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  トップページ > 業種のページ > 建設土木 > 全国商工新聞 第2905号 11月30日付
 
業種 建設土木
 

小規模工事登録制度―民商の「連絡会」で受注増


 「地元の小規模工事は地元の業者に」‐。新潟市では「小規模工事等契約希望者登録制度」の限度額が今年度50万円から100万円に上がり、登録業者の期待が高まっています。町場の工務店などの営業が厳しい時だけに、仕事確保を図ろうと新潟民主商工会(民商)では行政区ごとに連絡会を結成。懇談を重ね、学校や保育園、施設などを訪問し、受注機会を増やしています。


20件、500万円を受注
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行政区ごとにつくった民商の登録業者名簿

 新潟市の小規模工事等契約希望者登録制度が始まってから5年が経過します。現在、登録業者は約600人。うち70人が民商会員です。スタート時から登録する新潟民商の丸山優さん=土木・建築=は、西区登録業者連絡会の世話人を務め、これまでに20件、500万円ほどの仕事を受注しました。


孫の保育園から
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丸山さんが見積書と一緒に提出した工事個所の写真

 保育園の修繕工事を受注したときのことです。孫が通園していることから先生と顔見知りに。自分の道具で器用に七夕の飾りつけをする丸山さんの姿を見た先生は「どんな仕事をしているんですか」と尋ねました。「区の小規模工事の登録者で建築・土木、そのほかなんでもやりますので、何かあれば声をかけて下さい」と答えたところ、「ちょうど良かった。保育園の修繕個所を見てほしい」と言われ、トイレ修繕やプールサイドのフェンス、床の張り替えなどを受注。地元のつながりを生かして仕事を確保しました。
 工夫したのは、見積書と一緒に修繕個所の写真と工事内容を参考資料として付けたこと。「保育園の先生も修繕に関しては素人。役所の職員も現場を見てない。誰が見ても分かるような資料が必要」と考えました。さらに保育園のトイレの扉は低く、子どもたちがうっかり手を挟む高さにあることから塩ビシートでカバーを作り、手が入らないようにすることを提案すると、先生たちから「ほかの園にも勧めますよ」と喜ばれました。
 丸山さんは、受注しようとする民商の仲間にアドバイスをしています。そのポイントは三つ。「(1)学校や保育園、施設に顔を出して知ってもらう(2)建築だけではなく総合的な仕事ができることをアピールする(3)小額でも面倒がらず、丁寧な仕事をする―です。次の仕事にもつながる」と話しています。

行政と懇談し理解広め
 必死に仕事確保
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西区との懇談では登録者優先に仕事を発注するように求めました

 清水末二郎さんも西区連絡会の世話人の一人。創設時には登録していましたが、見積書を出しても仕事につながらず、登録を中断。しかし、昨年から仕事が激減し、民商の仲間の誘いもあって再登録しました。小学校や施設などを回って名刺を配り、見積書を出して「とにかく仕事を確保したい」と必死です。
 民商では北区、東区、中央区、江南区、西区に連絡会を結成。登録業者の名簿を作って、年度初めと秋から年末にかけて学校や保育園、施設を訪問し、区とも懇談して改善を求めています。
 課題はなんといっても登録業者の受注を増やすこと。08年度は小規模工事(50万円以下)15億円のうち、登録業者への発注は2億円程度。増えているものの、登録業者の活用率は18%台にとどまっています。
 西区連絡会では9月16日、登録業者への優先発注を求めて西区と懇談。八木弘総務課長は要望に理解を示すとともに、「文書で登録業者を使ってほしいと関係部署に連絡している」と話し、登録業者名簿(パンフ)を30部預かりました。「景気が冷え込んでいる中で、地元で頑張っている業者に元気になってほしい。西区の仕事は西区の業者に。行政が地域に仕事とお金が回る歯車になれば」と八木課長は積極的に対応しています。

 うれしい初受注
 懇談に参加したHさんは早速、10月に市役所の物置と物置内の棚板設置の工事64万5000円を初受注。区との懇談会では登録業者への発注を強く要望しました。「四十数年以上仕事を続ける中で昨年、初めて赤字決算を出した。今年も回復しないままだったので、受注できたときは本当にうれしかった。待っているだけでは仕事は来ない。営業活動をどんどんやって、区に申し入れるなど働きかけることが大事」と元気に話します。
 3社による参考見積りの段階では、最も価格が高かったHさん。どうすれば受注できるかを考え、本見積りで受注が決まりました。見積価格の開示は民商の要望が実ったもの。「公的な仕事なので価格などの情報開示は必要なこと。業者も勉強になるし、役所にとっても透明性が確保できる。年末に向けて仕事はさらに厳しい。営業活動を強めて工事を受注したい」とHさんは話しています。



▼新潟市小規模工事等契約希望者登録制度
 新潟市内に事業所があり、「競争入札参加資格者名簿(建設工事)に登録されていない事業者」(建設業許可の有無、経営組織、従業員数は問わない)。対象は100万円未満の工事(※)。
 登録者は必要書類(市税の納税証明書、資格・免許が必要な業種は許可証の写しなど)を添付。随時受け付け。登録すると、庁内および市の各施設・出先機関などの業者選定の対象になり、指名されると複数の業者との見積合わせで最低価格者と契約。工事完了の検査に合格した後、請求代金が支払われます。
 競争入札参加資格を持つ業者も制度の活用が可能になっているため、民商では登録業者への優先発注を要望。また、最低価格だけで発注が決定されることに対しても、工事の安全性確保のために適正価格を求め、相見積り提出の基準を5万円から10万円に引き上げることを要望しています。
※工事種類は土木、建築、大工、左官、とび・土工・コンクリート、石事・石積み、屋根・屋根ふき、電気事、管、タイル・れんが・ブロック、鋼構造物、鉄筋、舗装、しゅんせつ、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、機械器具設置、熱絶縁、電気通信、造園、さく井、建具、消防施設、清掃施設、その他工事
   
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