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  トップページ > 平和・民主主義のページ > 安保・基地 > 全国商工新聞 第2926号 5月17日付
 
安保・基地
 

沖縄から米軍基地なくせ=4・25沖縄県民大会


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米軍基地の県外・国外移設をを求めてガンバロー三唱する参加者

 沖縄の米軍普天間基地の国外・県外移設を求め9万人を超える歴史的な集会となった4・25県民大会。しかしその直後、沖縄を訪問した鳩山由紀夫首相は仲井真弘多知事らとの懇談で「国外、最低でも県外」との公約を翻し、「県内移設」を正式に表明、基地問題は新たな局面を迎えています。稲嶺進名護市長と鳩山首相との懇談が行われた会場では名護民主商工会(民商)会員など多くの市民が「怒」のプラカードを掲げ抗議の声を上げました。県民の心を一つにした「基地撤去」を求める新たな運動とたたかいが始まっています。


県民大会 9万人超が参加
県内移設反対 心一つに

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手作りのタスペトリーやプラカードに願いを込める大会参加者

 初の超党派集会
 「沖縄の心が一つになった」―。米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還を求め、県内移設に反対し、国外・県外移設を求める県民大会が4月25日、読谷村で開かれ、会場は9万人を超える参加者であふれました。普天間基地問題をめぐって超党派が県内移設反対を訴えたのは初めて。県知事はじめ県内41市町村すべての首長(2市町代理)が出席、基地撤去を求める歴史的な島ぐるみのたたかいは新しいページを開くものとなりました。
 会場近くで学習塾を経営する沖縄民商会員の仲松庸次さんは「基地は結局戦争の道具。超党派が基地反対で集まったのは初めて。本当に意義のある集会だった」と振り返ります。
 開会前から会場につめかける人の波。道路の渋滞は10キロにも及びました。「基地はいらない」「届け沖縄の叫び」「もう銃剣とブルドーザーは通用しない」などと書かれたプラカードや手作りの旗や各団体ののぼり旗が沖縄の暑い風に揺れます。
 参加できない商店主も「鳩山政権にイエローカードを示そう」と黄色のタオルやリボンを身に付けて意思表示。名護民商の会員も黄色いTシャツに「平和でこそ商売繁盛」の文字をプリントして参加しました。
 大会では翁長雄志・那覇市長が「県民の心を一つにし、誇りとアイデンティティーにかけて沖縄の思いを発信していこう」と開会宣言。仲井真弘多県知事は「普天間の固定化は絶対だめだ」と訴えました。

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基地はいらない、沖縄県民の心をひとつにしてたたかい抜こうという首長らの訴えに拍手と歓声を送る参加者

 新基地いらない
 普天間基地を抱える宜野湾市の伊波洋一市長は「子や孫のためにも新たな米軍基地は絶対つくらせてはならない」と述べ、「移設先」とされている名護市の稲嶺進市長は「今こそ国外・県外移設を求めるチムグクル(真心)を一つにして、意思を示す時」と決意を表明。うるま市の島袋俊夫市長は「新たな基地建設は到底容認できない」と強調し、勝連漁協の赤嶺博之会長は「沖縄には陸上であれ海上であれ基地はいらない」と訴えました。
 普天間高校3年生の女生徒2人は「基地問題を日本国民が自分の問題として考えてほしい」と呼びかけ「未来は私たちの手の中に」と結び、大きな共感を広げました。
 大会決議(別項)を大きな拍手で確認しました。
 参加した沖縄県商工団体連合会の山川恵吉会長は言いました。
 「沖縄戦では県民の4人に1人が犠牲になり、さらに戦後六十数年にわたり基地被害、騒音、事件に苦しんできた。基地があってこそ経済も潤うと言われてきたが、それが阻害要因であることが県民の目に明らかになってきた。われわれは安保廃棄を言い続けてきたが、そのたたかいが今実りつつある。希望は開けていますよ」


