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  トップページ > 住宅リフォーム助成制度のページ > 全国商工新聞 第3216号5月23日付
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業種 建設土木
 

期待高まる住宅リフォーム助成制度=愛媛・今治民商

10年越しの要求実らせ
 地域経済を循環させ、業者の仕事をつくる店舗リニューアル助成制度(住宅リフォーム助成制度の商店・工場版)を実施した自治体が全国55自治体に上ることが、全国商工新聞の調査で明らかになりました。15年度実施自治体を調べたもので、併せて調査した住宅リフォーム助成制度の実施自治体数は603自治体。前回調査(14年3月)に比べ減少したものの、二つの制度を合わせると、658自治体になります。民主商工会(民商)が10年来の運動を実らせ、今年から制度をスタートさせた愛媛県今治市では、会内外から期待の声が高まっています。

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今治民商が市の担当者を招き開いたリフォーム助成制度活用学習会。40人が集まり、事務所は熱気につつまれました(5月10日)

制度説明会に40人
 「こんなに人が集まるなんて初めて。事務所の床が抜けるんじゃないか」。そんなうれしい悲鳴が聞こえたのは、5月10日、市職員を招き、今治民商が初めて開いた「住宅リフォーム等支援事業費補助事業」説明会。現場から作業服で駆け付けた人や夫婦、仲間を誘って参加した人など、民商事務所2階の会議室には40人が詰めかけ、椅子が足りないほどでした。
 今治市のリフォーム助成制度は20万円以上の工事に、10%を補助(上限20万円)。予算は2000万円で、申し込み多数の場合は抽選になります(受付期間は6月1日から24日)。
 説明会には、市産業部の商工振興課長補佐ら2人の担当者が、市で作製したチラシ500枚を持参。「市内の住宅関連産業や地場産業の振興を図り、地域経済の活性化、住宅の居住環境の質の向上を図ることが目的。できるだけ多くのリフォーム工事が当てはまるよう、審査していきたい」と話し、制度内容や申込書の書き方、注意点などを資料に沿って説明しました。「専用電話も設置しているので、疑問があったら何でも聞いてほしい。全戸配布の広報にチラシを入れると、住民や業者からもさっそく問い合わせがあった」とし、活用を呼び掛けました。

顧客に伝え活用を促進
 「この制度を待ち望んでいた。素晴らしい」と歓迎するのは相原高樹さん=塗装。塗装組合の仲間とも他の自治体のリフォーム制度を学んで、「今治でもぜひ」と熱望してきました。円安の影響を受け地場産業の造船業が好調だったこともあり、この2、3年、業況は上向きでしたが、来年以降は厳しい予測との声も。そんな中、この助成制度は希望のひとつ。「どう活用していこうか、仲間と考えたい」と前向きです。
 菅貴顕さん=大工=は「お客さんに水回りのリフォームを考えている人がいるから」と説明会に参加。ハウスメーカーのネームバリューに負けて、仕事が安定しにくいことが悩みだけに、助成制度に期待します。市のビラを手に、「今までリフォームを手掛けたお客さんに、あそこも直してみたらって勧めてみようかな」と思いをめぐらせていました。

自治体要請続けて
 民商が初めてリフォーム助成事業を市に要請したのは07年のこと。議員からも「これはすごい制度」と驚かれました。しかし、「個人の資産には税金を使えない」との理由で実現には至りませんでした。民商では、県連のキャラバン、他団体との共同行動など、年4回の要請を継続。近隣自治体の制度内容や経済効果などを示し、地域業者に対する仕事おこしの重要性を訴えてきました。2年前には都市開発課から「耐震リフォーム」に対する助成事業が浮上しましたが、使い勝手のいいものを求め続けました。
 そんな中、県都松山市が14年度から予算3億円で実施。昨年までに県内に7自治体に広がりました。こうした流れを受け、長年、市議会議長を務めた愛媛県建設業協会今治支部の徳永安清支部長(別項)の働き掛けもあり、市長提案で議会に出され実現しました。

業者の危機 市も変化し
 「苦節10年、業者の危機的な状況がようやく伝わった」。小野裕二民商会長=造船=は振り返ります。「自治体の中で『地域の業者の仕事』の捉え方が変化してきた。職員が事務所に来て説明してくれるなんて、画期的なこと」と感慨深げです。「実現まで意見の違いや話し合いはたくさんあったけど、地域を元気にする制度を作りたいという気持ちはみんな同じ。しっかり使って広めていかないと。次は店舗リニューアル助成を実現したい」。全国の先進例に学びながら、地域業者、住民の笑顔を作り出しています。

業者も市民も元気に=徳永 安清さん(愛媛県建設業協会今治支部長/いづも株式会社代表取締役)
 10年前、民商がこの助成事業を議会に提案した時、私は市議会の議長を務めていましたが、「これは一人親方も市民も喜ぶ、ええ制度や」と思いました。
 大企業はもうけても内部留保を増やすばかりですが、現場の職人にお金が回れば、みんなパッと地元で使ってくれます。みんなが元気になることに税金を使って、今後、予算も1億円、2億円とどんどん増やせばいいでしょう。
 建設業協会今治支部の組合員は、一番多かった20年前と比べると約半分。公共事業が減り、単価は下がり、アベノミクスの波及効果もなく、建設業の中にも格差ばかりが広がっている。
 仕事がないから廃業が増え、建設業者が担ってきた災害予防や、災害時の復旧活動の役割、技術の継承もできなくなっている状況です。リフォーム事業制度は、そんな大変な業者が一息つくのに本当に役立ちますよ。
 協会員は地元の大手建設会社が中心ですから、住宅リフォームのような個人宅などの工事に関わる業者はいませんが、下請け、孫請けには大きな波及効果があると期待しています。立場の違いを超えて、人間関係を大事にしながら、地域を元気にしていく仲間をつくっていかないと。私も身近な業者たちに勧めますよ。

全国商工新聞(2016年5月23日付)
 
   

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