者
給与が払えない
 熱気あふれる会場が水を打ったように静かになったのは東京都大田区のSさん=精密機械加工=の発言でした。
 「8人の従業員を抱える隣の工場の社長が、従業員の給料が払えないと悩み、心筋梗塞で倒れて1週間で亡くなった。払えない請求書を前に機械の上で首をつった社長もいる。もう1人は富士山の樹海に入り自殺をしようとしたが、幸い見つかりいま入院中だ」
 大田区でものづくりに携わって40数年になる佐々木さんは、区内では昨年比8、9割減の売り上げが当たり前で、貸し工場の家賃さえ稼げない状態が続いていると告発。「一生懸命働く人がなぜ生きていけないのか」と訴えました。

町工場の役割
 地域経済や日本経済を支える町工場の役割に触れる経営者もいました。
 HITグループ代表の平山星弘さんは「ものづくりが日本からなくなったら、何をもって成り立つ国になるのか。子や孫のことも考えて何とか町工場を救ってほしい」と訴え、洋食器をつくる新潟県燕市のSさんは「私たちが仕事をやめれば、町がガタガタになる。だから頑張っている」と語りました。

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まだ間に合う 知恵を出そう
 厳しいなかでも雇用とものづくりの基盤を守ろうと、歯を食いしばる町工場の経営者。集会のあいさつで全商連の国分稔会長は参加者にこう呼びかけました。「ものづくりを絶やすわけにはいかない。何とか技術を継承しよう。まだ間に合う。そのためにも知恵を出していきたい」

自民・共産など国会議員が激励
 集会には自民党、民主党、共産党、無所属の国会議員(秘書含む)が参加。本人出席は自民3人、共産5人の計8人で、全員が支援と激励のあいさつをしました。
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マスコミも取材に入りました
 自民党の木挽司衆院議員は、親が倒産したあと負債を抱えて自ら起業した経験に触れ「資金繰りで眠れぬ夜も過ごした。首をくくった姿も見てきた。皆さんの声をもっと受け止めて動いていきたい」と表明。
 日本共産党の吉井英勝衆院議員は「仕事があってこそ技術は継承できる。同時に経営が成り立たなければ継続できない」とし、家賃やリース代などの固定費補助や大企業に社会的責任を求めていきたいと強調しました。


隣は破産、向かいは廃業
 各地の発言で共通していたのは「経験したことのない不況」「先が見えない」という言葉でした。
 「週休3、4日は当たり前。売り上げは昨年比で1、2割だ」(長野県諏訪市、精密機械、Iさん)、「売り上げは例年の5分の1以下。息子に事業を継いでくれという気持ちにならない」(浜松市、機械加工、Eさん)、「隣は自己破産、向かいの工場は廃業した」(京都府久御山町、金属加工、Tさん)、「23人が融資を申し込んだが、借りられたのは10人だけ。仕事もない。私たちがいるのは谷底ではなく、海の底だ」(神奈川県横須賀市、製缶、Tさん)。
 親会社から違法な単価切り下げを強要された岡山県の松田孝二さん=アルミ金型=は「消費税も払えなくなり、国保は資格証明書になった。365日働いてなぜ借金ばかり増えるのか。僕らを助ける政策にしてほしい」と声をからしました。
 必死になって雇用を支える町工場の姿も浮き彫りになりました。
 愛知県内でトヨタ関連の金型をつくっている機械加工業者もその一人。3月の売り上げは20万円にもかかわらず、家賃や従業員の給料など固定費だけで月100万円は出て行きます。
 「融資も返せる見込みがないと断られた。でも技術を守っていくために、トヨタのように従業員を簡単に辞めさせられないんです」

家賃補助 自治体の判断で可能
「臨時交付金の活用で」と回答=中企庁

 集会に参加した中小企業庁長官官房の横田俊之参事官は、貸し工場の家賃やリース代などの固定費補助について「個別企業への支援は国の役割ではない」としながらも、1兆円の地域活性化臨時交付金などを活用して支援することは「自治体の判断で制度的には可能だ」と明確に答えました。
 また、緊急保証についても「当初は事故率を8%としていたが、15%ぐらいに高まっていいぐらいのつもりで思い切って保証協会に保証してくれということで財政措置も講じている」ことを明らかにしました。

全商連 国分会長、三谷福会長ら中企庁長官に要望
 全商連の国分稔会長、三谷信雄副会長をはじめ参加者の代表は長谷川榮一・中企庁長官と懇談しました。
 厳しい実態を告発するとともに、製造業の技術集積地を守るため、緊急休業補償や家賃・リース代などの固定費補助などを要望しました。
 長谷川長官は「大田区や東大阪市にはネットワークがあり、日本のものづくりを支えている。十分な利益が出るような仕事をつくることが大事」との認識を示し、技術が消失しないように、中小企業への資金繰りや下請け対策の必要性を強調しました。

   
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