▼県民大会決議(要旨)
 普天間飛行場の返還は96年日米特別行動委員会(SACO)合意から13年経過した今なお実現を見ることはなく、その危険性は放置されたままです。
 04年8月13日に発生した沖縄国際大学構内への米軍大型輸送ヘリの墜落事故は市街地に位置し、住宅や学校等が密集する普天間飛行場の危険極まりない現実を明らかにしました。一歩間違えば大惨事を引き起こしかねず「世界一危険な飛行場」の存在を改めて内外に明らかにしています。
 私たち沖縄県民は、さる大戦の悲惨な教訓から戦後一貫して「命どぅ宝」、基地のない平和で安全な沖縄を希求してきました。
 県民の意思はこれまで行われた住民投票や県民大会、各種世論調査などで明確に示され、移設先とされた名護市辺野古沿岸域は国の天然記念物で、国際保護獣のジュゴンをはじめとする希少生物をはぐくむ貴重な海域であり、また新たなサンゴ群が見つかるなど世界にも類を見ない美しい海域であることが確認されています。
 名護市長は、辺野古の海上及び陸上への基地建設に反対しています。勝連半島沖埋め立て案についてはうるま市長・市議会ともに反対を表明しています。
 私たち沖縄県民は、県民の生命・財産・生活環境を守る立場から、日米両政府が普天間飛行場を早期に閉鎖・返還するとともに、県内移設を断念し、国外・県外に移設されるよう強く求めるものです。

 2010年4月25日
4・25県民大会


県民大会参加者の声
基地をなくしてこそ経済振興に
 沖縄民商 Kさん=建設

 熱い熱気が伝わってきたよ。すべての政党が参加した超党派の集会。沖縄の心が一つになったという思いがあります。
 集会には沖縄戦の体験者もいたし、さまざまな人が参加していた。一人ひとりが基地反対を意思表示したかったから、これだけの人が集まったのでしょう。
 私は北谷町に住んでいますが、爆音でテレビや電話の声が聞こえなくなることはざらにある。以前は基地があって経済も栄えるといわれたけれど、ハンビー地区などの復興を見ると、基地をなくした方が経済振興につながるということをみんな実感してきている。この変化が大きいと思います。

日米地位協定は本当におかしい
 Iさん=会社員

 沖縄で生まれて育ちました。いつも当たり前のように基地がありましたが、もうなくしたいです。友達が米軍関係者に車をぶつけられる事故に遭いましたが、保険がおりませんでした。米兵が罪に問われないのはおかしい。
 日米地位協定って本当におかしいと友達らと話しています。基地はどこへ移せばいいというものではないと思います。基地なんか、どこにもあってはならない。

沖縄の怒り集結首相の対応残念
 名護民商副会長 Kさん=リサイクル

 9万人を超える参加は95年の少女暴行事件への抗議集会以来の規模だ。政党を超え、老若男女、年寄りから子どもまでウチナンチュの怒りが集結した集会だった。復帰闘争を想起させる運動になっていると感じた。
 それだけに沖縄を訪れた鳩山首相の対応にはガッカリというか、怒りが爆発だ。政権交代で期待したが、自公政権と変わらない。国ができなければ、もう県民の意思で基地をなくしていくしかない。基地の根っこにあるのは安保条約であると、県民は自覚してきている。大会はその確認の場にもなったし、今後のたたかいはそこを見据えたものとなるだろう。

米兵犯罪許さず基地撤去で連帯
 神奈川県横須賀市 Yさん

 2006年の1月、横須賀に駐留する米空母キティホークの乗組員に妻を殺害されました。いま日米両政府の責任を追及し、裁判をたたかっています。
 政府も横須賀市も日本国民にとってアメリカ軍は「よき隣人」と言い、妻もそう思って横須賀で暮らしていました。だから、米兵に道を聞かれたそのとき、足を止め親切に教えようとしたのです。しかし、むごい姿で命が絶たれました。
 警察は妻の後をつける米兵の姿を確認しながら、私を犯人にしようとしました。
 基地のある町では、米兵による事件が頻発しています。しかし、当たり前には裁かれない。妻を殺害した犯人も刑務所でステーキを食べ、テレビのある部屋にいるのです。地位協定は本当に屈辱的です。
 沖縄県民のこのエネルギーと連帯して、日本から基地をなくすたたかいに頑張ります。


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鳩山首相に「基地はいらない」と訴える名護民商の会員(5月4日)

