全商連トップページ
中小施策 税金 国保・年金 金融 経営 業種 地域 平和・民主 教育・文化 県連・民商 検索
 全商連とは活動方針・決議署名宣伝資料調査婦人部青年部共済会商工研究所発行案内入会申込リンク
  トップページ > 地域のページ > まちづくり > 全国商工新聞 第3056号1月28日付
 
相談は民商へ
 
地域 まちづくり
 

次世代エネルギーの転換へ 中小業者を先頭に=全中連・欧州視察3

Photo
オーストリアの古都ザルツブルクの町並み

 スマートグリッド(以下SG)とは直訳すれば「賢い電力網」です。「次世代送電網」と呼ばれ、時間帯や季節、地域などによる必要電力の変化を供給と需要の両方から制御し、電力の流れを最適化するなど、再生可能エネルギーの導入には欠かせないものです。
 このSGにも関わっているオーストリアの二つの企業を訪問しました。
 ザルツブルクの北東、ヴェルスにあるフロニウス社では太陽光発電に不可欠なインバーター(直流交流変換機)や、自家発電の余剰電力を水の電気分解に使って水素を抽出しボンベに貯蔵する方法を開発していました。夜間など発電量が少ない時には、この水素を使い燃料電池で発電するシステムです。これなら無駄のない電力供給が可能となり、燃料電池ならば自動車や他の分野でのエネルギーとなるなど、SGを支える技術になります。
 36の水力発電所とバイオマス発電で電気を供給しているザルツブルク社では「SG開発」そのものの説明を受けました。オーストリアでは2050年までに再生可能エネルギーを80%に高める目標が設定されています。既存の送電網で対応できるSGであれば4分の1の投資で対応できるといわれています。現在40軒の住民の協力で実証実験を行っていました。

次世代送電網のあらゆる分野で

Photo
パネルが並ぶフロニウス社の太陽光発電

 再生可能エネルギーとSG開発は「未来への挑戦」と若い職員が力を込めていました。
 SGは家庭に設置された太陽光パネルなども含む多数の分散型の小規模発電所を統合する地域ネットワークです。このシステムは地域全体のインフラとして整備されるもので、このシステム作りに中小業者が関わることは難しいようです。
 しかし、小規模の発電装置をはじめ多様な機器・装置の製造・設置や維持、管理、補修などの分野では、地元の事業者が活躍できるのではと確信しました。

国と業界団体が共同声明を発表

Photo
ドイツの小規模風力発電機

 再生可能エネルギーは、太陽光や風力、水力、バイオマスなど、地域に存在する資源をエネルギー化するだけに、地域の特性に応じた開発と利用が求められます。
 これまでの日本における大規模発電による供給と違い、まさに地域資源の活用であり、環境保護とも直結しており、地域に根差した中小業者が地域を守る仕事として挑戦するにふさわしい分野です。
 ドイツで視察した小型風力発電機を製作する工場も日本の町工場規模の小企業でした。
 また、エネルギーを無駄なく活用する意味では、ヨーロッパの住居がどれも断熱構造に優れている点も印象的でした。冷暖房に依存しない建物づくりそのものも大きな課題です。
 ドイツでは、昨年10月に連邦経済技術省・環境省などと商工会議所、手工業会議所が「エネルギー転換に向けた中小企業のイニシアチブ発揮を」という共同声明を出しています。そこでは、省エネ対策などでの中小企業の大きな役割も強調されています。
 全中連の欧州視察で明らかになったことは、再生可能エネルギーへの転換を、新たな地域づくり、そして原発ゼロ実現、自然と人々の生活を豊かに再生させる仕事としても、中小業者が先頭に立っていくことの大切さでした。(おわり)

全国商工新聞(2013年1月28日付)
 
相談は民商へ
  ページの先頭