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  トップページ > 地域のページ > まちづくり > 全国商工新聞 第3101号1月6日付
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地域 まちづくり
 

再生エネで仕事おこし つながりと技術が力を発揮

 各地の民主商工会(民商)会員が、再生可能エネルギーの普及や仕事おこしにと、発電機作りやシステム確立に挑戦しています。原発ゼロ、地域循環型社会の実現に中小業者の技術と仲間のつながりが力を発揮。地中熱、風力、太陽光などを活用する取り組みが各地で進んでいます。

風力 会員が技術持ち寄り小型発電機製作進む=東京・蒲田民商

 東京・蒲田民商の会員20人が、得意分野を生かしながら小型風力発電機の開発に挑戦しています。仕事おこしと原発のない社会をめざして、町工場の力を結集する「大田小型風力発電開発プロジェクト」。12月7日に1回目の組み立て作業を行いました。
 「お、ぴったり合ったな。さすがだね」「ここの穴は小さくないか。リーマを通して大きくするか」。精密板金、フライス加工、旋盤加工、機械彫刻などさまざまな専門分野の民商会員11人が集まりました。設計図を基に各事業所が作製した部品が持ち寄られ、少しずつ発電機が組み立てられていきます。不具合が生じると集まって解決策が練られ、「ちょっと直してくる」と100メートルほど先の自分の工場へ。30分後にまた再開です。この日は部品の寸法にずれが生じ、もう一度計算し直すことに。「今までは会議室での話し合いだったので、今日は新しい一歩。みんな本当に生きいきしている」と話します。「普段は作った部品が製品になる過程を見ることはない。集まって話し合いながら、みんなでものづくりができて楽しい」と笑顔です。

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小型風力発電機の完成模型

 3年前から準備 次第に前向きに
 蒲田民商では3年ほど前から再生可能エネルギーの学習会などを開いてきましたが、「原発のない社会の実現のため、大田の町工場に活気を取り戻すため、自分たちができることを実行に移そう」という声が高まり、2013年7月にプロジェクトが本格的に始動。町工場の技術が生かせて都市の家庭に設置しやすい小型風力発電の開発計画を決め、視察などを行いながら情報を集めました。NERCセンター長で工学博士の大友詔雄さんのアドバイスを受け、発電機は構造が簡単で発電力があるエアギャップ型に、羽は風切り音の少ない縦軸型に決定。設計図もメンバーが作成しました。
 8回の議論を重ねる中で、最初は「本当にできるのか」「やって意味があるのか」と半信半疑だった参加者も「この部品は自分が得意分野」「ここの加工はこの方がうまくいくよ」と知恵を出すように変化をしていきました。
 「作りたいのは補助電源としての発電機。マンションのベランダで自家発電したり、公園に設置したり、災害時でも日夜を問わず電気が使えるようにしたい」「自治体の補助金を獲得して、みんなでよりいいものを作りたい」と目標を見据えます。
 周囲からの注目も高まり、「原発をなくしたい」と望む地域住民から講演の依頼も来ています。組み立てには4人の区議が立ち会い、「町工場が元気になれば区も元気になれる。このプロジェクトは大田区再生の希望」と期待を寄せていました。

地中熱 低価格で家庭向けに空調設備を共同開発=宮城・仙台民商

 宮城・仙台民商ではボーリング業者とボーリング機械器具の加工・販売業者が、「地下熱利用設備」を共同開発しました。
 開発した「地下熱利用設備」は二重管方式です。幅350ミリ、深さ8〜10メートルほどの穴に、鉄とアルミでできた管が二重に埋められています。外気は「外側の管」から地中に入り、「内側の管」を通じて地上に上がり、送風機で室内に送り込む仕組みです。
 一年を通じて13〜14度に保たれている地中熱を利用するものです。例えば夏だと、30度の外気が「地下熱利用設備」を通ることによって25度に冷やされ、室内に送り込まれます。冬だと、0度の外気が5度ほどに上昇して室内に流れる設計です(図参照)。
 開発までに2人は「公共施設などには同様の設備は存在するが、数千万円と高額で一般の人には手が届かない。低価格で家庭向けの住宅や倉庫などでの普及をめざそう」「熱吸収率を高めるために銅で管を作ることも考えたが、どうしても割高になってしまう。管の一部を手に入りやすくて安価なアルミにして、熱吸収率を高めよう」など、設計に関する議論と試行錯誤を重ねました。

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共同開発した「地下熱利用設備」。空気がふわっと流れています

 2人で穴掘りと機械設置を分担
 ボーリング機械器具の加工業者が「地下熱利用設備」を作りました。ボーリング業者が機械で垂直に穴を掘り、設置する担当です。各々が得意とする技術が生かされて、初めて「地下熱利用設備」を稼働させることができます。
 送風機で使用する電力は7〜8ワットほどで、24時間稼働しても電気代は少額。節電効果が期待できます。
 課題は空気に含まれている湿気を一定量、取り除かなければいけないこと。湿気が多い空気だとカビの発生原因となるからです。そのために除湿機能を加える検討をしています。
 2人は「冬から来年の夏にかけて試験的に稼働させ、温度変化に関するデータを蓄積する。冬でも夏でも外気との温度差を常に5度変化させることができれば、開発は成功したと言える」と胸を張り、「私は震災で工場と自宅を失ったが、負けてはいられない。命が助かったということは、40年培ってきた仕事の技術は生き残っているということ。福島の人たちを思えば原発に頼る道を選んではいけない。小さな一歩でもいいから、自然エネルギーの活用に挑戦しないといけない」と笑顔を見せました。

地下熱利用設備のイメージ図

太陽光 屋根貸しパネル設置 市民出資の発電会社=愛知・昭和天白瑞穂民商

 愛知県名古屋市の株式会社おひさま自然エネルギー(おひさま)は、市民ファンドや屋根貸しシステムなどの仕組みを作り、市民に太陽光発電への導入を呼びかけています。取締役は「すべての屋根にパネルを設置し『分散型メガソーラー』をめざす」と力を込めました。
 株式会社おひさまは、「地域経済の活性化のために活動したい」「原発に頼らない社会をつくるため自然エネルギーを広げたい」という思いを持つ県内の中小企業家らによって、2013年6月に結成。第2種金融商品取引業の登録のための増資の際には愛知県商工団体連合会の仲間も協力しました。「ファンドの設立など、経済活動を行うので株式会社というスタイルだが、本質は市民運動。地域の中で圧倒的な数を誇る中小企業が積極的に関わることで、活動を広められる」と取り組みの意義を語ります。  太陽光エネルギー普及のモデルになったのは、先進的な取り組みを行っている長野県飯田市の「おひさま進歩エネルギー株式会社」。取締役は延べ1カ月ほど、おひさま進歩エネルギーで研修しノウハウを体得しました。9月から始まったファンド(おひさま2013発電志金)出資者の募集には、現在61人が応じ、集まった資金は4000万円以上に。「再生可能エネルギーの普及と地域経済への貢献を同時にできることに喜びを感じる」(20代男性)、「脱原発社会へ小さな力を寄せ合おう」(60代男性)と賛同の声が広がっています。
 行政からの支援やパネル設置業者などの確保が今後の課題です。佐藤さんは「大企業だけがもうかるのではなく、地域の業者に仕事が回ったり雇用が生まれたりする循環にも貢献できる」と理念への理解を求めながらの普及に力を入れています。

株式会社おひさまの活動を支える仕組み

全国商工新聞(2014年1月6日付)
 

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