辺野古への移設許さぬ
 名護民商会長仲本興真さん
 首相は「公約違反」

 鳩山首相は5月4日、「日米同盟や近隣諸国との関係を考えると、海外移設は抑止力という観点から不可能」だと県内移設を表明しました。
 ヘリ基地反対協議会に結集する300人近い市民・県民はこの日行われた稲嶺進・名護市長と鳩山首相との会談を見守ろうと、会場の名護市民会館前に集まり、県内移設反対の声をあげました。
 13年にわたるたたかいが走馬灯のように私の脳裏を駆け抜けました。1997年の名護市民投票が示した民意は「辺野古に基地はいらない」でした。にもかかわらず、当時の名護市長が辞任と引き換えに受け入れを表明し、その後、市民投票とのねじれ現象が13年も続いてきたのです。
 新聞等で報道されている海上基地建設、陸上案、埋め立て案などをめぐって、名護市では賛成派と反対派に別れ、いがみ合いが続いてきました。日米同盟、安保という国策のなかで翻弄されてきたのです。
 北部12市町村には基地関連事業、予算1000億円を超す振興策、交付金などが基地建設の名の下に、不況で悩む庶民を尻目に湯水のように注ぎ込まれてきました。しかしそれは地域経済の発展につながるどころか、ゆがんだ経済をつくり出してきました。
 基地跡地につくられた沖縄新都心開発や北谷町の美浜・ハンビー地区の発展を見るならば、基地こそ経済発展の阻害であることは県民が実感しています。

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民意示す市長選
 今年1月の名護市長選挙では、基地建設反対の稲嶺市長の誕生で、名護市民は基地建設ノーの意思を再度示しました。過重の基地負担に悩む苦しむ沖縄県民は、昨年の総選挙では、県外・国外と公約してきた民主党に期待しました。にもかかわらず、選挙後連立政権の迷走など、基地の県内移設が報道されました。徳之島の住民集会に続き、4月25日には、超党派による9万人を超える沖縄県民大会も開催され、「国外・県外移設を求める」県民の意思を明確に示したのです。
 米軍基地建設反対のたたかいは、沖縄を機軸に日本全国に大きく広がることでしょう。そのたたかいを通じて、日本国のあり方が鋭く問われ、国民本位の新しい政治の幕開けとなることを確信します。さあ、新しいたたかいの一歩を踏み出そう。沖縄返還38年、5月15日を前に。

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基地撤去の対米交渉を
 安保破棄中実委事務局長 早坂義郎

 「安保基軸」と「抑止力」脱却を
 沖縄県民大会は「米軍基地あるゆえ」の過重な負担と苦難、屈辱を「今度こそ終わりにしたい」と9万3700人も集まった。
 知事はじめ全市長村長、自民党から共産党までの全会派、つまりオール沖縄が初めて一つになった。島ぐるみの沖縄対日米両政府の構図となった。
 鳩山内閣が自公政権と同様に「日米同盟が基軸」「在日米軍は抑止力」という“二つの呪縛”にしばられ、「普天間の移設先探し」に右往左往する中で、沖縄県民の総意との落差はさらに明瞭になった。
 ジャーナリストの鳥越俊太郎氏は、冷戦下のソ連の取材経験から「米軍基地があるからこそ日本が攻撃目標になってきた。一方、米国は日本を守るためではなく、米国の国益のために在日米軍基地を利用してきた」と指摘している(3月20日、日本記者クラブ)。この半世紀、軍事同盟の下にある国の人口は、世界人口の67%から16%へと激減している。20世紀の遺物となった軍事同盟にしばられる必要はない。
 鳩山内閣は今こそ“二つの呪縛”から解放され、普天間基地の撤去に向けてアメリカと正面から向き合う時だ。
 比屋根照夫琉球大名誉教授は「政府が自主・自立の立場に立って海兵隊の撤収、日米同盟、日米地位協定のあり方を米国と対等に議論する外交姿勢に戻ることを望む。政権交代の意味もそこにある」と論評した(沖縄タイムス4月26日)。
 「改定安保から50年」の今年、「日本の進路」は曲がり角を迎えている。沖縄県民と連帯し、基地撤去・安保廃棄の世論の多数派をめざし全国の草の根から運動を発展させる時だ。


県民大会が示したもの
 沖縄革新懇代表世話人・弁護士 中山忠克

 沖縄県議会の呼びかけを契機として開催された4・25県民大会は9万人が結集し、県知事・県下41市町村のすべての首長が参加するという文字どおり超党派による歴史的な大会となった。
 それをもたらした要因は、1月24日の名護市長選挙の勝利であった。その勝利が県内での新基地建設は認められないという県民世論の形成に決定打となり、県議会の呼びかけへと連動したのであった。

 辺野古の13年間が真の原動力に
 しかしその真の原動力は、新基地建設の候補地とされた辺野古での血のにじむ体を張った13年間に及ぶたたかいの存在である。持続するたたかいは大衆的に発展するものであり、それを実証した辺野古のたたかいの意義は大きい。
 大会では各発言者の意見表明や参加者の反応から、「沖縄から米軍基地をなくせ」というのが県民の総意であることが示された。これは戦後65年間、米軍基地の重圧によって幾多の犠牲や苦難を強いられてきた県民の政治的意見の相違を越えた結論であった。
 さらにそれは、別の地域で新たな犠牲や苦難の歴史の始まりを意味する移設論(県外・国外を含む)を拒絶する県民の心情に結びつくものでもある。
 大会会場に向かう道路沿いに「基地とゴミ、持ち帰るのがマナーです」と記載した板看板が設置されていたが、まさにその存在が許されざる米軍基地は、ゴミと同様に、場所的に移動するだけではすまされないものであり、無条件撤去して米国へ持ち帰る以外に解決策はあり得ないのである。

 民意を尊重した無条件返還こそ
 このように沖縄からの米軍基地の撤去が県民の総意である以上、鳩山政権は主権者たる国民の意思を尊重して、普天間基地の即時閉鎖と無条件返還を強く求めるよう、対米交渉を行うべきである。このことが民主政治の基本である。
 しかも「歓迎されないところには基地はおかない」(米軍再編の責任者であったラムズフェルド国防長官の発言、グアム基地建設に関する環境アセス報告書)というのが米軍の基本方針であるというのであるから、県民の総意を強力な背景とする対米交渉が成功する可能性は強いと思われる。
 米・英・仏・露・中の5カ国の外国に駐留する軍隊は、受け入れ国で政権交代があった場合、自主的もしくは強制的に撤退する確率は80%以上、米国が撤兵する事例は3分の2近くに及ぶ(ケント・E・ガルダー)というのであるから、確率的にも期待可能性は高い。現にオバマ大統領自身が、ブッシュ政権時のポーランド・チェコとのミサイル防衛協定を破棄し計画を変更させたというのであるから、日米の政権交代により普天間基地移設についての旧来の日米合意は変更可能であることを熟知しているといえよう。
 鳩山政権は、「主体的な外交戦略を構築し、緊密で対等な日米同盟関係をつくる」「沖縄県民の負担軽減の観点から、米軍再編や在日米軍基地のあり方は見直しの方向で臨む」と政権樹立にあたって公約をしたのであるから、今こそその政策を実践することが強く求められているのである。

 基地がいらない世の中をつくる
 海兵隊の一部移転先候補となっている徳之島の高岡秀規徳之島町長は「私たちの反対運動は、沖縄に負担してくれとはいっていない。日本全国で基地がいらない世の中をつくる責務を持っている」と述べた。まさに普天間基地問題を通じて、基地のいらない世の中をどうつくっていくかがすべての国民に問われている。
 在日米軍基地の法的存在根拠となっている現行の安保条約が制定されて今年で50年が経過しているが、軍事同盟を本質とするその正体は基地の集中する沖縄において見事に具現化している。殺戮と破壊を本質とする軍事力、すなわち安保条約によっては人間の生存や安全は守れないというのが、沖縄の戦後史の帰結であり教訓である。
 これは逆に、軍事力によらない平和の構築を希求する憲法九条の現実的正当性を裏付けるものである。普天間基地問題はすべての国民にそのことを強く訴えている。

   
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